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2021.09.30

進化し続けるスマートグラスの世界

ソーホーにある「Ray-Ban(レイバン)」 の店舗

 9月7日から6日間にわたり開催されたニューヨークファッションウィーク。昨年9月に開催された際はごく一部のデザイナーがランウェイショーを行うという状況でしたが、2022年の春コレクションを発表した今回は、野外での開催を最大限に活かし、ランウェイショーやプレゼンテーション、顧客やファンとのエンゲージメントを行うイベントが行われました。筆者はこのところ、ショーの取材ではなく期間中に開催されるブランドのイベント や商品のローンチなどをチェックしているのですが、中でも特に気になった、Facebookが発売したスマートグラスについて今回はお伝えします。

 

 ご存知の方は少ないかもしれませんが、マンハッタンのソーホーには大きな「Ray-Ban(レイバン)」 の店舗があります。目的であるFacebookから発売されたスマートグラス「レイバン・ストーリーズ」の実物を確認するため筆者も久々に来店しました。このスマートグラスは、Facebook、Ray-Banとアイウェア企業Essilor Luxottica(エシロールルクソティカ)社とのパートナーシップにより実現したもので、ファッショナブルなスタイルが印象的です。

「レイバン・ストーリーズ」(公式ECサイトより

 発売日の翌日、9月10日に来店。店舗がある通りの角を曲がると、遠くからも分かるほど真っ赤なショーウィンドウがとても目立っていました。そこには話題のスマートサングラスが大きく飾られ、通りを歩いていると思わず足を止めてしまうほどです。

「レイバン・ストーリーズ」の特徴:

  • 小売価格:$299.00 より
  • 二つの5メガピクセルのカメラ付きで写真やビデオが撮れる
  • スピーカー搭載、音楽やポッドキャストが聴ける
  • 電話も受けられる

 

 スマートサングラスと聞くとテクノロジーのイメージが先行し、実際に身につけるには少し恥ずかしいのではと思いがちですが、エシロールルクソティカ社との協業ということもあり、見た目はスタイリッシュなサングラスで、職場や日常生活で着用しても違和感なく使える印象です。

 

 スマートサングラスで写真や動画を撮る際は、フレームに設置されているボタンをタップすると動画撮影が開始され「タップ+」を押すと写真を撮ることができます。また “Hey Facebook, Take a video(ねえ、フェイスブック、ビデオを撮って)“と言うと、ハンズフリーで撮影ができます。容量は、動画が約30本、写真が約500枚保存可能で、Facebookの新しいアプリ「View」を通じて転送も可能。もちろんアルバムとして保存し、そこからFacebookやInstagramなどにシェアして楽しむことも可能だといいます。また撮影している最中には、フレーム前面に搭載された白色のLEDが光り、隠れて撮影しているというような事象が発生することを防ぎ、プライバシー面にも配慮されています。さらに、フレームのサイドにはスピーカーが付いており、音楽やポッドキャストを聴き、通話を受けることも可能。

 

 スマートグラスというと、Googleの「Google Glass(グーグルグラス)」やSnapchatの「Spectacles(スペクタクルズ)」がありますが、特にSnap社が今春に発表した第四世代のスマートグラス「Spectacles」は、初のAR対応だといいます。この最新のSpectaclesは非売品ですが、わずか134gの軽量のサングラスにこれだけのテクノロジーが詰まっていると思うと、一般発売される際にはどのような体験ができ、どのような事が可能となるのか期待が高まります。

 

関連記事:みなさんは「Google Glass (グーグルグラス)」に興味がありますか?

「Spectacles」の紹介動画

Ray-banのソーホーの店舗内、展示されている「レイバン・ストーリーズ」

 Ray-banのソーホーの店舗は一階と地下フロアがあり、両フロアで大々的にレイバン・ストーリーズが紹介されています。入店するとすぐに大きなテーブルが目に入り、そこにはいくつも話題のサングラスが並んでいます。今回のスマートグラスは、情報を知らなければ単なるレイバンの新作だと感じてしまうルックス。2014年に発売されたGoogleグラスを思い返すと、やはりルックスは近未来的なものよりも日常に馴染む従来のようなデザインの方が実際使用するには良いのかなと感じます。

 

 この数年、ウェアラブルのカテゴリーではスマートウォッチやスマートリングのブランドが増加し、その機能は益々進化しています。スマートウォッチも当初は、ガジェット好きの人やファッションとして身につける人が多かったように感じますが、今では健康管理ツールとして実用する人が増えていると思います。一方、スマートグラスは現在、楽しむためのデバイスという印象を受ける人が多いと感じますが、今後数年後には、スマートウォッチの様に“楽しさよりも実用的”という位置付けになっていくのではないでしょうか。


 

 

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

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