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2020.02.26

【2020秋冬ミラノコレ ハイライト1】メイントレンドは「マスキュリンとフェミニンの融合」ノームコアやアスレジャーという言葉が流行った時代は彼方へ

(写真左から)フェンディ、プラダ、サルヴァトーレ フェラガモ

 最近のミラノではコロナウィルスの影響で、国際見本市が軒並み入場者減の苦戦を強いられている中、ミラノファッションウィークが開幕した。微妙な時期だけに、中国人デザイナーの一部は早々にショーの中止を発表し、来場客も中国勢はもちろんのこと、日本の媒体やプレス陣までもが、会社の海外出張禁止令で急きょ不在となったところも。とはいえ、ショーの数自体はほぼ前回と同じ、日数も6日間で、初日に「グッチ(GUCCI)」が登場し、最終日前日を「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」が飾るという、かつてのパターンのカレンダーが組まれており、後半に入るまでは何事もなかったかのように続けられていた。

 

 だが、ロンバルディア州(ミラノがある州)で死者や多くの感染者が発見され、ミラノではイベントや集会の中止、文化施設等の閉館等の通達がなされたことを受けて、イタリアファッション協会は23日にショーへの観客入場禁止の調達を出し、「ジョルジオ アルマーニ」などは観客ナシ(撮影のみ)のショーを開催。「アツシ ナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)」など最終日のショーは中止に。ひっそりとフェイドアウトする形でミラノコレクションは閉幕した。

(写真)無観客ショーを行った「ジョルジオ アルマーニ」

 今回のミラノコレクションでは“マスキュリンとフェミニンの融合”・・・半々のミックスではなくて、“マスキュリン≧フェミニン”、または“フェミニン≧マスキュリン”という図式でミックスされた感じ。メンズでテーラードが大きなテーマだったことを受けてということもあるかもしれないが、マスキュリンなジャケットやコート+フリルやラッフル、フレア、プリーツなどの甘いテイスト、または透け素材や大きくスリットが入ったセクシーなテイストのスカートやドレス、というパターンを多くのブランドが提案している。そしてジャケットをベルトでウエストマークするのがお約束だ。

(写真左から)エルマンノ シェルヴィーノ、エムエスジーエム、ジル・サンダー

 そこに中世的、または舞台衣装的な要素もあり、それがロリータ的というか子供服的になることもある。レイヤードフリルやレイヤードプリーツ、ドレスシャツやフリルスタンドカラー、パフスリーブやビショップスリーブ、バルーンスカートなど、普通の人にはちょっとトライしにくいような大仰なディテールも多い。さらにこれらにアクセントをつけるのがフリンジやラメなどの華のある要素だ。

 

 これらのトレンドを単なるエレガンスといった安易な表現でくくるのも、折衷主義といった言葉で逃げるのも本意ではない・・・が、少なくともノームコアやアスレジャーという言葉が流行った時代ははるか彼方へ、ということは確か。楽ちんで普通のファッションはやはり面白くない、ということなのかもしれない。

 

取材・文:田中美貴(Text by Miki Tanaka)

 

「ミラノコレクション」

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