THE MAXREの米国ファッションビジネストレンド Vol.31

MAXRE Corporation

ルルレモンのキッズ「イヴィヴァ」ニュージャージ州ガーデンステートプラザ店

　空前のスポーツブームで、アスレジャー商品は増加する一方、トレンドに乗り遅れた企業は閉鎖、縮小を行っています。今年に入ってから、アスレチックシューズを専門に販売する「Finishline」は617店舗中、150店舗を閉鎖、最近では「スポーツオーソリティ」が全460店舗の閉鎖を決定しています。先週からクリアランスセールを行うも、あまり入っていない様子。スポーツウエア市場は飽和状態となりつつありますが、NPDのデータによると、2015年の婦人のアクティブウェアは、20％増しの$19.6B （196億ドル）と前年比20％の増加をしています。他と異なるアプローチをする事がビジネスの勝敗を分ける事になりそうです。そんな中、最近気になっているのが、キッズやトゥイーンズ（Tweens：Betweenという単語から派生した造語で8～12歳の女子）をターゲットにしたアスレジャーです。

トゥイーンズのアスレジャー市場をけん引　ルルレモンのガールズブランド「イヴィヴァ」

「イヴィヴァ」ニュージャージ州ガーデンステートプラザ店

　ミレニアル世代のママ層がアスレジャーなら、その子供達も同様のライフスタイルを身につけるのは自然な事。「イヴィヴァ」は2009年にスタートした「ルルレモン」のキッズブランド。米国では、ショールームを含め74店舗にまで拡大しています。 2014年の第4四半期には51％増、通年で13％増の急成長しており、ルルレモンの中でも注目株。ヨガを始め、ダンス、ゴルフ、ランニング、水泳、テニス等に対応したアパレルとファッション雑貨を販売しています。 写真は、ニュージャージ州・パラマス地区にある「ガーデンステートプラザ」モールの「イヴィヴァ」店舗。オープン当初はさほどの反響は感じませんでしたが、最近の週末や休日はガールズ達で大変賑わっています。

「イヴィヴァ」ニュージャージ州ガーデンステートプラザ店

キッズならではのユニーク体験で消費を促進

イヴィヴァの「ハッピー ハロウィン ゾンビ ヨギーズ（Happy Halloween zombie Yogis）」イベント

　店頭では、６～7人のグループでフロアにサークル状に寝転がり、SNSにアップする為の写
真を撮影している様子をよくみかけます。大きめのストアでは、無料クラスやワークショップイベント等が行われ、フェイスブックやインスタグラムでも生き生きとした様子がアップされています。カナダ店では、「ハロウィン・ゾンビーヨガ」イベントがあり、コスプレをプラスしたキッズならではの体験が消費を誘導（写真と動画を参照）。カルト的ファンを創出した「ルルレモン」のコミュニティ・マーケティングがキッズバージョンとなって受け継がれ、消費者を惹き付ける密接な繋がりを創出しているようです。ダンスイベントやキッズランなどにキッズならではのアクティビティをプラスしたアイディアが広がりそうですね。

ギャップ社の姉妹店アスレタも「アスレタ ガール（ATHLETA GIRL）」をスタート

　ルルレモンの競合店「アスレタ」も先月末、6～14歳のスクールガールを対象にした「アスレタ ガール（ATHLETA GIRL）」をスタート。ルルレモンから遅れること7年、顧客からの要望に応え、ようやく実現したそうです。ルルレモンに比べ、低価格のヨガ、ジム、トレーニング、ランニング、スイミング等、幅広いスポーツに対応したアパレル＆ギアを販売。ハイパフォーマンス素材を使用したレディースのデザインをベースにキッズ達に必要なポケットや、ウエストにコードを加える事で、容易にサイズ調整ができる様に工夫が施されています。成長期のキッズには嬉しいディテール。今のところ、オンラインと「アスレタ」の一部の店舗に展開しています。ルルレモン同様、様々なイベントを行っています。

　日本からの撤退が報道された姉妹店「オールドネイビー」も、キッズのアスレチックウエアを展開しており、低所得者層を中心に人気が高まっています。

３ブランドの価格帯比較（単位：米国ドル）

　スクールや放課後に、スポーツをする機会が多いガールズ達、こういったアクティビティと
SNSとの連携で、スポーティーな「アスレジャー」をニューカジュアルとして取り入れるのはライフスタイルにしっくりきます。

　アンダーアーマーやナイキ等のスポーツ専門企業も展開していますが、トレンドの引き金となった、ルルレモンが展開する「イヴィヴァ」と、競合店「アスレタ ガール」の2社が本格的に動き出した事で、他のディストリビューションチャンネルでも加速するのではないでしょうか。

■「イヴィヴァ」オフィシャルサイト

■「アスレタ ガール」