PICK UP

2015.08.19

物販とエンターテインメントの複合施設「EXPOCITY」 大阪・万博記念公園に今秋、開業

「EXPOCITY」の全景(万博記念公園駅改札付近から撮影)

 三井不動産が開発する物販とエンターテインメントの複合施設「EXPOCITY(エキスポシティ)」(大阪府吹田市)が今秋11月19日、大阪・万博記念公園に開業する。「ららぽーと」を核施設に、8つのエンターテインメント施設が集積する新しいタイプの複合商業施設だ。約17万平方メートルの広大な敷地に、約7万平方メートルの「ららぽーと」を中心として、多種多様なアトラクション施設が林立する。延べ床面積は約22万平方メートル。過去、あまり見かけないタイプのモールである。その中身を、一足先にご紹介する。

30-40代ファミリーを中心に想定するが、幅広い客層が集まる予感

 過日の8月3日、開業予定の現地において、報道向けの説明会が開かれた。ルクア大阪やグランフロント大阪のある梅田から、地下鉄・御堂筋線と大阪モノレール(伊丹空港に連絡している)を乗り継いでおよそ40分。「EXPOCITY」の最寄駅である「万博記念公園駅」に到着した。関東ではたいした移動時間ではないだろうが、関西で40分は、遠い! 改札を出て正面に工事中の「EXPOCITY」が見える。外観はほぼ完成している(説明会見では、ハード面の90%は完成しているという話だった)。ちなみに約17万平方メートルという広大な敷地は、甲子園球場4.5個分に相当するらしい。左手には、芸術家・岡本太郎がデザインした有名な「太陽の塔」が間近に見えた。

 

 商圏は移動時間60分圏内の1,500万人が基本で、地元の120万人がメーンターゲットになる。つまり、梅田も対象である。伊丹空港からも近く、インバウンド需要の取り込みも期待している。日本初の施設も多く、広域商圏は全国規模になると考えていいだろう。年間の来場者数は1,700万人が目標。売上高は非公表だが、同規模の既存施設から類推すると、400-500億円くらいになると考えられる。既存の「ららぽーと」の中でも大きい部類に入る。

 8つのエンターテインメント施設は7つが別棟だ。うち1つは「ららぽーと」内に出店する。8つの施設とは、①海遊館がプロデュースする新しいコンセプトの動物館「NIFREL」(ニフレル)②米国文化を楽しみながら英語が学べる施設「オオサカ イングリッシュ ビレッジ」③体験型施設の「ポケモンエキスポジム」④体感ミュージアムの「オービィ大阪」⑤映画「ひつじのショーン」の世界を体験できる「エンターテイメント フィールド」⑥地域最大級のシネマコンプレックス「109シネマズ大阪エキスポシティ」⑦動物達の移動遊園地「ANIPO」(アニポ)⑧日本一の観覧車「オオサカホイール」(仮称)。実に盛りだくさんである。

 

 外観はアースカラーを基調に、赤・白・黒のアクセントカラーを組み合わせている。関西におけるフラッグシップショップが数多く出店するという。エンターテインメント施設はファミリー層向けの内容が多い印象を受けるが、年齢を問わず楽しめるものも多い。30-40代ファミリーを中心に想定するが、おそらく幅広い客層が集まるだろう。

核の「ららぽーとEXPOCITY」は関西初出店47店を含む305のテナントで構成

 核の「ららぽーとEXPOCITY」は関西初出店47店を含む305のテナントで構成される。主なテナントはファッション系が91店、子供系が19店、雑貨系が96店、サービス系が27店、レストラン系が25店、フードコートが17店、スーパーマーケット系が18店。約10%強が飲食関連のテナントだ。雑貨系はファッション系よりも数が多い。

 

 ファッション系の有名ブランドでは、「アバクロンビー&フィッチ」「RHC(ロンハーマン)」「ポロラルフローレン」「コールハーン」「ケイト・スペード ニューヨーク」など。常連とも言えるセレクトショップや大手SPAでは、「ビームス」「ユナイテッドアローズ」「アーバンリサーチ」「エディフィス」「シップス」「ナノユニバース」などが出店する。

 

 梅田や難波の商業施設と異なり、前述のようにアクセスに少々、時間がかかるため、地元住民を除き日常使いはあまり多くないと考えられる。やはり週末や祝日の利用客が多くなると予想できる。元々、万博記念公園がそういう性質の施設であるため、「EXPOCITY」も週末型と考える方が自然だろう。

“ショッピングモール以上、テーマパーク未満”

 8つのエンターテインメント施設を置くことから分かるように、「EXPOCITY」は典型的な時間消費型施設だ。朝から晩まで滞在して、体験して、ご飯を食べて、買い物して帰る――というワンストップショッピングである。物販もかなりのウエートを占めると思うが、これだけエンターテインメント施設が多いと、ディズニーランドやユニバーサルスタジオなどテーマパークの要素も色濃いと感じる。物販を主体にしたショッピングモールであることは間違いないが、従来の施設よりも、テーマパーク施設の色合いが濃い新しいタイプのショッピングモール、とでも言おうか。“ショッピングモール以上、テーマパーク未満”の施設である。

 

 17万平方メートルという広大な敷地が確保できたからこそのテナント構成だったのだろうと想像する。新しいテーマパークができると考えれば、特段バッティングする施設もなさそうだ(ファッションや雑貨ブランドなど、大阪府下で重複するテナントは数多いが…)。

 

 ちなみに「EXPOCITY」の隣接地には今秋、サッカーJリーグのガンバ大阪が新しい本拠地として使用予定の「(仮称)吹田市立スタジアム」(延べ床面積約6万6,000平方メートル、収容人数約4万人)が竣工する予定。そうなると、同チームのホームゲームのたびに、ガンバのファンが「EXPOCITY」前を通ることになる。ガンバ大阪の貢献度も高そうだ。


 

 

樋口 尚平
ひぐち・しょうへい

 

ファッション系業界紙で編集記者として流通、スポーツ、メンズなどの取材を担当後、独立。 大阪を拠点に、関西の流通の現場やアパレルメーカーを中心に取材活動を続ける。

 

アパレルウェブ ブログ

メールマガジン登録