NEWS
2019.09.12
ヤフー、ZOZOと資本業務提携 TOBで子会社化へ 前澤氏は社長退任
ヤフーは12日、取締役会を開き、衣料品通販サイトの「ゾゾタウン」を運営するZOZOと資本業務提携契約を結ぶとともに、株式公開買い付け(TOB)でZOZOの発行済み株式の50.1%を上限に取得することを決議した。買収額は最大4,007億円で、ZOZOの子会社化を目指す。
【こちらも】ヤフーと三越伊勢丹、AIでビッグデータ分析 子育てママ向けロングスカート開発
ZOZOはヤフーの株式公開買い付けに賛同の意見を表明、同日、創業者の前澤友作社長が退任し、NTTデータ出身の澤田宏太郎取締役が代表取締役社長兼CEOに就任した。前澤氏は取締役からも退任している。
ヤフーの買い付け価格は11日の終値2,166円より454円高い2,620円で、10月上旬の買い付け開始を目指している。買い付け予定数の下限は発行済み株式の33.4%とした。前澤前社長はZOZO株の36.76%を保有しているが、株式公開買い付けに応じて大半を売却し、経営の一線から退く見通し。
ヤフーは2019年3月期、グループ全体で約2兆3,000億円の電子商取扱高を上げ、国内電子商大手の一角に挙げられているが、業界はメルカリなど新興勢力の台頭により、競争が一段と激化している。
衣料品のネット通販で、20~30代の若い世代を中心に約800万人の顧客を持つZOZOを傘下に収めることで、服飾販売のノウハウを取り込み、先行するアマゾンや楽天に対抗する考え。ヤフーを連結化したソフトバンクにも相乗効果が期待できるとみている。
ZOZOは2019年3月期の連結純利益が前期比21%減と初めての減益になった。ゾゾタウンの売上高自体は伸びているが、有料会員向け割引サービスの値引きが影響したとみられる。ゾゾタウンの出店数も有名アパレル企業の撤退などで2018年末より減少しており、上場以来続けてきた急成長にブレーキがかかりつつあるとの見方が出ている。
ヤフーとの提携でソフトバンクの携帯電話利用者ら新たな顧客を開拓し、成長に弾みをつけたいところだ。
両社は今後、IT技術を活用してインターネット通販だけでなく、ポイント還元やキャッシュレス決済など幅広い分野でスクラムを組み、顧客を取り込む戦略を加速させる。(記事:高田泰・記事一覧を見る)