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2018.07.19

【2019春夏メンズトレンドキーワード】メンズウィークではストリートがデフォルトに 細めシルエット、バッドムードなどトレンド変化にも注目

 2019春夏メンズウィークのトレンドを振り返ると「ストリートがデフォルト化した」と言えよう。若手からラグジュアリーまですっぽりと包み込み、ストリートが当たり前という状況だ。典型的なルックは、ビッグシルエットのトップス、ボディバッグ、ダッドスニーカー、新ロゴなどで作られる「アイコンストリート」だ。その中で、各ブランドがロゴやレタリングなどを凝り、独自性を追求している。

 

 特にハイブランドは、クチュリエやクラフツマンの卓越したテクニックを取り入れ、究極のアイコンストリートをつくりあげた。ストリートが最も力強いトレンドではあるが、デザイン特性やカラー傾向などで見ると別のトレンドも見えてくる。大人に向けたストリート、ユースに発したネクストトレンドなどが浮上している。

 

 そして、今シーズン浮き彫りとなったのは、シルエットの変化。シルエットが細くなりつつある。オーバーシルエットを多く取り入れているコレクションでも、どこかに細い部分を見せたり、これまでシーズンと比較すると細くなっていたりしている。オーバーサイズに向かってきたトレンドが、折り返し地点に来ているのかもしれない。

<メイントレンド>

 

スポーツ&ストリート

 

 青、赤、黄色、この3原色をコントラスト配色したストリートルックが今シーズンのランウェイに溢れた。マウンテン、ヨット、テニスなどスポーツ由来のビッグアウターをキーに、ハーフパンツの組み合わせるものが中心。長期化したトレンドとも言えるルックだが、マイクロショーツなど細く短いパンツが目立ち、ルーズなものは少なくなっているのが特徴だ。

大人なレトロ&ストリート

 

 2018春夏にヒット商品となったオープンカラーシャツ。若い層に広がったレトロ&ストリートを象徴するアイテムだ。このレトロ&ストリートのトレンドが、洗練されて2019春夏シーズンに数々登場した。その特徴はカラー。茶系やダークカラー、ダスティカラー、スモークカラーなど、秋冬色が多く見られた。キーアイテムは、シャツ。オープンカラーが継続トレンドとなり、タートルネックと組み合わるルックも散見される。また、抜き襟やレギュラーカラーなども使用された。

<サブトレンド>

 

進化系テーラリング

 

 テーラリングを新解釈したルックが多く見られた。まるで古着のようなレトロなもの、英国調をリラックスさせたもの、センシャルなフリュイドシルエットのものなど、様々なタイプが登場した。共通するのは、軽量素材が作り出したリラックスしたムード。まるでビッグシャツのように羽織る様が新鮮だ。

ユースなフォークロア

 

 先シーズン現れたウェスタントレンドから派生し、カラフルかつリラックスしたルックとなり登場した。北米や中南米、欧州の伝統柄や織地を多用。ボリューム&フィットや厚底シューズが作り出す長めのシルエット、ミックス感やロウエッジなど、ユースなイメージが今シーズンの特徴だ。

リフォーメーション

 

 服を解体し、つなぎ合わせたかのようなアプローチでつくられたルックも多く見られた。特に今シーズンは、フロントとバック、左右を相反するものを繋ぎあわせる大胆なものが目立った。職人の技がデフォルメされたディテールが、デジタル、AIへのアンチテーゼのようにも感じる。仕付け糸や検品マークなど、製造過程で生まれるデザインをアイコンとして使用するケースも見られた。

アラウンド80

 

 1980年前後のファション、ムーブメント、カルチャーを取り入れたコレクションがハッピーな雰囲気やファニーな表情を作り出している。プレッピーやサーフなどの快活なファッション、ネオンカラー、ニューウェーブなどのアングラ、1970年代後半にブームとなったSF、アニメなどのギークカルチャー、多様な要素が散りばめられたシーズンであった。80年代トレンドは、ここシーズン続いてきたが、それを少しバックデートした要素を取り入れているのが今シーズンらしいと言えよう。

<ネクストトレンド>

 

アングラ、ストリートギャング

 

 アイコンストリートや快活なスポーツトレンドと逆を行くかのように、アンダーグラウンドやアウトローなムードをまとったコレクションも登場。ストリートギャング、ニューウェーブ、パンク、ネオナチなど、取り入れるテーマはそれぞれ異なるが、冷徹でユースなムードは共通している。コアなファンに圧倒的な支持されるカリスマデザイナーがこぞって取り入れている点も注目したい。

メタリック、グリッター、シャイニー

 

 今シーズンは、夜の煌めきを思わせる素材や、装飾、ディテールが新鮮であった。メタリック、スパンコール、ラメ、金具づかい、パテントなどのほかに、艶やかなPVCも多く見られた。

 このようなデザインやカラーでのトレンドとは別に、今シーズンを包むメッセージがある。それは、平等の訴えだ。人々の多様性を認める「ダイバーシティー」、性別や性的志向にとらわれない「ジェンダーイクオリティ」などを訴えるデザイナーが相次ぎ、その象徴であるレインボーカラーも、多くのコレクションで見られた。単に「虹色がトレンド」ということではなく、様々な「カラー=個性」を受容する世界を願う気持ちがつくり出した現象といえそうだ。

 

トムブラウンのショーでは、カラフルなルックをまとった2人一組の男性モデルが腕や肩を組んでフィーナーレ


 

 

山中 健(やまなか・たける)

 

大手百貨店、外資系ブランド、大手経営コンサルタント会社を経て、ファッションビジネスコンサルタントとして独立。 アパレル業界を中心に、ライフスタイルショップ、百貨店、SCなど幅広い業態に対しマーケティングやMD、リテール、海外進出のコンサルティングを手掛ける。 トレンド分析、市場調査、戦略策定などのマクロなテーマから、個店支援、研修などの現場へのブレイクダウンまで様々なテーマのコンサルティングに対応可能。 また、欧米、アジア、国内のコレクション取材やファッションマーケット調査を数多く行っており、国内外のファッションビジネスの動向を語ることができる貴重な存在として注目されている。 2009年にアパレルウェブコンサルティングファーム主席研究員、2011年にアパレルウェブ編集長就任。

山中健 公式サイト

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