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2018.08.31

EC企業スタジオアタオの巧みな商法

 スタジオアタオは自社ブランドの婦人用バッグ・財布・革小物などを店舗及びネットを介し販売している。創業者社長の瀬尾訓弘氏は起業に当たりブランドマーケティング施策として「季節感などのトレンドの緩やかさ」、そして「過剰な在庫負担減」の2点を念頭に置いたという。ファブレス体制。製造は約20の企業(工場)に委託。

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 事業展開は発祥の地である神戸市の路面店舗でスタート。メディアの取り上げなどもフォローとなり順調な出足。現在は商業施設内を中心に11店舗を開設・運営している。

 同社がネット通販に本格的に進出したのは2009年5月。ネット通販の黎明期。長南伸明取締役は「限られた店舗のため地域的にご来店が難しい顧客層の掘り起し、在庫負担軽減策でもありました」と振り返る。

 ブランドの中軸は「アタオ」。エルヴィやキャンディなどバッグ、リモなど財布のヒット商品を生み出している。そして“パリジェンヌのライフスタイルに溶け込んだ”が謳い文句の「イアンヌ」。グループ化しリブランディングを開始した“グレース・ケリー妃に愛されたバッグ”の「ロベルタディカメリーノ」。

 収益好調を継続。ネット通販比率(現状で50%超)、リピート率が高い。瀬尾社長は「売上高100億円目標(今期計画比2.6倍)」を公言している。

 背景には巧みな商法。「在庫負担減」とも絡む「まずは少量生産」で市場に投入。「定番」になると確信した時点で生産拡充方式へ。また「アタオ オフィシャルウエブ サイト」上の見せ方にも工夫が凝らされている。革製品ゆえにかたさ・柔らかさを伝える写真・説明文への腐心。バッグに物を入れた際のイメージを想像してもらう工夫。さらに社員による「私の私物公開」なるブログを掲載している。自社製品の購入2年後などの写真に「年を経るごとによく育っている」といった類のメッセージが書き込まれている。

 店舗とネット通販の相関に関し「オムニチャネル戦略も視野に入れているのか」という問いに長南氏から直接の答えはなかったが、こう語った。「在庫の共有化をできるシステムを構築中」。(千葉明)

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