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2017.12.19

<顔>eriさん―サザビー新ブランド「ブランニューオールド」ディレクター&デザイナーに就任

 「デニムという世の中に溢れているマテリアルを、ヴィンテージというカジュアルとは異なるアプローチを加えつつ、今の時代にも合うような変わった視点で見せることができないか、ということに心を配りました」。2015年に復活させたヴィンテージショップ「デプト」のオーナーを務めるほか、アパレルブランド「マザー」やアクセサリーブランド「ユートピア」などのデザインを手がけるeriさん。2018年春夏に始動するサザビーリーグの新ブランド「ブランニューオールド(BRANDNEWOLD)」のクリエイティブ・ディレクター&デザイナーも務めている。

 

 「ブランニューオールド」は、デニムを主軸にしたウィメンズブランド。2017年秋冬に一部卸売りを開始し、第2シーズンとなる来春夏の本格始動に向け、ラインナップを充実させた。ベーシックなデザインを中心とした今秋冬に比べ、来春夏は様々な技巧を駆使しているのが特徴だ。手作業で丁寧に作り出したフリンジがインパクトのあるワイドパンツ、スナップボタンで取り外しの効くフラワー・モチーフ、スラント(傾斜)状に合わせるフロントデザイン、レトロなグラフィックを用いたロゴマーク――ドットの刺しゅうを入れ、さらにパンチングを施すという、プロの職人も苦労する細やかな工程を経て作られたデニムもある。ヴィンテージに長年触れてきたeriさんならではの視点で、普遍的な素材に奥深さと新鮮味を加えたコレクション。「デザインだけでなく、着心地についてもおざなりにしたくないので、そこにもしっかりとこだわりました」

 

 eriさんにとってヴィンテージの魅力とは?「デニムも含めて数え切れないほどの点数を見てきました。その中でも、量産されたものとは異なる、作り手の“気合い”みたいなものを感じるものが、本当にあるんです。お、と感じる瞬間ですね。「ブランニューオールド」でも、お、それはどこのブランドなの?と思わず手に取ってもらえるようなものを作っていきたいと思っています」

 

 洋服や陶磁器のデザイン、ショップ運営と幅広い活動を続けるeriさん。インスタグラム(@e_r_i_e_r_i)でも多くのフォロワーを抱えるなど、自身のファッションやライフスタイルも注目される存在だ。「1人の人間が作り出すものだから、それぞれに私らしさが反映されていると思います。ただ、「ブランニューオールド」に関しては、自分の描くターゲット像より、さらに幅広い方が着てくださるにはどうしたらいいか?ということを思い巡らせながらデザインをしています」。多彩なクリエーションは、ますます広がりを見せている。

 

スラント(傾斜)するように合わせたフロントデザイン

フラワーモチーフは、スナップボタンで取り外しができる。重ねられた花びらは、時間が経過し、丸まってきても味わいが生まれるようにデザイン。

(左)春夏に着られるコットン製のニットも

ルックブック製作もeriさんが手がけた。デッドストックのアイテムと合わせたスタイリングにも注目が集まりそうだ。

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