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2022.06.10

変わる決済オプション、加速していく仮想通貨での支払い

 オンラインや店舗での買い物の際、現金、クレジットカード、電子マネーなど決済の選択肢は広がっています。アメリカでは、Apple Pay(アップルペイ)、Google Pay(グーグルペイ)、Samsung Pay(サムスンペイ)、PayPal(ペイパル)などの決済オプションが加わり、日本でもSuica(スイカ)/Pasmo(パスモ)、PayPay(ペイペイ)、LINE Pay(ラインペイ)などを日常的に利用しているなんて人も増えてきました。そうした段階を踏み、進化してきた決済方法はいま、改めて変革期を迎えているようです。今回は暗号資産決済を導入している海外のファッションブランドの最新事例を中心に紹介していきます。

BALENCIAGA (バレンシアガ)

BALENCIAGAの公式サイトより

 ラグジュアリーブランド「BALENCIAGAバレンシアガ)」は5月、支払い方法に暗号資産を導入すると伝えました。米国市場を対象として開始される仮想通貨での支払いは、ニューヨークやロサンゼルスにあるバレンシアガ のフラッグシップストア、またオンラインでも利用できるそうです。使用できる仮想通貨はBitcoin(ビットコイン)とEthereum(イーサリアム)。

OFF-WHITE ( オフホワイト)

ロンドンにあるOFF-WHITEの旗艦店

(OFF-WHITE公式サイトより)

 故ヴァージル・アブロー氏が創設したラグジュアリーレーベル「OFF-WHITE(オフホワイト)」がロンドン、パリ、ミラノにあるフラッグシップストアにて、オフホワイトの商品を対象に暗号資産(仮想通貨)での支払いを開始。Vogue Businessが3月に記載した記事によれば、顧客は、Bitcoin(ビットコイン)、Ethereum(イーサリアム)、Binance Coin(バイナンスコイン)、Ripple(リップル)、そしてステーブルコインのTether(テザー)、USD Coin(ユーエスディーコイン)が利用できるそうです。

GUCCI (グッチ)

 「GUCCI (グッチ)」は、5月末より米国内の一部の店舗で、暗号資産での支払いに対応すると発表され、今夏中には北米の直営店全てで対応されていく見込み。サービスはまず、ニューヨークのソーホーにあるウースターストリートの店舗や、ロサンゼルスのロデオドライブ、マイアミのデザインディスリクト、アトランタのフィリッププラザ、そしてラスベガスのザ・ショップス・アット・クリスタルズで導入が開始されます。支払いはBitcoin(ビットコイン)、Bitcoin Cash(ビットコインキャッシュ)、Ethereum(イーサリアム)、Wrapped Bitcoin(ラップドビットコイン)、Litecoin(ライトコイン)、Shiba Inu(シバイヌ)が対応予定となっており、この他にも米ドルに連動した5つのステーブルコインに対応する予定。店舗ではなく、まずはオンラインでの仮想通貨決済対応を始めているブランドもあります。

TAG HEUER(タグ・ホイヤー)

TAG HEUERの公式サイトより

 スイスの高級時計メーカーの「TAG HEUERタグ・ホイヤー)」も今月19日、米国の顧客を対象に、暗号資産での決済の提供を開始するそうです。5月19日にTwitterに発信した情報によれば、米大手の仮想通貨での決済を取り扱うBitPay(ビットペイ)とのパートナーシップにより、オンラインで仮想通貨での決済を提供すると伝え、顧客は、Bitcoin(ビットコイン)、Ethereum(イーサリアム)、Litecoin(ライトコイン)、そしてその他10種の仮想通貨を使用することができるということです。その他、ファッションブランドの「Philip Plein(フィリッププレイン)」は24種の暗号資産の利用を決済オプションとして加えました。同ブランドは、昨年8月からBitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)などの暗号資産(仮想通貨)の利用受付を開始したファッションブランドの中でも、積極的な動きを見せるブランドのひとつです。

 

 こうしたラグジュアリーブランドの他に、米国では、Z世代からミレニアムズ世代を顧客にもつライフスタイルブランドの「PACSUN(パックサン)」も、BitPay(ビットペイ)とのパートナーシップにより、2021年10月よりブランドのECサイトの決済オプションに仮想通貨での支払いを追加。パックサンはユースに向けたファッションブランドとして初の仮想通貨の決済導入だと当時伝えられていました。

 

 ファッション以外では、米国の映画館「AMC theatre(エーエムシー・シアター)」にも注目しておきたいところです。エーエムシー・シアターは、3月19日までにはオンラインでの支払いで仮想通貨決済対応を開始し、4月16日までには自社アプリでも対応をしていくと、AMCのCEOが3月初旬にツイートしました。エーエムシー・シアターはすでに2021年11月よりBitcoin(ビットコイン)、Ethereum(イーサリアム)、Bitcoin Cash(ビットコインキャッシュ)、Litecoin(ライトコイン)の支払いオプションの提供を開始しています。

 

 エーエムシーでは支払い方法に仮想通貨を加えるだけでなく、Apple Pay(アップルペイ)、Google Pay(グーグルペイ)、 Bitpay(ビットペイ)、そしてVenmo(ベンモー)なども追加しました。こうした新たな決済方法をオンラインで利用する人は、およそ35%存在することが分かったと2022年度Q1で報告されています。

 

 “どこでも使える“とはまだ言えませんし、使用する人もまだごく一部かもしれませんが、仮想通貨での決済オプションを追加していく企業は徐々に増えていると感じています。2022年の折り返し地点まできたいま、今年の終わりを迎える頃には、どれだけのブランドや小売業が暗号資産を前向きに導入しているのか、今後の動向が楽しみです。


 

 

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

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