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2018.07.18

「うめきた2期地区」詳細が明らかに ますます集積度が高まる大阪“梅田”商圏 

ますます集積度が高まる梅田商圏。阪神梅田本店2階のペデストリアンデッキから北側を望む。右端が阪急うめだ本店。左端が大丸梅田店。中央やや左、ベージュの建物がルクア。その奥に見える高層ビル群がグランフロント大阪。その右側、白い建物がヨドバシ梅田。

 先日7月12日、大阪・梅田の再開発事業「うめきた2期地区」の開発事業者が決定したという発表があった。「うめきた2期地区」とは、過去何度か取り上げている複合商業施設「グランフロント大阪」に隣接する、JRの操車場跡の土地である。前回、大阪・梅田の百貨店、阪神梅田本店の新しい店舗の第Ⅰ期棟をご紹介したが、「うめきた2期地区」は梅田再開発の第2弾の目玉とも言える区画だ。そのほか、大阪駅前の「(仮称)ヨドバシ梅田タワー」の工事も進んでいる(2019年冬の開業予定)。ますます、梅田の商業施設の集積度が高まる様相である。

まだまだ続く、再開発事業

 

 本稿では、本来であれば、ファッション関連を取り扱うショッピングモールの“現場”をご紹介するべきであるが、ご承知のように6月下旬の地震、7月初旬の大雨など広域にわたる天災が続いたことで、安定的な営業に狂いが生じた商業施設が多数、発生した。当初、ご紹介する予定でいた施設もそういった災害の影響で、取材をキャンセルせざるを得ない状況に陥った。急きょ、梅田地区の再開発事業を取り上げることにしたが、あまりファッション関連の“ネタ”に触れることができないことをまずお詫びしたい。

 

 さて、12日に公表された「うめきた2期地区」の事業計画の内容だが、決定した開発事業者が9社、設計・運営事業者が6社の計15社である。開発事業者の中には、「グランフロント大阪」に携わっている三菱地所や阪急電鉄などの名前も見られる。その他の事業者は大阪ガス都市開発、オリックス不動産、竹中工務店、積水ハウスなどである。

 

 「うめきた2期地区」の“まちづくり方針の理念”は「みどりとイノベーションの融合」。2020年10月以降に順次、工事に取り掛かり、完成は2024年夏ごろを計画している。6年後なので、少し先の話である。ちなみに阪神梅田本店のグランドオープン(Ⅱ期棟が完成し、全売り場が揃う状態)は2021年秋の予定だ。「(仮称)ヨドバシ梅田タワー」は前述の通り、2019年冬の開業予定である。

「うめきた2期地区」――商業と住宅、公園で構成

 

 

「うめきた2期地区」の完成予想イメージ。上部中央が大阪駅ターミナルビル(ルクア)。その左横が「グランフロント大阪」

 「うめきた2期地区」で再開発される内容は、「北街区」(延床面積14万6,900平方メートル、敷地面積1万5,726平方メートル)と「南街区」(同37万4,660平方メートル、同3万429平方メートル)の2区画。「北街区」はホテル、イノベーション施設、オフィス、商業施設、分譲住宅などで構成する予定。「南街区」はオフィス、ホテル、商業施設、都市型スパ、分譲住宅などだ。各街区とも、地上28階以上の高層ビルになる予定。

 

 そのほか、総計4万5,000平方メートルの「都市公園」を設ける計画。飲食店やミュージアム、体験学習施設などで構成する計画だ。同日に公表された完成予想イメージを見ると、かなり“緑”の部分が多い印象を受ける。グランフロント大阪が商業施設主体だったことを考えると、対照的だ。

 

 参考までに、北街区と南街区を合算すると、延床面積は52万1,560平方メートルになる。坪に換算すると、約15万8,000坪・・。これは「都市公園」を除いた面積である。広大過ぎて実感がわかないが、一体どういう構成になるのか、想像は膨らむばかりだ。既存の商業施設が多数、存在する梅田地区。その中でさらに競合しないよう、新しい要素を付け加えていくか。とても難しい課題だと思う。

 

 一方、19年冬に開業予定の「(仮称)ヨドバシ梅田タワー」は、すでに工事が始まっている。延床面積は、既存の「ヨドバシ梅田」とほぼ同規模の約10万5,200平方メートルだ。地下4階、地上34階の構造になる予定。商業やホテルなどで構成する計画である。うち、商業部分は地下1階-地上8階の9層――約4万8,500平方メートル。同じく梅田にある「ルクア」が5万3,000平方メートルの店舗面積なので、それに近い規模の商業施設がもう1つできることになる。

 

 取材する側としては、次々に新しい商業施設ができる状況は歓迎したいが、その半面、果たして共存共栄が図れるのだろうか?と疑問も抱く。供給過剰であることは誰の目にも明らか。釈迦に説法だが、梅田商圏に“足りない要素”を補完していくことが、再開発の肝ではなかろうか(各部署のお偉方はもちろん、理解されていると思うが)、というコメントで締めざるを得ない。果たして、どうなるでしょうか・・。


 

 

樋口 尚平
ひぐち・しょうへい

 

ファッション系業界紙で編集記者として流通、スポーツ、メンズなどの取材を担当後、独立。 大阪を拠点に、関西の流通の現場やアパレルメーカーを中心に取材活動を続ける。

 

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