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2018.01.14
商品名で売り上げは化ける 「お~いお茶」に「まるでコタツソックス」
どんな分野にも自薦他薦、評論家が存在する。年末の小旅行の折り新幹線に乗り込む前に、ペットボトルの緑茶を買い席に戻った。同行の友人が一飲みした後に「ペットボトル入り緑茶はいつ、どんな経緯を経て生まれたか知っているか」と問いかけてきた。「俺は自称ペットボトル茶評論家だ」と言い、どうせどこかで見聞きしてきたのだろうと思いつつも「興味深い話」だった。
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伊藤園が国内初の缶入り緑茶「缶入り煎茶」を発売したのは、1984年のこととか。だが売れ行きは「計画大幅未達」状態だった。自称評論家同様、世の中には「問い合わせマニア」も多い。伊藤園に若者から「煎はなんと読むのか」という電話がかかってきた。これを契機に大学生を対象に、「日本のお茶は、なんというのか」というアンケート調査が行われた。結果は「緑茶」「日本茶」「グリーンティ」、そして「煎茶」は奇天烈ともいえるグリーンティの後塵を拝し第4位。「これじゃ、売れるはずもない」という反省会の席上でスタッフの一人が、「お~いお茶、か」とポツリ呟いた。1968年に伊藤園の緑茶のTVコマーシャルで俳優の故島田省吾氏が発した台詞だった。首捻り続きの会議の雰囲気が一変した。「それよ、それよ」という声が相次いだ。
缶入り煎茶は、お蔵入り。缶の模様も日本風に「竹」をイメージし「お~いお茶」がデビューした。そして翌年には缶もやめ「ペットボトル」に変わった。
「お~いお茶」の初年度の売上高は「缶入り煎茶」初年度の6倍強。このヒットが同業他社の「ペットボトル茶」の参入を促し「いまの状況になったのだ」と、我が友人「評論家」は言うのだった。
彼からはこんな話も聞いた。今年で創業70周年になる靴下メーカーの岡本では2013年に「三陰交をあたためる」という名で、靴下を脱いでからでも1時間近く温かさが残る女性用「冷え止め靴下」を発売した。売れない。担当者が思案投げ首会議を続けた。担当者の1人の「まるでコタツみたいだね」の一言で品名を「まるでコタツソックス」に変えた。売れ始めた。昨年は前年比17倍以上の売上に至ったとか。
名前が商品の売り上げをがらりと変える。そう呟いた瞬間件の彼は「とどこかの週刊紙で読んだ」といって笑った。(千葉明)