PICK UP

2018.12.14

ゲストはジュン社長の佐々木進さんとUA&SONS小木“poggy”基史さん 第17回SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」

 USEN(東京、田村公正社長)が運営する音楽情報アプリSMART USENで配信中の「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」。ウェブメディア「ジュルナルクボッチ」編集長/杉野服飾大学特任教授の久保雅裕氏とフリーキャスターの石田紗英子氏が、ファッション業界で活躍するゲストを招き、普段はなかなか聞けない生の声をリスナーに届けるが、アパレルウェブでは、その模様をレポートとして一部紹介していく。第17回のゲストは、前回に引き続きジュン代表取締役社長、佐々木進氏とユナイテッドアローズ&サンズ・ディレクター、小木“poggy”基史氏。東京・恵比寿のEBiS303で開かれた合同展「SOLEIL TOKYO」会場内で公開収録された模様の後半をお伝えする。

<前略・佐々木氏のアダム・エ・ロペ開発の経緯>

 

久保:音楽という点では「ボンジュールレコード」も早かったですよね。

 

佐々木:そうですね、あれも結局すごく音楽が好きだったので。当時DJをやっていた頃は、週に3回ぐらいレコード屋に行って、箱いっぱいレコードを買うみたいなことをずっとやっていたわけです。ただ仕事をするようになると、そんな時間もないけれど、旬な音楽は聴きたい。でも、当時の大きい「タワーレコード」とか、そういうところに行っても、本当に知っている人しかいい音楽に辿り着けないんじゃないかというのをすごく感じて。それだったら、その上澄みというか、いい部分をしっかりセレクトして、ちゃんと提案してあげるということが求められるんじゃないかと。僕はMTV世代なので、音楽とファッションの関係性というのはすごく感じているんですけど、それを一緒にしたショップは無かったんですよね。だからそういうことも含めて、新しいミュージックカルチャーのショップを作りたいなということでやってみたんです。

 

久保:今は音楽と洋服を一緒に売っている店はありますよね。例えばロンハーマンさんとかもCDコーナーがあって。ミクスチャーするのが単純にブランドを編集するという時代から更に枠を超えて、ファッションだけじゃないものを取り込んでミックスしていく時代になったということですよね。

 

佐々木:そういうこともあるし、あとは僕自身もバンドをやっていた時代もあったので、そういう「音楽の編集ショップをやる」という音楽活動だったんですよ。自己表現として。だからそういう意味も含めて、結構楽しくやっていました。

 

久保:ポギーさんは、音楽についてどう思いますか。

 

小木:最近の音楽も聴きますし、日本のラッパーもかっこいい人いますよね。ミュージシャンがファッションアイコンになっている流れは、結構インスタグラムと繋がってくると思うんです。ミュージシャンが自分で着ているものをインスタで自分で上げられるようになってきているので、前だったらステージや写真集などからの情報だけだったのが、「このミュージシャンは何を着てるんだろう」とかが日常的になってくるとやっぱり発信力が強くなってくると感じますね。2006年から2009年までユナイテッドアローズの実験店舗として自分がディレクターを勤めていたお店「リカー、ウーマン&ティアーズ」、「酒と女と涙」ですね。河島英五の曲からインスパイアされてお店の名前を付けたんですけど、アメリカのヒップホップの人たちの流れを受けて、「シュプリーム」と「フェンディ」と「ブルネロ・クチネリ」をミックスして、置いていたんです。当時はそういうお店は無かったので、カニエ・ウェストとか、今は「ルイヴィトン」のデザイナーのヴァージルとかも日本に来たら必ず寄ってくれていました。日本のミュージシャンの人たちも来てくれて、そういう面白さはあったんですけど、ビジネス的には上手く行かなくて。リーマンショックの影響とかもあって終わってしまったんですけど。やっぱり自分は音楽とファッションというのはすごく好きで、それをずっと追い続けているところはありますね。

 

<中略・ファッションからライフスタイルへの広がりの話、日本ブランドの海外展開の可能性>

 

久保:ジュンさんは展示会の形もちょっと変わったやり方をしているんですよ。佐々木さんがトークショーやったりするんですよね?

