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2022.02.03
進化し続けるAmazon 「Amazon Go + Starbucks Pickup」など新事業の魅力
約2年ぶりフィジカルで開催された「リテールズ・ザ・ビッグショー」
「NRF2022」の公式YouTubeアカウントより
小売業にとって1月といえば、ニューヨークで開催される全米小売業協会(NRF: National Retail Federation)の「リテールズ・ザ・ビッグショー」です。筆者が最後に参加したのは2020年、すでにアジアでは新型コロナウイルスが注視されていた頃でした。それから約2年、“小売業界はコロナに負けていられない”という気持ちを押し通すように、2022年度はバーチャルからフィジカルに戻り開催されました。
イベントの開催前には、主催側から安全対策に関するメールが度々届いていました。リテールズ・ザ・ビッグショーに参加するためには、ワクチン接種証明を会場の受付で提示し、会場内や移動に用意されたシャトルバスの中でもマスクの着用が求められました。また、少しでも安心してイベントに参加できるよう、参加者には予め自宅で検査をすることが勧められるとともに、ジャビッツセンターでは参加者や出展者に対して検査キットを無料で配布。さらに会場では17日、18日の二日間にわたりPCR検査会場を設置し、最善の感染対策に努めていたようです。
筆者は今年も参加を予定していましたが、直前に体調が万全ではないと感じ、残念ですが参加を断念しました(コロナ感染ではありませんでした)。同様の状況はどうやらイベントで登壇するスピーカーにも起こったようで、筆者がマークしていたキーノートの中には開催直前にキャンセルとなった回もありました。数年前であれば“え!?”と思ってしまうようなことも、環境が変わった現在では“直前のチェンジもやむを得ない”と思える気持ちが必要だと感じました。
今年もTARGET(ターゲット)やRalph Lauren(ラルフローレン)、IBM、Nordstrom(ノードストローム)、Ulta Beauty(アルタビューティー)など大手企業のトップがキーノートに登壇し、参加者をインスパイアさせるような話題が繰り広げられました。参加者のツイートや現地メディアの取材記事を読み漁ってみると、中でも “メタバース”や“NFT”の話題が関心を集めているようでした。
イベントのためにニューヨークへ訪れた人々は、ミートパッキングに2021年7月にオープンしたGoogle初のフラッグシップストア、五番街の新たなロケーションに出店したエクスペリエンス満載のLEGOの店舗、12月にソーホーにオープンしたばかりのアンダーウェアD2CブランドPARADEの初の店舗など、マンハッタンを中心に視察店舗をリストアップしていたはずです。それらに加え、是非訪れていただきたい筆者のお勧めとして「Amazon Go + Starbucks Pickup」を視察リストに追加してもらいたいと思います。
ソーホーで開業した、PARADE初の店舗
PARADE
577 Broadway st.
New York, NY 10012
進化し続けるAmazonのリテール戦略
2019年5月にオープンしたAmazon Go
ニューヨークにAmazon Goがオープンしたのは2019年5月、1号店はローワーダウンタウンにあるブルックフィールドプレイス内に出店され、現在はマンハッタンに計8店舗が出店されています。直近の出店は昨年11月、スターバックスの「Starbucks Pickup」サービスが併設された店舗。ブルーミングデールズのフラッグシップストアがある59丁目、地下鉄の出口からも直ぐのロケーションにオープンしました。Amazon Go の他店舗では、スターバックスのコーヒーをセルフで購入することができますが、直近にオープンした新店舗で購入する場合は、スターバックスの専用アプリで事前に注文し、ピックアップロケーションをこの店舗に指定する必要があります。
また、同店舗で買い物をする場合は、Amazon Go専用アプリ、あるいは手のひら認証の「Amazon One」(要登録)を使用して入店することも可能です。店舗内にはAmazon Oneの端末も設置されているため、来店してその場で登録できます。筆者はすでに別店舗でAmazon Oneに登録済みだったため、手のひらをさっとかざして瞬時に入店。今ではAmazonアプリを立ち上げてQRをスキャンするよりも楽だと感じています。
Amazon Go + Starbucks Pickupの店舗
Amazon Goの店舗では、Amazonの「Just Walk Out」というテクノロジーが使われています。このテクノロジーはAmazon Go の他にも、空港や前述したリテールズ・ザ・ビッグショーが開催されたジャビッツセンター内にあるコンビニエンスストアでも利用されています。商業施設「Hudson Yards (ハドソンヤード)」を訪れる際は、近隣のジャビッツセンター内のコンビニエンスストアをチェックしてみてください。
ジャビッツセンター内のコンビニエンスストア
また、全米に9店舗出店されている「Amazon Pop-up」の一つがミートパッキング地区にあります。Amazon Pop-up は、テーマに沿ってセレクトされたアイテムを集めたストアです。店名が示すように、店舗ではフィーチャーされるアイテムが定期的に変わり、例えば1月はフィットネスをテーマに、自宅で利用できる「CLMBR(クライマー)」が紹介されました。
Amazonがオンラインの本屋として誕生したのは90年代半ば。すでに懐かしく感じますが、今となっては「Amazon Books」としてフィジカルの店舗を全米にいくつも出店しています。同社では他にも、Amazon.comで販売される商品をキュレートした「Amazon 4-star」、スーパーマーケットの「Amazon Fresh」、先述した「Amazon Go」や「Amazon Pop-up」を展開しています。さらにAmazonという名前は付いていませんが、フィジカルリテールという観点では、同社が2017年に買収した「Whole Foods Market」もその対象です。
Amazon Style の公式サイトより
それらに加え、多くの方が耳にしているであろうAmazon初のアパレルストア「Amazon Style(アマゾンスタイル)」の2022年後半の出店計画も今月18日に発表されました。Amazon Styleでは、有名ブランドから新進気鋭のブランドまで、レディースアパレル、メンズアパレル、靴、アクセサリーなどが幅広い価格帯で販売されると言います。Amazonの幅広いユーザー層の懐事情に適したセレクションを考えているようです。
Amazon Go + Starbucks Pickup
111 E. 59th Street
New York, NY
Hours: 6am-10pm(M-F), 6am-9pm (Sat & Sun)
Amazon pop up – Meatpacking District
423 W 14th St,
New York, NY 10014
Hours: 11am-8pm
Amazon 4-star
72 Spring st.
New York, NY 10012
Hours: 10am-8pm
R I N A 90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。
以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。
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