PICK UP

2018.04.13

第9回目のゲストはトランジットジェネラルオフィス 中村貞裕氏 「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」

 USEN(東京、田村公正社長)が運営する音楽情報アプリSMART USENで配信中の「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」。ウェブメディア「ジュルナルクボッチ」の編集長兼杉野服飾大学特任教授の久保雅裕氏が、ファッション業界で活躍するゲストを招き、普段はなかなか聞けない生の声をリスナーに届けるが、アパレルウェブでは、その模様をレポートとして一部紹介していく。第9回のゲストはトランジットジェネラルオフィス 代表取締役社長・中村貞裕氏。

<前略・オープニングトーク>

 

石田紗英子:さあそれでは、お招きしましょう。トランジットジェネラルオフィス代表取締役の中村貞裕さんどうぞ。はい、ではまずは中村さんの少年時代から。

 

中村貞裕:父親は静かな方なんですけども、実家がいろいろアイデアを商品化するような仕事をしてたので、小さい頃から僕に「今何流行ってんだ」とか、「なんか面白い情報ないか」とかっていうのを、なんか意味もなく挨拶変わりに聞くんですよ。それで、「今こんなの学校で流行ってるよ」とか。それから「こういうのがあるんだけど、知ってる?」とか聞かれたり。なんか挨拶がちょっとアイデアを聞くような感じだったので、僕も小さい頃からなんか父親に喜んでもらうために、いつの間にか流行りを考えるようになっていったような気がします。それが口癖みたいで、僕にも移っちゃって、うちのスタッフとかにそういう質問ばかりするんですよ。

 

石田:「なに流行ってるの?」っていう。

 

中村:実は3~4年前に、『ミーハー仕事術』っていうピンク色の本を出しまして。ちょっとピンクが派手過ぎて、みんな困ってたんですけど。その本に書いてあるんですけども、すごいミーハーだったんですよ。熱しやすくて冷めやすくて、いい意味で言うと好奇心旺盛で。なので、本当に小さい頃から、新しいものに飛びついては飽きて、ちょっとやっては次に行くみたいな。学生時代、ちょっとドラマかなんかで見てカッコよくてバスケ部に入るんですけど、3か月で幽霊部員になって。スケボーもちょっとやると、少し乗れると飽きて。で、スチャダラパーが流行るとDJセットをちょっと買って、LPを5枚くらい買って、いつの間にか埃だらけになっていたり。BOØWYが流行ると、ギターを買ってもらって。親が甘かったのかもしれないですけど。ワンフレーズ弾けるようになると、その時僕覚えてる、サザンオールスターズの『Ya Ya』のイントロなんですけど、それを500回位みんなの前で弾いたの覚えてるんですけど。

 

石田:えぇ~?

 

中村:でも、それで終わりで、弾いた風になってるみたいな。

 

久保雅裕:もうギターも辞めちゃった?

 

中村:そうですね。彼女ができると、手料理でもっていうんで、5時間くらいかけてチョリソー入りオムライスを作って。めちゃくちゃ美味しかったんですけど、それ1個できたら満足で。後にも先にも料理したことがあんまないんですけど。

 

<中略・藤巻幸夫さんとの出会いから伊勢丹時代まで>

 

久保:「リスタイル」の売り場もやはり同じように、買い取りでデザイナーを自主編集する売り場ということで。「解放区」はどちらかというと割りと若手だったのが、リスタイルはもうちょっと上で、世界のというね。だからリスタイルのバイヤーやっていたという人でバンバン名前が出ていく人が、その後どんどん続いていくんですよ。今「ロンハーマン」をやっている三根さん然り、それから中北さんなんかも頑張ってやっているし。そういうメンバーを輩出して行って、藤巻さん自体は伊勢丹をお辞めになられて。それと同時くらいですかね、中村さんが辞められたのは?

 

中村:そうですね、藤巻さん辞めて3か月後くらいに、ちょうど30歳ですかね、僕は。藤巻さんは40歳くらい…。

 

久保:何年務めたの?

