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2022.06.02

お小遣いを貯めてでも欲しい! ロックダウン中も飛ぶように売れているZ世代のトレンドブランド

「Love Shack Fancy」のECサイトより

 コロナ禍でのライフスタイルの変化により、メタバースやバーチャルファッションといった分野が、この2年間で急速に普及し、企業もユーザーとの接点を模索している最中です。そんな中、現代社会の若年層の中で、急激に売上が上昇しているブランドが登場しました。

花柄・フリル・レースに夢中!

Z世代のお気に入りブランド「Love Shack Fancy」とは

 NY発のLove Shack Fancy(ラブシャックファンシー)は、コスモポリタン誌の元エディターであるRebecca Hessel Cohen(レベッカ・ヘッセル・コーエン)が2013年に立ち上げたブランドです。もともは仕事で世界中を旅する間に、ビンテージのテキスタイルや装飾リボン、レースなどを集めていた彼女が、自身の結婚式のブライズメイドドレスを作ったことをきっかけにビクトリア調やエドワード調のロマンチックでフェミニンなテイストを現代風に取り入れたブランドをスタートさせました。カラフルな花柄やデコラティブなフリル、タック、レースなどの装飾は、当時のファッショントレンドや、コロナ前後のスポーティでミニマルなデザインとは異なっていました。しかし、ハイブランドを多く取り扱うファッションサイト「Revolve(リボルブ)」では、2021年の売上が前年比の50%増、ファッションレンタルサービスの「レント・ザ・ランウェイ」では上位20%のブランドに挙げられ、また、ファッションメディアWWD主催のベストパフォーマンス・ファッション企業としても選出されたのです。

ビクトリア調の「Love Shack Fancy」が、なぜ今売れているのか?

 ルルレモンやナイキ、ブランディメルビル、イージーブーストのスニーカーを身に着けていたZ世代が、今では、バーチャルな世界ではなく現実社会で、お小遣いをセーブしてまで欲しい洋服として、このブランドをこぞって支持しています。TikTokでも「#loveshackfancy」は6,500万回以上再生され、フリル付きのミニスカートの人気はとどまるところを知りません。ワンピースが400-600ドルと、ハイブランドよりは手に入れやすい価格ですが、アバクロやアーバンアウトフィッターズと比べると高額で、ステータスを感じるブランドとして絶妙な価格設定となっています。でも、なぜ、同じようなテイストのローラアシュレイやベッツィジョンソン、リリーピューリッツァーではなく、このブランドが支持されているのでしょうか。

全ての販売チャネルでの成長戦略と

デパートに欠けていたロケーションごとに異なる店舗

 Love Shack Fancyの成長は、インターネットでの販売のほか、ノードストロームラックやバーグドルフグッドマンなどの高級デパートをはじめ、Net-a-porterRevolveなどのハイブランドECサイトでの卸売り、そして実店舗の出店が鍵となっています。少し前までは、卸売りを進めるとブランド自体の世界観や認知が遅れ、ビジネスの成長が遅れると言われていました。しかし、ネット販売が主流となりつつある現在、実際に販売している“場所“は非常に重要な意味を持つようになっています。卸売りやD2C、店舗ともに、大幅な成長を遂げているようですが、特に卸売りの拡大がポイントとなっているようです。

 現在、Love Shack Fancyの直営店はNYをはじめ、ロス、フロリダ、テキサス、テネシーなど合わせて14店舗あり、今後さらに拡大を予定。海外での出店も視野にいれており、いずれもファッションに敏感な中高所得者若年層のいる地域への出店を続けています。その地域ならではのパーソナライズが特徴となっており、例えば、マイアミ大学のキャンパスでは、Love Shack Fancyのアクセサリーの自販機が設置されていたり、テキサス店では、地元で調達したアンテイーク品やヴィンテージテキスタイル、寝具を販売するスペースが設けられ、シティブーツなど地元ブランドとの限定コラボを行っています。

時代に合わせたアイテムの展開

 Love Shack Fancyのアイテムとしては、シグネチャーアイテムのワンピース、ミニスカートのほか、ウェブサイトでは、ニットやインナー、ラウンジウェア、シューズ、iPhoneケース、バッグ、インテリア、プールアイテムなど、多種多様に展開されています。親子でペアルックを楽しめるMom&Me、ウエディングやブライズメイド、バケーション、卒業式などのイベントに合わせたコレクションも魅力のひとつと言えるでしょう。 デザインは、Z世代好みのクロップトップやボヘミアンテイストを加えつつも、ベースには“ビンテージ”のインピスレーションが散りばめられています。

ライフスタイルを彩る戦略的コラボレーション

 コラボ自体は戦略として珍しくはありませんが、コロナ禍の2020年にモーガンレーンとコラボしたパジャマは12時間で完売、「ターゲット」やBandierとのコラボも数分で完売しました。また、Supergaとのコラボはこれまでで最も成功したコレクションとして知られています。これらのコラボは、SNSを通して需要を調査し限定生産するという手法で、新たなカテゴリーをテスト販売することが主な目的としてあったようです。モーガンレーンとのコラボの成功により、独自のパジャマラインの立ち上げを行った結果、この年、新たに111%増の顧客獲得に成功。コラボレーションが成長戦略に繋がったようです。現在、Love Shack Fancy以外にも、ノードストロームやニーマンマーカス、アンソロポロジー、フリーピープル、Jクルーといった企業も、人気のあるブランドとのコラボを積極的に行っています。

 

Sophia Webster

ロンドン発のシューズブランド、蝶のモチーフが有名

Hedley&Bennet

ロスベースの料理業界向けのユニフォームブランド。

親子で着用できるエプロンを展開。

American Girl

ガールズ達の憧れのドールブランド。肌や髪、目の色や衣装など、カスタマイズ可能で、購入者が人形と同じ衣装を着ることも出来る体験でヒット。Love Shack Fancyでも人形の衣装とのペアルックが可能。

Lele Sadoughi

トリーバーチでジュエリーのデザインディレクターをしていたLELEが、ダラスでスタートしたジュエリー&アクセサリーブランド。Love Shack Fancyでは、アイコン的アイテムのカラフルで楽しいヘッドバンドなどを展開。

Liberty London

ロンドンの老舗テキスタイルメーカー。シグネチャーパターンの小花柄でキッズとレデイースのアパレル展開。

Bogner

多くのセレブが愛用する、ラグジュアリーとスポーツを融合させたドイツベースのブランド。LoveShackFancyでは、スキーウェアコレクションを展開。

Hurley

カリフォルニアベースのサーフブランドとのコラボ

Beach Riot

ビーチからストリートへ。大胆な色柄を取り入れたデザインが人気のカリフォルニアベースのスイム&アクティブウェア

 Love Shack Fancyの人気が一過性のものなのかはまだ分かりませんが、コロナ禍による外出制限や、40年ぶりのインフレ、サプライチェーン問題による商品入荷の遅れなどで苦労しているファッション企業が多い中、お金を貯めてでも欲しいと思われるブランドであることは間違いありません。このブランドのもつ華やかな世界観が、これまで閉塞感のある生活を強いられてきたZ世代の気持ちにうまくはまったのかもしれません。しかし、フェミニズムの象徴のようなこのデザインが、この世代が求めている多様性やインクルーシブなサイズ展開などにどう応えていくのか、そうした課題はまだ残っているといえるでしょう。

 

 

 

 

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