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2018.12.17
フリマアプリ「ラクマ」のシニアユーザーが急増 60代以上が3年で約30倍に
60~90代の新規登録ユーザー数推移(画像: 楽天発表資料より)
楽天が運営するフリマアプリ「ラクマ」で60代以上の利用者が急増している。同社が17日に発表した2016~18年の3年間での利用実態調査を見ると、60代以上の利用者は29.8倍に増加。中でも増加が目立ったのが70代の48.9倍。今まで若者中心だったフリマアプリ市場に、シニア世代の顧客が徐々に参入しつつあるようだ。
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出品する品物の内容でも他の世代と差が見られた。10~20代の主な出品物は、アイドルグッズやCDなどが上位に上る。一方、60代では食品が1位となっており、70代でも2位。食品の中でも米やみかんなどが人気のようで、理由は「安いから」「おいしいから」などとなっている。また60代以上の出品物では食器やバッグなど身の回りの品々も上位に見られた。
フリマアプリを「終活」に利用するシニア世代もいるようだ。フリマアプリをよく利用するという60代の女性は、「親が残した遺品を整理するのに大変苦労した。自分の子どもたちには同じ思いをさせたくないと思い、自分の持ち物を出品するようになった」と話す。フリマアプリであれば自分で値付けなどができ、お互い顔が見える状態で売買ができる点が気に入っているという。
60~70代では出品平均単価が10~20代の1.23倍にのぼる。シニア世代が出品する品々には美術品や服飾品など単価の高いものが多い分、若年層より高い出品価格になっているものとみられる。
購入物でも世代間で内容が分かれた。10~20代では出品物と同じくアイドルグッズなどが1位となっている一方、70代の3位にはPC周辺機器がランクインした。シニア世代のセカンドライフとしてパソコンを使った活動が増えていることが背景にありそうだ。
慶應義塾大学が2017年に行ったフリマアプリに関する調査によれば、中古品を使うことに「あまり抵抗を感じない」とした20代は37.5%に対し、60代は36.0%。ほぼ同じ数値となっており、フリマアプリを利用することへの抵抗感は両世代とも大きくはないようだ。
シニア世代へのスマホの所有率の伸びも関係していると思われる。NTTドコモのモバイル社会研究所が1月に行った調査によれば、60代のスマホ所有率は今年初めてフィーチャーフォンを上回り、5割を超えた。70代のスマホ所有率も3割となっている。こうしたシニアへのITの浸透により、「ラクマ」のようなフリマアプリへの利用が増加しているものと考えられる。
フリマアプリと言えば「メルカリ」の存在感が大きいが、「ラクマ」もこの10月に1,500万ダウンロードを達成するなど大きな伸びを見せている。競争の激しくなるフリマアプリ業界だが、そのカギを握っているのは若者ばかりではないのかもしれない。(記事:藤原大佑 ・記事一覧を見る)