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2018.12.19

開業から丸3年を迎えた大阪「エキスポシティ」 売り上げを支えるアパレル系テナントは?

 大阪・万博記念公園に隣接する複合商業施設「EXPOCITY」(エキスポシティ)。今年11月19日で開業から丸3年を迎えた。物販に加え、“エンタテイメント施設”を展開する三井不動産の挑戦的な物件である。具体的な売上額は非公表だが、前年を上回る推移だという。2年目に比べて、テナントの認知も高まり、特にアパレル系テナントがけん引役になっているようだ。

高級ダウンアイテムが好調に推移

アパレル系テナントがけん引役になっている(施設中央。吹き抜け部分)

 同施設は、約22万3,000平方メートルの敷地内に約7万1,000平方メートル(核テナントの「ららぽーと」部分)の商業棟を展開する。エンタテインメント施設を加えると、さらに面積が大きくなる。開業時の会見の席上、中期的には年間600億円程度の売上規模を目指すと語っていた同社。そのレベルまで達したかどうかは分からないが、3年目(2018年)は2年目の実績を上回ったようである。

 

 貢献しているのは、大型ショップを中心としたアンカーテナント。中でも、“ユニセックス”を対象にしたアパレル関連ショップが健闘している。レディスやアウトドア、子供服関連ショップも数字を伸ばしているという。大型ショップは「ユニクロ」や「無印良品」「ロフト」「ザラ」「アカチャンホンポ」など。性別を問わず、幅広い客層を取り込んでいる。

 

 アウトドアやセレクトショップ系では、高級ダウンジャケットの動きが良い。昨年も同様の動きが見られたようだが、今年はさらに反応が良く、「8月下旬から動き始めた」(栗林環所長)。年を重ねるごとに、「秋物の動きが早くなっている」(同)。「ザ・ノース・フェイス」や「デサントブラン」といったスポーツ系ショップ、「ビームス」「ユナイテッドアローズ」「フリークスストア」「シップス」などのセレクト系ショップが貢献している。レザーアイテムの動きも良いようだが、ダウンアイテムが主力になっている。

 

 そのほか、スポーツを切り口にした「ナージー」も堅調。また、「アカチャンホンポ」を筆頭に、「レピピアルマリオ」などの子供服関連ショップが健闘している。西日本の旗艦商業施設に位置付けているだけあり、アパレル系の当代の人気テナントが数多く出店している。3年目に入り、こうしたショップの認知度が高まってきたこと、また各店の顧客が増えていることも好調な推移につながっているようだ。

課題は平日の集客力アップ 周辺施設とのタッグも

子供服関連テナントが集積する3階フロアも好調だ

 エンタテインメント施設では、目玉だった「ポケモン」が撤退した跡に今年4月、ナムコが手掛けるスポーツをテーマにした体験型施設「VS PARK(ブイエス パーク)」がオープンした。グループで楽しめる“バーチャル”スポーツ施設で、開業後は順調な推移だという。そのほか、海遊館がプロデュースした新コンセプトの水族館「ニフレル」や、体験型英語学習施設「イングリッシュビレッジ」などは、学校の課外授業の一環として活用されている面もあり、順調な推移だという。

 

 顧客が目的を持って出向く“わざわざ”立地である「エキスポシティ」の継続した課題は、平日の集客力アップだった。来館を促すイベントを火曜、水曜という週の半ばに実施することで、徐々に平日の来館者数が増えつつある。隣接する万博記念公園や、Jリーグのガンバ大阪の本拠地――サッカー競技場などとも連携し、相互で集客力を高める取り組みを進めている。観戦の年間パスを持つガンバ大阪ファンを対象にした「EXPOガンバ割」というサービスも実施中だ。

 

 4年目の課題は、「デーリーでは、サービス部門の強化」(同)を挙げる。各カテゴリーが順調に推移しているため、さらに館としての魅力を高めるための取り組みだ。アパレル関連では、高単価商材に動きがあり、今後も期待できる分野だ。「エリア集客を高めることが重要」(栗林所長)だと考えている。来館客数、来館頻度を高めると同時に、「買い回り店舗数を増やす」(同)ことも重要な取り組み課題だ。


 

 

樋口 尚平
ひぐち・しょうへい

 

ファッション系業界紙で編集記者として流通、スポーツ、メンズなどの取材を担当後、独立。 大阪を拠点に、関西の流通の現場やアパレルメーカーを中心に取材活動を続ける。

 

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