PICK UP
2014.06.25
「今後気になるウォルマートのモバイル戦略」
覚えていますでしょうか、以前この FASHION x IT のコラムで「 Stylr 」というリテールでのお取り置きサービスを可能にしたアプリを紹介したのを。
「 Stylr 」はニューヨークを拠点に２０１２年１０月創設。スタートアップ・アクセラレーターである DreamIt Venturesが 主宰する、２０１３年のインキュベーションプログラムに選ばれ、メンターシップや資金援助を受けながらファッションアプリの開発、改善、サービスの向上に努めてきました。
アプリ自体がリリースされたのは１年ちょっと前。私がコラムで紹介させて頂いたのが昨年の１０月で、その頃メールでの数回ではありますが創設者のひとりの方とアプリの使い勝手の感想をやり取りさせて頂きました。
そして今月１７日の午後、 Stylr の共同創設者でＣＥＯであるEytan Daniyalzade氏よりこんなメールが届きました。その一部を紹介。
“Over the past 18 months, we have been working hard to elevate your shopping experience. We believe that the future of shopping will be drastically different. It will be more personalized, convenient, and most-importantly, customer-centric. Our mission at Stylr has been to invent that future, and we cannot imagine a better place than Walmart to make it a reality. We are happy to announce that Stylr has been acquired by Walmart…”
（訳：これまでの１８ヶ月間、我々は貴方のショッピング体験をより良いものにする為に懸命に努力をしてきました。
我々は今後の買い物の仕方が変わると考えています。それはよりパーソナライズされ、便利で、そして最も大切なのはお客様中心になるということです。
スタイラーでのミッションはその未来を創り出すこと、それを実現する場としてウォルマートは最高の場なのです。 スタイラーはウォルマートにより買収されたことをここに報告致します。．．．．）
なんとあの Stylrが買収されたのです！
Stylr はウォマートのアプリに導入されるのか？
このニュースはテック系ではもちろん、米WWD紙でもちろん記事になっています。正確にいうと Stylr は、シリコンバレーにある@WalmartLabs により買収。
We’re excited to announce @StylrApp is joining @WalmartLabs to enhance the in-store #mobile experience! http://t.co/UEXvzuFoVl
— @WalmartLabs (@WalmartLabs) 2014, 6月 17
ツイッターにもStylr買収のツイート記事が。
@WalmartLabsは、Walmart.comやモバイル販売を研究、そして技術を開発している、言わばデジタルやソーシャルメディアをとことん研究している組織。
因みに、この３年の間で今回シリコンアレーを拠点とする企業の買収では Stylr が初なのだそうですよ！
今回の買収額についてなどは明かされていないわけですが、 Stylr 自体のサービスは６月３０日をもって終了。アプリのストアよりもダウンロード出来なくなり、またサーバーよりユーザーのデータは全て削除されるということです。
さて Stylr のサービスは今後ウォルマートのモバイルアプリに導入されるのか？というとそうではなく、今後は創設者である Eytan Daniyalzade と Berk Atikoglu は、@WalmartLabsｂのモバイルチームに参加し、Stylr のサービスの開発・運営を通じ学んだことを、今後ウォルマートのモバイルサービス向上に役立てて行くようです。
Retail + Social + Mobile = @WalmartLabs
ウォルマートでは、お客様のスマートフォンユーザーのうち半数以上がストアでのショッピングの際にスマフォを活用し、また３５歳以下のお客様の８０％はスマートフォンを所有していると@WalmartLabs のブログページでも伝えら、これらの数字は今後益々増えていうことです。
こうした数字、特にスマートフォンの所有率などはウォルマートだけでなく、日本のリテールでも実際同じなのではないでしょうか。
「クロスチャンネル」、「Ｏ２Ｏ」、「オムニチャンネル」。。。
こういったトレンド用語はさておき、単純によりストアへお客様に出向いてもらう機会を作り、またストアでのお買い物体験を充実させるには、オンラインやモバイルの存在、またソーシャルメディアの活用は欠かせない。
頭のどこかで理解していても、予算や色々な事情で取り組めきれていない企業さんも沢山あるかと思います。
しかし便利でより良いサービスが求められる時代の中でお客様のニーズに応えて行くには、出来る限りでもその一歩を踏んで「リテール」＋「ソーシャル」＋「モバイル」を繋げる取り組みを実行していく必要があると感じます。
テクノロジーの進化について行けないよ～と嘆くのではなく、ワクワクして欲しい。自分たちがワクワクしてお客様に新たな形のサービスを提供出来れば、必ずやお客様は笑顔でリターンしてくれるに違いありませんよ。
 |
R I N A 90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。
以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとＩＴ関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。
■ アパレルウェブ ブログ |