 

中村:7年弱ですね。7年目に伊勢丹では係長試験があって。それに受かると、晴れてアシスタントがとれて、バイヤーやマネージャーになれるんですけど、それに受かっちゃうと、ちょっと辞めにくくなるっていうタイミングで。ま、たぶん受けても落ちるなっていう確信があったこともあって、

 

久保:嘘だろ(笑)

 

中村:これ受けない方がいいなと思って。それで、辞めようと。ちょうどタイミングですね。30歳とか、藤巻さんが辞めるとか、ちょうど僕が「カフェやりたいな」と思って。その全てのタイミングがあって。

実は2年目に藤巻さんの下に就いて、やっと就いたのに、ちょっと僕の思い描いてた、藤巻さんの下での仕事と、バイヤー的な仕事が違って、辞表を出してたんですよ。ただ、その時藤巻さんが「辞めるくらいだったら、伊勢丹はクビにならないから、クビになるくらいのつもりで、遠慮せずに好きなことやれ」と。それで、いろんなイベントをやったり。藤巻さんの下にいると物凄い数の名刺交換で。それから、いろんなところに連れて行ってもらうんでですけど。ただ、その人達と会う時間がなくて。それで、毎週金曜日に「残業しないで帰って良いですか」って言って、その人達とまとめて集めるイベントをやらせてもらったりして。結果、今の仕事に生きる人とのつながりとか、巻き込み方とかを学んだのです。

 

久保:なるほど。それで、そもそも何が藤巻さんの下に行った時に、思い描いてたことと違ったんですか?

 

中村:いざ下に行くと藤巻さん厳しくて忙しくてしゃべってくれなくて。あとはストック整理したりとかで、まだファッションショーに行ったりできないじゃないですか。

 

久保:藤巻さんは海外のコレクション行ったりしてて、自分はもそこに行けると思っていた。

 

中村:だから店頭で販売して、ストック整理や品出しをしたりとかなんで。さっきのように藤巻さんに言われてから、藤巻さんに来たファッションショーのチケットを勝手に盗んで、藤巻さんの行かないショーなどに代わりにどんどん行って。今でも覚えているのがニューヨークに出張じゃなくて有休取って行きました。ニューヨーク事務所に行くと、伊勢丹にどんどんショーのチケットが届くんですけど、その当時バイヤーが、ニューヨークよりみんなパリに行く時期が多くて、ニューヨークにあんまり来なかったんですよ。だから余っちゃっていて。それを全部もらって、がんがんショーに行きました。例えば「マークジェイコブス」に行ったら、ナオミ・キャンベルとかもいる全盛期の凄い時期なんですけど、フロントロウとかに座らされちゃって。入社4年目とかなのに。ばっちり映っちゃって、めちゃくちゃ怒られちゃって。(笑)

<中略・伊勢丹退職からオフィス立ち上げまで、中村流バスらせ方の話>

 

石田:これから起業しようという方も多いと思いますし、ファッション業界や飲食関係を目指そうという方に、中村さんからメッセージを頂けますでしょうか?

 

中村:藤巻さんと6年間くらい一緒に居て、長い時間を過ごしていろんな事を教わったんですけど。その中で新入社員向けで、ちょっと使えるなって思ったやつに僕の色を足したりしているのがあって。藤巻さんが言っていたのは、ビジネスで大切なのは運と縁とセンス。

それって、みんなにあるんですけど。それをいい縁、いい運、いいセンスにする事が大切だと。でもそれ全部積み重ねなんですけど。例えばお二人とは僕は、すごい昔から縁をもらってるんですけど、その縁をいい縁にする為に連絡を取り合ったり、今回もこうやって呼んで頂いた事によって更にいい縁になる。まぁ、縁を切らさない努力をするっていうか。そして、いい縁にする。あと運というのはチャンスって事なんですけど、僕が17年前やってた本当に小さな仕事も、今もたくさん依頼が来るんですけど、大小関わらず、基本的にうちのコンセプトは、「全ての仕事を断らない」っていうのがあるんですけど。僕はほとんどいろんな人と会うんですね。そういう事からちっちゃい仕事、僕がやらなくても会社で受けるっていう。それが3年、4年積み重ねると大きな仕事になってるのが何個もあって。あの時に、これ断ってたらこれは無かったよね、みたいのがあるんで。小さなチャンスもビッグチャンスに変える積み重ねだと。そしてセンス。ファッション業界や僕の仕事でも一番大切なのはセンスなんですけど、本当に1つでも多くのセンスのいい音楽、映画、ファッション、人、国、店とか、ひとつでも多くのセンスの良いものに触れた人がセンス良くなると思っているんですよ。でも藤巻さんも入社の時の写真見ると多分同期で一番ダサいんですけど。(笑)

 

久保:ははは(笑) 痩せてはいたけどね、最初は。

 

石田:(笑)

<後略・さらに中村流アドバイスは続く>

 

詳細は、SMART USENでお聴きください。

■公開情報
USENの音楽情報サイト「encore(アンコール)」
http://e.usen.com/

SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」、第9回のゲストはトランジットジェネラルオフィスの中村貞裕さん

メールマガジン登録