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2018.08.17

大塚家具に復活の芽はあるのか? 3年連続の業績不振に、今後の改善策も見えず

 

 身売り話がかしましい大塚家具は7日、18年12月期の業績予想を下方に修正し、売上高は従来予想の456億円から376億円に修正した。さらに最終損益を13億円の黒字から34億円の赤字(前期は72億円の赤字)に引き下げることを発表した。大塚久美子社長が経営権を掌握して以降、3年連続で減収減益となる。

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 15年12月期の売上高は580億円だった、16年12月期には463億円に減少した。経営を引き継いで様々な改革を行っている途上だと、好意的な受け止めが多かった。17年12月期には410億円になった。2年目は歯止めが掛かるとの期待は裏切られた。3年目になってもいい話は聞こえてこなかった。それがいよいよ数字として突き付けられた。

 最終利益はもっと鮮烈だ。15年12月期に3億円の黒字だったが、16年12月期には▲45億円になり、17年12月期には▲72億円となった。18年12月期が▲34億円で、赤字が減少して良かったというのは悪い冗談だ。

 大塚家具を取り巻く状況が厳しいことは市場に周知されていたことであり、14日の中間決算で発表された事業報告の内容にも新味はなかった。多少のブレはあっても、概ね想定されていた内容だったからだ。市場が期待したのは、久美子社長が今後の方針をどう語るのかということではなかったのか。

 すでに資本業務提携関係にある貸会議室大手のティーケーピー(TKP)と交渉中であると伝えられていたし、台湾の電子精密部品などを手掛ける能率集団などとの提携も取り沙汰されていたからだ。TKPも能率集団も大塚家具のどこを見込んで、どんな提携になるのかという疑問はある。そして、難航する交渉を想像させるかのように、今後の方針が具体的に示されることはなかった。

 さらに、「当社には継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせる事象または状況が存在しております」と、経営の先行きへの懸念が高まっていることを知らせて、投資家の注意を喚起する「継続企業の前提に関する注記」が盛り込まれていた。

 市場は大塚家具の経営の先行きに対する懸念を深めている。だからこそ、様々な報道が乱れ飛んでいるのだ。通常「継続企業の前提に関する注記」が盛り込まれるような切迫感が経営者にあれば、「こうするから見守って欲しい」という具体的な対応策が発表される。その対応策をどう評価するのかは個々の判断に任されるが、判断の“ネタ”が見えてこないと市場の当惑は深まるばかりだ。

 支援の条件として“久美子社長の退任”を求めている先があるという。3年連続の業績不振で外部支援を求めざるを得なくなった企業にとっては、不本意だが避けられない選択肢だ。ところが、大塚家具の絶対条件は久美子社長の続投だという報道もある。大塚家具の意向とは、すなわち久美子社長の意向である。3年かかっても業績復活の兆しを見いだせない代表者を替えずに、資金の支援だけを行うお人好しの事業家が果たして出て来るのだろうか?(矢牧滋夫)

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