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2015.02.25

若手から老舗ブランドまで目白押し NYメンズ展示会の歩き方

 ニューヨークコレクションが19日に終了したばかりですが、ニューヨークではコレクションの前1月に、全米小売業協会(National Retail Federations)主催の「NRF Big Show 2015(NRFビッグショー2015)」のほか、「MRket(マーケット)」「Project(プロジェクト)」「Libery Fairs(リバティフェアーズ)」といったメンズウェアの展示会が多数開催されました。

 

 こうしたニューヨークでの装飾雑貨含むメンズウェアの展示会は年に2回、1月と7月に開催。

【2015年1月ニューヨークで開催されたメンズ展示会】
●1月19、20日 Capsule Mens カプセル・メンズ
●1月19、20日 Agenda アジェンダ
●1月19~21日 Apparel Sourcing アパレルソーシング
●1月19~21日 Liberty Fairs リバティフェアーズ
●1月19~21日 PROJECT プロジェクト、ザ・テンツ
●1月19~21日 MRket マーケット

 展示会場は馴染みのあるジェビッツセンターやピア94など複数の場所で開催。マンハッタンの中だけで開催されますからさほど不便というわけでもないのですが、1月は雪や寒さなど天候が悪い日が続くだけに、今シーズンも会場と会場を繋ぐシャトルバスや、また個人でもUBERを頻繁に利用される方が多かったようです。

リバティフェアーズ  合言葉は #BrandTogether

 新進気鋭のブランドや、若いブランドが集まる展示会の「カプセルメンズ」とはまた一味違い、より成熟したブランドが中心に出展されているのが「リバティーフェアーズ」。2013年にスタートしたばかりと展示会としてはまだ若いのですが、「プロジェクト」を創設したサム・ベン-アブラハム氏が立ち上げた展示会だけに開始当初から注目を集めてきました。最初の展示会となった2013年7月はソーホーで開催され、デニムブランドを中心にコンテンポラリーブランドも出展。現在はより会場スペースの広い55丁目とウエストハイウェイ沿いにあるピア94に会場を移し、テイラークロージングから、デニム、スポーツウェア、スニーカー、帽子やバッグ、靴下などのアクセサリーブランドまで、幅広いカテゴリーが出展されるようになりました。

 米国では展示会などのイベントでも積極的に活用されているインスタグラム。リバティーフェアーズでもハッシュタグ「#libertyfairs」のほかに、「#BrandTogether」を活用することで出展ブランドが一丸となって展示会を盛り上げているシーンを、ソーシャルメディアを通じ発信していました。こうしたソーシャルメディアの活用、またハッシュタグを活用することは、ファッション好きやブランドのファンへも情報が浸透していき、マーケティングという意味でも有効的です。

 例えば私が発信した「Filson(フィルソン)」の時計の写真は、今春「Shinola(シャイノラ)」とのパートナーシップにより製造される特別なコレクションで、インスタグラムするやいなや、その写真を発見したユーザーは、コメント欄に知らせたい友人などのアカウントを書き込むアクションが見られました。そうすることでその友人は、その商品の写真の情報を知ることができるのです。

日本のブランドも多数出展

 ニューヨークコレクションでもショーを開催する「Robert Geller(ロバートゲラー)」はデニムライン「Robert Geller Denim」や「Robert Geller Seconds」を、「Ovadia & Sons(オヴァディア&サンズ)」は新たに展開したスポーツウェアライン「Ovadia +」を出展。こうした人気ブランドとともに、「CHUP SOCKS」「F.S.Z」「FDMTL」「Good Thing」「Infielder Design」「narifuri」など多数の日本ブランドもリバティーフェアーズに参加していました。

食事から散髪まで 休憩の仕方もオシャレに

 ニューヨークの展示会場はどこもやや不便な場所になるため、会場には出展者が休憩をしたり、来場したバイヤー等がちょっとした実務をこなすエリアが設けられている。こうしたスペースには簡単に食べられる物が販売されていると共に、今回はシカゴを拠点とするこだわりのコーヒーショップ「INTELLIGENTSIA COFEE」が参加。また、展示会準備から休みなく動いてきた方々には嬉しいジュースバーも用意され、「Fellow Barbar」のブースへ行けば散髪だって出来たりと、アパレルから、食から、身だしなみまで、展示会も今ではライフスタイル化しているようにも伺えました。

メンズコレクション開催決定 7月のNYに注目!

 これまでメンズブランドは、ニューヨークで2月と9月に開催されるウィメンズのコレクションと共に発表してきました。しかし2015年7月より、「ニューヨークコレクション:メンズ」が開催されることがアメリカファッション協議会(CFDA)より発表。これはメンズウェアの展示会と同月に開催することを意味し、すでに「プロジェクト」はコレクション時期に合わせ展示会開催日を調整、「カプセル」や「リバティーフェアーズ」もニューヨークコレクション:メンズに合わせられるよう日程の調整を検討しているとも伝えられています。

 

 実際、展示会時は世界中からバイヤー等がニューヨークへ集まるわけですし、あとはメディアの部分をしっかり固められれば、主催側もニューヨークへ訪れる側にもビジネス的に都合がいいわけです。

 

 2015年7月がメンズブランドにとっては初のニューヨークコレクションとなるだけに、これまでパリやミラノで発表してきたアメリカデザイナーにとっては、すぐには開催地を変更することは難しいでしょう。しかしそうした大御所デザイナーだけでなく、他にも沢山のメンズブランドがアメリカにもあるわけですし、またニューヨークでメンズコレクションが開催されるとなったら、日本など海外からのブランドが展示会へ出展するのも効果的でしょう。同時に、イベントやプレゼンテーションなどを開催するのも良いのかもしれません。


 

RINA  

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

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