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2019.05.04
SDGsは企業経営者にとって成長へのチャンス(上)
2015年9月に国連サミットで採択されたSDGsが、日本社会においても急速に存在感を増してきている。今や、企業・経営者にとってもSDGsの影響は無視できない状況となった。ただしSDGsの影響は、必ずしも脅威ではない。むしろ好機として企業の成長・発展につなげていくことができる、と考えるほうが賢明である。
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SDGs(Sustainable Development Goals)とは、外務省によれば、持続可能な世界を実現するために2030年までに達成を目指す国際的な目標である。目標は17のゴールと169のターゲットから構成される。
17のゴールには、「貧困をなくそう」、「飢餓をゼロに」、「すべての人に健康と福祉を」などがある。これらは「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現するための目標である。そしてこれらゴールの下に、より具体的なターゲットが169個設定されている。
具体的なゴールの内容を見ると抽象的で、政府や自治体だけが取り組む社会課題であるように映る。一見、民間企業には無関係のようにも思えるのではないだろうか。現に、国連サミットの採択を受けてからは、外務省の主導によって国内への普及・啓発が行われてきたところではある。
しかしながら、日本社会がSDGsのゴールを達成するためには、政府や自治体だけの努力ではとうてい不可能である。企業や行政、NPOなどの非営利組織が実現に向けて一丸となり、自発的な取り組みを積み重ねていく必要がある。
このような状況を踏まえると、民間企業にとって、経営の中にSDGsを統合することで享受できるメリットが生じる。例えば、SDGsを経営戦略に組み込むことによって、自社のブランドを向上させることができると考えられる。
社会全体がSDGsに関心を高めているということは、企業の取り組み姿勢がSDGsの尺度により評価されることと同義だ。つまり、SDGsへの積極的な取り組み姿勢を見せることは、企業魅力を上げ、社会に対して訴求力を持つことになろう。
ブランド向上は、新規市場の獲得や資金調達の円滑化にもつながり、成長へのチャンスに直結する。さらに資金調達に関して言えば、近年注目されるESG投資における投資先の選定にも有利に働くことが考えられる。
逆に言えば、SDGsへの対応を消極的にとらえていると、いずれ社会からの評価を下げる可能性が高い。その意味で、SDGsの経営への取り込みは喫緊の課題と言えるであろう。