PICK UP

2023.09.11

Fashion-Ryoku Vol.60 ファッションの裏技拝見「TOKYO BRAND PICK UP」ODAKHA(オダカ)デザイナー/小髙 真理さん

人から人へ渡り、アップデートされていく服づくり

 

 

 ニットウェアに特化したウィメンズブランド「malamute(マラミュート)」が、2023-24年秋冬シーズンよりブランド名を「ODAKHA(オダカ)」に改め再スタートを切った。ファーストコレクションから続けている日本各地の職人と二人三脚で生み出すハイクオリティーなニット表現を、海外に向けて発信していく。デザイナーの小髙真理さんに会うため、ショールームを訪ねた。

<PROFILE>
Mari Odaka 
文化ファッション大学院大学卒業。メーカーでニットデザイナーとして経験を積んだ後、2014年に自身のブランド「malamute」を設立。2022年、東京ファッションアワード受賞。2023-24年秋冬シーズンよりブランド名を「ODAKHA」に改名。
Website: https://odakha.jp/
Instagram:@ odakha_official

 

■ブランド名を変えた経緯は?

 

 2022年に「東京ファッションアワード」を受賞して、初めてパリのショールームへ出展したのですが、ニットのアプローチに対しても品質についても、すごく反応が良かったんです。でも海外で「マラミュート」は犬種のイメージが強いみたいで、日本で作っていることをもっと強く発信していくために、ブランド名を自分の名字である「オダカ」に変えました。タグにはすべて「メイドインジャパン」と表記しています。。ジャパンメイドの素晴らしさをオダカで体現して発信していきたいです。

 

■そもそもファッションに興味を持ったきっかけは?

 

 幼少期に祖母から花柄のワンピースをプレゼントしてもらったのですが、それを着るのがすごく嫌だったんです。フリルが可愛い素敵なワンピースだったんですけど、当時はもっと動きやすい方が良くて、自分で服を選ぶようになりました。高校生の時、ファッション雑誌を読むのが大好きで編集の仕事に興味を持ち、ファッションの大学へ見学に行きました。たくさん作品を見ているうちに服作りに興味が湧いて、クリエーションを学ぶ学科を選びました。

 

■どんな学生生活でしたか?

 

 大学では、ゴブラン柄をウールや透ける素材にプリントしてゴブラン織のように見せる作品など、テクスチャーの研究をしていました。その後大学院へ進学して、ニットCADの授業で編み地のサンプルを見せてもらった時に、オリジナルの柄から不思議な模様まで、色々なテクスチャーを投影できることに感動して、コンピュータープログラミングニットの世界にのめり込みました。修了制作では、ニットの技術を惜しみなく使った作品を発表しました。

ODAKHA 2023-24 A/W Collection “shades of flowers”

 

■その後、ブランドを立ち上げるまでの道のりは?

 

 卒業後は、ニットのOEM会社に就職しました。少人数の会社だったので、縫製から仕上げまで任せてもらえて、生産の流れも学べましたし、色々なニッターさんに出会えました。コレクションブランドの製造も受けていたので、だんだん作りたい気持ちが溢れてきて、2014年にニットを強みとした自身のブランド「マラミュート」
を立ち上げました。

 

■ブランド設立からまもなく10年。思い入れのあるコレクションはありますか?

 

 2019年春夏シーズンに、パルコの支援で初めて東京コレクションに参加しました。ファッションブランドとしてトータルで見せていこうと、ニットだけでなく布帛アイテムの展開を始めて、そのタイミングで取引先も増えたので、大きなターニングポイントでした。

 

  • 1. 長年タッグを組んでいるプログラマーと作る「クレイジーニット」シリーズ。その複雑で緻密な模様は「毎回ニットの柄の限界に挑戦している」と話す。

  • 2. 小髙さんが描いたチューリップ柄のホールヤーンジャカード。

  • 3. チューブヤーン、ナイロン、モヘアの3種を用いたハンドニットのドレス。

  • 4. 花のモチーフを連想させるシルエットやディテールが楽しいコレクション。

アメリカの現代芸術家、サイ・トゥオンブリーが描く赤い花からインスピレーションを受けた2023-24年秋冬コレクション。素材違いの赤地が織りなす陰影をニットのバリエーションで見せた。

 

■服づくりへのこだわりは?

 

 内面的にも物理的にも行動しやすい服を考えていつもデザインしています。着ると前向きな気持ちになれたり、エネルギーをもらえたり、それでいて動きやすく活動しやすい服であることを常に意識して作っています。

 

■今後の目標は?

 

 これまではニットの職人さんだけでしたが、今後はニット以外の職人さんとのモノづくりにもチャレンジしていきたいですね。ODAKHAの「H」にはhand to handの意味も込めていて、デザインやアイデアって人から人へ渡ることでどんどんアップデートされると思うんです。職人さんとの会話の中でより面白いものに改良されることもありますし、それはやっていて一番楽しいところですね。

 

■若者へメッセージを。

 

 やりたいことや気になることは、学生のうちにたくさん経験して、面白いものをどんどん創造してください。素敵なアイデアを見ると私も励みになります。

 

 

Interview : Masahiro Kubo, Sakura Tsuchiya Photo : Sakura Tsuchiya

■「ファッション力 (Fashion Ryoku)」

杉野学園出版部が発行しているフリーマガジン。2008 年 6 月より、毎回パリ プレタポルテ、オートクチュール終了時を目安に年 4 回発行。
デザイナーインタビュー、コレクション報告、スナップ、座談会などを掲載している。

 

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