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2016.02.26

ショーのアイテムがすぐ買える NYコレクションで目撃した“BUY NOW!”なムード

 すでに日本のメディアでも取り上げられていますが、今回のニューヨークコレクションで「レベッカミンコフ(Rebecca Minkoff)」は、オンタイムで購入すること(一部は30日後位には手に入る)ができる2016年春コレクションを発表しました。コレクションのライブストリーミング映像は、タイムズスクエアの大型スクリーンにも流れました。ランウェイショーで発表された「今すぐ買える」コレクションは、「レベッカ ミンコフ」のストアはもちろん、オンラインでも購入が可能です。

 rebeccaminkoff.comでランウェイをストリーミングすると、モデルがまとっているものの中から、今すぐ買えるアイテムが画面の両サイドにポップアップされます。クリックすれば詳細ページへとジャンプできる仕組みになっています。

 

  実際にファッションショーや、世界中で開催されるコレクション発表に関心がある人ならば感じたこともあるのでは?!今見たものを今すぐ着てみたい!という、もどかしい想い。そうした感情が巨大化し、もう無視できないところまで達している現実に率先して応えたのが、ニューヨークブランドの「レベッカ ミンコフ」なのです。

 

 以前も、最新のテクノロジーを導入した「レベッカ ミンコフ」のストアをコラム(Vol.48 「レベッカミンコフ」ファッションとITが融合したNY旗艦店)で紹介しましたが、現在はマンハッタンの五番街にある「ポロラルフローレン(POLO RALPH LAUREN)」のストアでもテクノジーを活用し、ストアでのショッピングをスムーズにする、スマートミラーがフィッティングルームに設置されています。

今すぐ買えるアプローチは響くのか?

 

This leopard silk dress, though? Shop via #LinkInBio

A photo posted by Banana Republic (@bananarepublic) on

 「レベッカ ミンコフ」とは違い、「バナナリパブリック(BANANA REPUBLIC)」のプレゼンテーションでは2016年秋冬のメンズ、ウィメンズのコレクションがひとつの会場で同時に発表され、その中で一部の商品をオンタイムで買えるアプローチを行いました。秋冬コレクションは半年先に発売されるものですが、この中でハートのマークを持ったモデルたちが着用している6つのスタイルが、「BUY NOW!」の対象アイテムです。

 

#ToryBurchFW16 #NYFW #Regram @manrepeller

A photo posted by Tory Burch (@toryburch) on

 一方の「トリー バーチ(TORY BURCH)」は一部アクセサリーや、昨シーズンから展開を開始したアスレジャーライン「トリー スポーツ(TORY SPORT)」のトラックパンツを「BUY NOW!」アイテムとしました。

 

 トラックジャケットにおいては、NYノリータ地区のストア内で開催中の「トリー スポーツ」ポップアップショップで販売し、モノグラムのサービスが受けられる特典をアピール。このインスタグラムにアップされた白いトラックパンツに至っては1日で完売したそうで、今すぐ買えるアプローチはお客様の関心の高さが分かります。

視覚・聴覚・味覚で感じる プレゼンテーションのワクワク感

 美しいコレクションに身をまとったモデルが、自分の目の前を歩くランウェイショー。そのラグジュアリーさは何度体験しても心を奪われます。しかし、プレゼンテーション形式での招待客が思い思いにそのシーンをスマートフォンなどで撮影し、SNSにシェアして伝えるパワーも同じくらいメッセージ性があると今シーズンは感じました。

 「ケイト・スペード ニューヨーク(Kate Spade New York)」のコレクションは、ロックフェラーセンタービルの65階にあるレインボールームを会場に開催されました。ジャズのライブ演奏が流れ、中央に円になって並ぶモデルたち。天井から吊るされたシャンデリアや、100本以上はあろうかというピンクのバラ。来場客を迎えるシガレットガールはコレクションのノベルティーを配り、シャンパンやバイトサイズのフィンガーフードも振る舞われました。

 「ケイト・スペード ニューヨーク」は毎シーズンこうしたプレゼンテーション形式でコレクションを発表しますが、今シーズンはこれまでになく、「視覚」「聴覚」「味覚」すべてを刺激していました。外の寒さとは裏腹に、女性たちの熱気で春が訪れたようなワクワクした気分にさせてくれました。

 「アリス&オリビア (Alice & Olivia)」も毎シーズン、デザイナーの世界観へ引き込むコレクションをプレゼンテーションで見せるブランドのひとつ。今シーズンはニューヨークの’70年代のカルチャーやアートシーンをテーマに、サイケデリック(幻覚芸術)なプリントや刺繍使い、レザーとレースを組み合わせたスカート、ブロケードのテイラードスーツなどデザイナーのステイシー・ベンデッドのディテールへのこだわりを感じさせ、ラグジュアリーに仕上がっていました。 その時代にタイムスリップした来場客は、絶え間なくインスタグラムしていた事は言うまでもありません。

 これまで4年以上パリでコレクションを発表してきた「アーペーセー(A.P.C.)」。NY発の人気アスレチックブランド 「アウトドアヴォイシーズ (Outdoor Voices)」とのコラボレートをきっかけに、ニューヨークでコレクションを発表することは、デザイナーのジャン・トゥイトゥ、そしてスタッフにとっても新鮮な試みになるのではないかと今回実現されました。デザインに対する美学を感じさせるコレクションは、ジャン・トゥイトゥ自身によって説明されましたが、こうしたプレゼンテーションのアプローチは、ニューヨークコレクション:メンズでマイケール・コースも行っています。 <デザイナーがコレクションについて直接語る>という親密感のあるプレゼンテーションは、派手さこそありませんが、デザイナーとの特別な時間を過ごした充実感を得られます。

 「パブリックスクール(PUBLIC SCHOOL)」のウィメンズショーで発表されたのは、ウェアラブル端末の「フィットビット(FitBit)」とコラボレートしたアイテム。

 ファッションXテクノロジーのアイテムとしては気になりますが、きっと発売は秋以降になるそうです。忘れないようとりあえずPinterestやFancyに保存しておいても、実際に買える頃には、その欲しい物リストの中で競争する羽目になりますよね。今なら飛びついて買うかもしれませんが、秋以降だと購買意欲がなくなっているかもしれませんね。 そう思うと、実際に取材に行かせて頂いた「レベッカ ミンコフ」のランウェイショーには、今見たルックが今すぐ買えるんだ!という、とてつもないワクワク感があります。まだまだ冬空のニューヨークでも、寒いねと連発しているうちに、気づけば春はやってきます。その時に、先月ランウェイで見たあの服が着られるんだと思うと、ついつい「ポチっ」としたくなります。 「レベッカ ミンコフ」の様なショー形式をするデザイナーが増えるかは分かりませんが、「BUY NOW」な流れは今後、ブランドそれぞれの形で、ニューヨークコレクションで取り入れられるのではないかと感じます。


 

RINA  

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

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