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2018.04.11

スローダウンの兆し見えない再販市場――多様化する小売りの形とマーケットシェア

 「スレッドアップ(ThredUp)」は、3万5000種類のブランドを取り扱い、1時間平均1,000点の商品がアップされる最大手の再販ストア。従来の店舗型のスリフトショップと異なり、不要な服を専用の袋に入れて送るだけで、オンラインでの販売が可能となる手軽さが人気です。昨今では、年収450万~1,200万円以上の中高所得者層が全体の50%を占めており、宝探し的なスリルがショッピング体験として消費者を魅了しています。

 

 その「スレッドアップ」が毎年発表している調査レポートによると、米国の再販市場は現在の180億ドル(1兆9,000億円)から、2022年までに、410億ドル(約4兆3,460億円/$1=106円として)への成長が見込まれています。2017年から2018年にかけて、アパレル全体の成長率がわずか2%であるのに対して、再販市場は49%増と、24倍もの成長率で圧倒しています。前年調査の3,500万人から、現在はその1.3倍の4,400万人の女性が中古のアパレル商品を購入しており、18~24歳の女性で40%、18歳で3人に1人と、若年層に多く利用されています。

投資家受け”もいい オンライン特化の再販市場をけん引する3社

ブランド名

詳細
スレッドアップ(ThredUp) ブランド商品全般
投資額:1億3,00万ドル(約
137億円)
ザ・リアルリアル(The Real Real) ラグジュアリーブランドのみ
投資額:1億7,300万ドル(約183億円)
ポッシュマーク(PoshMark) ブランド商品全般
投資額:1億5,300万ドル(約162億円)

 トレジャーハント(宝物探し)感覚でのショッピング体験が人気となっており、特に、上の3つのサイトが、マーケットをけん引しています。消費者のみならず、投資家達にも人気で、各サイト100億円以上の資金を調達しています。

「スレッドアップ」で即売したブランドトップ10

1.フライ(FRYE) 6. ルルレモン(Lulu Lemon)
2. ルラロー(LuLaRoe) 7. モドクロス(ModCloth)
3. エバーレーン(Everlane) 8. クロックス (Crocs)
4. アグ(UGG) 9. ノースフェース (The North Face)
5. トムス(TOMS) 10. アンソロポロジー (Anthropologie)

 2017年9月から2018年3月までの半年間のデータをベースに、即売したブランドが挙げられています。昨年データでは、最も早く売れるアイテムは靴でしたが、今年も靴のブランドが4社(フライ、アグ、トムス、クロックス)ランクインしました。また、フェイスブック上のポップアップパーティーが主婦層に人気の「ルラロー」や、生産数をコントロールし希少価値の高い「エバーレーン」、ウォルマートが買収した人気のEC「モドクロス」がランクイン。「モドクロス」はビッグサイズに力を入れている先駆者として知られ、時代を反映した企業がランクインしているのが印象的です。

ファストファッションのシェアに迫る再販サイト 販売形態の多様化とチャネル別シェア予測

Souce: Courtesy ThredUp

 スレッドアップ社の資料の中で興味深いのが、実際の売り上げと販売予測をベースに算出された、販売チャネル別のシェア。2007年時は、デパートや中間価格の小売り店が全体の大半を占めていましたが、ECの成長や、小売り店舗の大量閉鎖に伴い、バランスが変化しています。2017年に入ると、若年層のライフスタイルにマッチした、「レント・ザ・ランウェイ」に代表される定期購入サイトや、「エバーレーン」などの新たな販売形態の登場で多様化しました。

 

 なかでも、節約志向の消費者からの支持を得たのが、オンラインに特化した再販ストアで、2027年には、ファストファッションの10%を超える11%のシェアが予測されています。オフプライス店も突出していますが、全体にシェアを分けたようなバランスが特徴的です。

 

 新たなストア形態が増えることで、さらなる分散化が見られるでしょう。大手企業の一手は、定期購入プログラムを導入したり、レンタルなどの人気分野に参入したクロスオーバー事業によって、シェアを確保することになるのではないでしょうか。


 

 

マックスリー・コーポレーション
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マックスリー・コーポレーション ( CHIZU NISHIDA )
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