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2020.02.18

【2020秋冬NYコレ ハイライト2】ボリューム×リーン、カットアウトやオフショルダー・・・フェミニンながらも攻めのロマンチックに注目

(写真左から)タダシ ショージ、セルフポートレイト、アディアム

 今季のトレンドで大きかったのが、ロマンチックな世界観だ。フリルやバルーンスリーブ、ギャザー、レース、ビクトリア調といった要素がロマンチックでフェミニンな女性像を描きだす。といっても、受け身だったり、イノセントたったりするというよりは、攻めのエレガントだ。

 

 カットアウトや大胆なオフショルダー、ワンショルダーといった強気セクシーなスタイルが多く、強気のロマンチック、攻めのエレガントを醸し出す。またテーラーリングと柔らかで流れるようなライン、あるいはたっぷりとしたボリュームに細長いラインを組みあわせるといった対比を使うブランドも多かった。

タダシ ショージ(TADASHI SHOJI)

 「タダシ ショージ」は今季のインスピレーション源をモンゴルに求めた。華やいだ模様のテキスタイルで作られたファーライニングコートや、サッシュ付きのローブ、スパンコールやメタリックの刺繍でアクセントをつけたエコファーのアウターなど、遊牧民のモチーフをイブニングウェアに仕上げてみせた。モンゴルが東西文化の融合点であったことから、中東的な抽象的な柄もあれば、牡丹の刺繍といったアジア的なモチーフも融合している。

 

 イヴニングドレスは、ボディにフィットしてドレープを寄せたスタイルを多く提案して、ボリュームある体型にも映える。カラーパレットは宝石を思わせる深みのあるジュエルトーンで、スパンコールをちりばめた輝きも多く登場した。メタリックなブロケード、オーガンザジャカードやタフタといった豪華な輝きのある布地が多く登場。ボリュームで魅せるデザインも打ち出し、たっぷりと膨らんだジゴ・スリーブやバラの花のようにしたてた袖、バブルヘムのドレス、ケープをひるがえすドレスなど、ドラマチックに演出した。

セルフポートレイト(self-portrait)

 「セルフポートレイト」は、得意とするセミフォーマルとコンテンポラリーを両立させたコレクションを発表した。

 

 シルエットは細身でロングなものが多く、そこにセクシーなマイクロミニのドレスが挟まれる。テーラードのジャケットでシャープさを表現し、デリケートなレースやスパンコールをあしらったドレスがフェミニンさを醸し出す。パフスリーブ、チューリップスリーブなど、袖を強調するスタイルも多い。ビーガン・パテントレザーのタキシードコートやヌードカラーのパテントレザーのパンツなどの光沢も官能的だ。大きく胸元をあけたカットアウト、ドロップショルダー、レースの透かし模様といったセクシーなスタイルも特徴的だ。

 

  カラーパレットはヌード、ブラック、アイボリーのニュートラルカラーを中心に、ラベンダー、ベイビーブルーなどの柔らかいトーンを混ぜ、鮮やかなフューシャとルビーレッドも差しこんだ。「セルフポートレイト」らしい官能性を、今季はより攻めたエレガントとして見せた。

アディアム(ADEAM)

 前田華子が手がける「アディアム」は、ハイラインホテルでランウェイを開催した。今季のテーマは“蹴鞠”。平安貴族が愛した蹴鞠から着想を得て、貴族的なボリュームとカラーを展開してみせた。「アディアム」が得意とする、フェミニンでフリルを多用したスタイルに、スポーツテイストのバイカーショーツの組み合わせを提案。シャーリングでボリュームを強調してみせたのも特徴だ。

 

 フェイクレザーでボリュームあるバルーンスリーブのハイロードレス、オーバーサイズのラッフルつきフーディ、シャーリングを施したトレンチコートドレスなどが魅力的だ。

 モノトーンで幕をあけたカラーパレットは、ダスティピンク、ボルドー、マルチカラーのプリント、ベージュ、バーミリオンと華やいだ展開を広げた。

 

 今季は大坂なおみ選手とのコラボレーションも5作品発表された。

アリス アンド オリビア(alice + olivia)

 ステーシー・ベネットが手がける「アリス アンド オリビア」は“グローブトロッター”をテーマに展示会を行った。

 

 森のなかを思わせる背景や、オリエント急行を思わせる車内など、世界のさまざまな場所を設定。同ブランドらしく、ゴールドやレッド、エメラルドといったカラフルな色使いと、さまざまな個性的なプリントが展開された。

 

 特に目立つのがフェイクレザーを使ったピースだ。コート、ジャケット、パンツ、ドレス、スカートと展開され、キー素材となっている。また遊び心あるボリューム×スレンダーのスタイリングも多く、スタンドカラーのたっぷりしたパフスリーブのトップスにはマイクロミニを合わせ、チャンキーなニットはラメドレスの上から組みあわせる。カモフラージュ柄、アニマル柄、タペストリー柄、さらにルネッサンスの絵画をモチーフにしたパターンなど、プリントも豊富だ。

 

 また今回は、廃棄された衣料素材を再利用するエコ活動家「ゼロ・ウエイスト・ダニエル」とコラボレーションをしたピースもあり、よりサスティナブルを意識したコレクションとなった。

アナ スイ(ANNA SUI)

 「アナ スイ」はNYFWの本会場であるスプリングスタジオでランウェイショーを開催した。今季のテーマは“ゴス・ヴァンプ”で、ゴシックとホラー映画がイメージソースになっている。ゴスな雰囲気のブラックのレースドレスや、コルセットつきのスカート、ビクトリア調のフェイクレザーのトップとスカートのアンサンブルなど、ダークなロマンチシズムを感じさせる。「アナ スイ」らしい独特のプリントも多く登場し、プリントのダウンジャケットやサイケデリックな色彩のプリントを施したドレスが目を引いた。

ケイト・スペード ニューヨーク(kate spade new york)

 「ケイト・スペード ニューヨーク」は展示会で、秋冬コレクションを披露した。テーマは“エンチャンテッド・フォレスト(魔女の森)”というのにふさわしく、ロマンチックなスタイルを提案。

 

 幻想を見るという連想で、サイケデリックな柄や色彩がちりばめられているのも面白い。ここではマジック・マッシュルームも重要なモチーフだ。キノコが飾られたベルト、キノコやハリネズミやウサギの形をしたコレクションバッグ、またキノコ型の指輪など、同ブランドらしい遊び心に満ちている。た秋冬にはめずらしいバターイエローも加えられた。

 

 

取材・文:黒部エリ(Text by Eri Kurobe

「ニューヨークコレクション」

 

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