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2018.11.26

株価動向はZOZOの躓きを示しているのか!?

 衣料品のネット通販を展開するZOZOの株価は、何を物語ろうとしているのか。11月21日、ZOZOの株価は全体相場の荒れ模様が影響したこともあろうがまたしても年初来安値を更新し2133円をつけた。年初来高値4875円(7月18日)から56%近い下落である。

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 異変の入口は10月30日。翌日の中間期決算を先取りする形で、2481円(当時の年初来安値)と前日比6%余急落した。ZOZOの株価動向に、疑問を禁じえない。3月20日の2622円から7月16日の4875円まで86%近い上昇後、ほぼ一貫して右肩下がりの展開となっている。その過程で「値動きの転換期」を示す「十字線」チャート(週足)が出現、13週移動平均線が26週線を下に突き抜ける「ミニデッドクロス(株価低下傾向を示す)」も発現している。

 要因は、ZOZOが着手したPB商品に関し「?」があるとする見方が強い。中間期の営業利益は前年同期比27.3%の減益となった。10月16日時点で通期の営業利益予想を385億円から354億円に引き下げていたJPモルガン証券はその理由を「PB商品(ゾゾスーツ)事業)の先行き不透明」を挙げていた。

 ZOZOスーツ事業の当初の枠組みはこんな具合だった。(リピート率の高い)ネット顧客を中心にゾゾスーツを無料配布。身に着け全体に施されたドットマーカー(刻印機)を専用アプリ搭載のスマホで360度撮影すると、瞬時に体型・サイズが計測できる。それに応じ注文される着衣を作りユーザーに届ける。この世に1着しかないPB商品を販売するというものだった。7月末までに112万枚のゾゾスーツが配布された。前澤友作社長は4月にPB商品の売り上げに関し「今期200億円、2021年3月期までに内外で2000億円目標」とぶち上げていた。が7-9月期の売り上げは5億円余(計画達成率約36%)に止まった。PB商品に注力するための人件費増が中間期の営業減益の要因となった。「大きな誤算。PB商品事業がZOZO急成長の足を引っ張りかねない」とする見方が強まった。

 そうした見方を象徴するかの如く、ZOZOは10月31日「サイズの計測なしにPB商品を購入できる」とする施策を打ち出した。ゾゾスーツでこれまでに収集した計測データを活かし四つの質問に対するユーザーの答えを基に最適なサイズを推測、それに合わせた商品を販売するというのだ。前澤社長は「これで今期のコストを約30億円削減できる」とした。

 が、明らかな「PB商品一歩後退」とマーケットは判断した。結果が年初来安値更新とする見方が強い。

 前澤氏は常に話題を提供する話題の若手経営者。最近でも「民間人初の月旅行に出かける」「新たなゴルフトーナメントのスポンサーになる」「プロ野球チームを持つ」等々と発信歴は途絶えない。だが株式市場は「嘲笑している」かに思える。現に「宇宙旅行の費用捻出のためには自社株売却/更なる値下がりが懸念される」と兜町筋は「売り材料」とする声もある。

 株価動向は、ZOZOの先行きに「?」を呈している。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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