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2015.02.18

アウトドア・ショップの定点観測地に 大阪・梅田の“異なる一面”

アウトドア専門店が集積している大阪駅前ビル

 今回は少し趣向を変えて、大阪・梅田地区の“別の顔”をご紹介する。ファッションの一大集積地として最も有名だが、実はスポーツ業界では、“アウトドア”ブランドの一大集積地としても認知されている。今回はスポーツ――アウトドアという切り口で、梅田商圏に迫ってみた。

専門店からショップインショップまで

 今までご紹介してきたように、梅田地区には「阪急うめだ本店」「阪神梅田本店」「大丸梅田店」の百貨店、「阪急三番街」「ホワイティ梅田」「ディアモール大阪」といった地下街、「ルクア大阪」「ヘップファイブ」「イーマ」「アルビ」「ヌー茶屋町」「グランフロント大阪」「ハービスプラザ」「ハービスエント」などのファッションビルや商業施設がひしめきあっている。地下街が主導線のため、路面店の集積は心斎橋や北堀江に譲っているが、総合力では右に出る地域はない。

 

 出店するショップはファッション系、レディス系が圧倒的に多いが、ファッション雑貨や飲食系も少なくない。関東、特に東京の都市はそれぞれ個性を持っている。丸の内ならビジネスパーソン、銀座ならラグジュアリー、渋谷ならヤング層といった具合だ。大阪は基本的にそのような街の個性はない(フォーマル寄りのキタ=梅田、カジュアルなミナミ=難波や阿倍野といった大きなくくりはある)。究極の“ワンストップ・ショッピング”である。つまり、高級品から廉価品まで、梅田へ行けばすべてが揃うのである。

 

 これはかれこれ10数年前、東京から大阪へ来られた業界関係者との雑談中に気付いたことだ。その方によると、東京は目的に応じて都市を選ぶ(アパレルメーカー側から見れば、各ブランドのターゲット層が良く集まる都市へ出店する)という説明だった。大阪で初めてのブランドを出店する際は、ショップインショップであれば梅田というケースが多い。路面店舗は前述の通り、心斎橋や北堀江というケースが多い。利便性を求める関西人には、このワンストップ・ショッピング型の構造が合っているのかも知れない。現に好調を持続する「ルクア大阪」の顧客の滞在時間は短いそうだ。

複数業態の出店も多数

 こうした幅広い商材が集まる商圏の中に、アウトドア系ショップが結構なまとまりで存在している。元々、駅前ビルの下層階に「好日山荘」「ICI石井」「ロッジ」といったいわゆる“山専”のアウトドア専門店が集積していた。今は「アルビ」と名前を変えているが、大阪駅に隣接したかつての「ギャレ大阪」は「アウトドア」ストアを標榜し、関連ブランドの集積売り場を作っていた。こうしたベースがある上に、ここ数年の新規施設の開発でより関連ショップが増えた、というのが実情である。展開する形態は専門店からショップインショップまで幅広い。

 

 前述の専門店のほか、「アルビ」にもアウトドアショップの集積があるし、3つの百貨店にも売り場が存在する。中でも阪急うめだ本店8階の「イングス」は関西の拠点売り場に挙げられるケースが多い。「グランフロント大阪」の南館5階にも、アウトドアショップを集積した一角がある。

「ザ・ノース・フェイス」の別業態「サタディ・イン・ザ・パーク グランフロント大阪店」

 1つのブランドが複数店舗、あるいは複数業態で出店するケースも多い。「モンベル」は「アルビ」と「グランフロント大阪」に店舗を構えているし、「フォックスファイヤー」「エーグル」も複数の施設に店舗を出している。「ザ・ノース・フェイス」はアウトドア専門店から百貨店、「グランフロント大阪」まで、業態を変え、幅広い出店展開だ。私も梅田界隈には定点観測によく訪れるが、アウトドア関連は多種多様な業態とブランドが見られるため、たいへんお世話になっている。

供給過多の懸念もあり

 しかし、定点観測地としては便利なのだが、お商売として成り立つかどうかは、別問題である。現に某アウトドアブランドが梅田地区に増え過ぎて、カニバリゼーションを起こしたケースも聞いている。

 

 もう1つ、商業施設の趨勢という点で、興味深いことがある。アウトドア関連では今まで、重石の役目を果たしていたのは駅前ビル(大阪駅の南側)の専門店だった。その中心が、「グランフロント大阪」の開業後、反対側、大阪駅北側へ移ってしまったことである。「好日山荘」は「グランフロント大阪」のショップインショップとして移転オープンした。北側の「グランフロント大阪」から南側の駅前ビルまで徒歩10分もかからない距離だが、ワンストップ・ショッピング志向の強い梅田の来街者にすると、かなり遠くなった観は否めない。

 

 今回はアウトドアを切り口に梅田商圏をご紹介したが、これはレディスファッションやメンズ、雑貨など、ほかのカテゴリーにも当てはまるかも知れない。今年4月に「ルクア イーレ」がグランドオープンするが、こうした施設の趨勢や梅田の“重石”になる拠点がどこになるのかで、今後の梅田商圏の動向が変わってくると感じる。今春の改装で「イーマ」にもアウトドア関連テナントが出店するという噂も聞く。春の本格立ち上げまで、あとわずかだが、15年春夏シーズンの動向にも注目したい。


 

 

樋口 尚平
ひぐち・しょうへい

 

ファッション系業界紙で編集記者として流通、スポーツ、メンズなどの取材を担当後、独立。 大阪を拠点に、関西の流通の現場やアパレルメーカーを中心に取材活動を続ける。

 

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