 

佐々木:それこそプレゼンテーションの方法のひとつかもしれないですけど、ただ服を並べて、「これが新作です」ということでは、物の良さを伝えるには不十分かなということがあったので、いろんなゲストを呼んで、いろんなことを喋っていただいたりとか、そういった体験的なコンテンツも一緒に体験していただくことで良さがより伝わるかと。あとは最近では一般のお客様もそういった場に呼んでB2Bというプロのものだけではなくて、もっといろんな人に知っていただいた方がいいんじゃないかということでやっているんですけど。

 

<後略・ジュン文化祭の話、趣味のゴルフ、空手、ワインの話>

 

石田:さあ、ではポギーさんのプライベートは。

 

小木:そうですね。自分は今11歳の息子がいて、サッカーをやっているんですけど、休みの日は息子の練習に。サッカーって自分はやったことなかったんですけど、なんかすごく学ぶこと多いんです。息子が小さい時は、同年代の子供たちに比べて体は大きいほうだったんです。結構ドリブルで突破するタイプで。ただフェイントが上手くなかったのですぐ相手にボールを捕られちゃうんですよ。それで、コーチに「息子にフェイントを覚えさせたいんですけど」と言うと、「いや、今はいい」って。小さい時からフェイントを覚えてしまうと真っ直ぐ立ち向かえない子供になっちゃうみたいな。なるほどなと。

<中略・佐々木氏のファッション産業がかかっている呪縛の話>

 

佐々木:ちょっと視点が違うかもしれないんですけど、ファッションって結構、編集、編集でずっと来たじゃないですか。ちょっとそこもお腹いっぱいになっている部分もすごくあるから、なんかゼロイチの感覚っていうブレイクスルーみたいなのがあると、バッと盛り上がる感覚はすごくあるから。ただそのためにはすごいクリエイティビティーが必要じゃないですか。だからまぁそういう事を支援したり、探したりしながら次の服のカタチというのを探さないといけないなという風に思いますけどね。

 

久保:なるほど。セレクトショップという言葉が90年代にものすごく取り上げられて、そういう中で、途中からオリジナルブランドを始めて、徐々にオリジナルブランドが増えていって、店によってはオリジナルが殆どというお店も準郊外や地方のSCなんかには出ていて。でも代わりになる言葉がないから相変わらずセレクトショップと言っている。アパレル出自の会社もいっぱいあり、鼻からオリジナルもやっていて、そこに仕入れを付加してセレクトショップという名前でまた雑誌で取り上げられるようになって、早30年近く経つけれど代わりの言葉がないんですよね。

 

佐々木:そうですね。あと、もうちょっと違う感じで言うと、デザインもそうなんですよ。「デザインってゼロからやるもんじゃないね」とずっと言われてきたし、ファッションってそれだったじゃないですか。なんかこう、男性のものを女性にするとかっていうことでずっと来たんだけど。そろそろちょっとそれも違う感覚で、それこそイッセイさんのプリーツじゃないんだけど、そういった全然違う何かを生み出す力っていうのが必要なんじゃないかな。それがあると、そこに需要が生まれてくるという感じがあるんですよね。

 

久保:突破口を切り開くような若い方が出てきてくれると、これは楽しみだということですね。

 

佐々木:そうですね。

 

<後略・ポギー氏の若い人へのメッセージ、二人のコラボ、藤原ヒロシ氏との企画など>

 

石田:本日のゲストは、ジュンの代表取締役社長 佐々木進さん、そしてユナイテッドアローズ&サンズ ディレクターの小木”Poggy”基史さんでした。ありがとうございました。

メールマガジン登録