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2022.03.31

アマゾンのエココンシャスブランド、「Amazon Aware」を買ってみた

 最近、サステナビリティについてのアメリカでの取り組み事例を紹介したInstagramライブに参加をして、いろいろなことを気づかせてもらいました。私自身がそこで考えるきっかけを作ってもらったように、この記事を読んだそれぞれがサステナビリティについて考えたり、友達や家族、会社の仲間たちと話すきっかけになったら良いなと思います。

 

 私はサステナビリティのエキスパートではないですが、人並み以上の関心を抱いているのではないかと思っています。日頃からネットで企業ニュースを読んでいる時も、SNSで誰かがリサイクルや節約の情報をシェアしているのを発見した時も、流し読みではなく、しっかりと目を止めて読むことが多くあります。

 

 米国のAmazonといえば、AmazonブックスやAmazon 4-star、ポップアップの店舗を閉鎖していくというニュースや、Amazon Style(アマゾン・スタイル)という初のアパレルの店舗をカリフォルニア州に出店すること、また映画配給会社のメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)の買収など、どこかでこれらの関連ニュースを読んだという方も多いかと思います。何かと話題の多いAmazonですが、「 Amazon Aware(アマゾンアウェア)」という新たなエココンシャスブランドを立ち上げたことは、もしかしたら知っている人はそう多くはないかもしれません。といいますのも、このAmazon Awareの商品は現在、アメリカ、カナダ、メキシコ、そしてヨーロッパのみでの展開だからです。

 AmazonのプライベートブランドであるAmazon Awareは、同社が掲げる「クライメート・プレッジ・フレンドリー(Climate Pledge Friendly 略称:CPF)」の一環です。Amazon.com上で買い物をする中で、商品ページ内の商品名と価格との間に緑色のロゴで「Climate Pledge Friendly」というリンクが表示されている場合があります。このマークの表示がある商品は、何らかのサステナブル商品であることを意味しています。

 Amazon Aware で展開されるアパレルやホーム、ビューティー、そして家庭用品などマルチなカテゴリ商品は、エコテックス(OEKO-TEX)からグローバル・オーガニック・テキスタイル・スタンダード(GOTS)、そしてグローバル・リサイクル・スタンダード(Global Recycled Standard)などのサードパーティの環境エージェンシーからひとつ以上の認証を受けています(CPF認証パートナー 32社)。

 

 Amazon Awareのコレクションが、サステナブルにフォーカスしていることはご理解いただけたと思いますが、どんなにサステナブルであるといっても、縫製や肌触り、そしてフィット感など、そこが合わなければ最終的には長く愛用しないで終わってしまうこともあります。そこで、まずは試しにアパレルのコレクションからレディースのタンクトップと、メンズのチノパンを購入してみることにしました。

 

 今回購入したタンクトップが、どのようなCPF認証なのかを確認したところ、商品のカーボンフットプリントを計算し、関連する全ての温室効果ガスの排出がオフセットされていることを認証する「クライメイトパートナー(Climate neutral by ClimatePartner)」と、環境・社会負荷の測定ツール「ヒッグインデックス(Higg Index Material)」のお墨付きであることがわかりました。一方、チノパンは、「クライメイトパートナー(Climate neutral by ClimatePartner)」と、商品が最低でも95%有機栽培された素材で作られていることを認証する「Organic Content Standard 100」のお墨付きでした。

 

 日頃Amazonでは一度にいくつもの商品を購入することがほとんどで、箱で届くことが多かったのですが、今回のように軽くて小さい衣類の場合は、ロゴの入った袋で届くことが分かりました。興味深かったのは、その商品を梱包する袋です。商品自体が入った袋はAmazon Fashionのロゴが入った、リサイクル材を80%使用しているものであり、梱包袋は、Amazon ロゴが入った袋で、それはリサイクル材を50%使用しているという記載がありました。今後こうした梱包材も、さらにサステナブルなものへと進化していくと思われますが、こうしたところにもAmazonの企業努力を感じることができました。

Amazon Awareで購入した商品

 肝心の商品ですが、まず、タンクトップに付いていたハングタグを見ると、レンチング社のテンセルのロゴが入っており、着用してみると肌触りはとても柔らかく、色違いが欲しくなるほどの良品でした。一方のチノパンですが、こちらも商品説明の通りですが、ハングタグにはOrganic Content Standard 100のロゴがついており、今回購入したネイビーの色味も深すぎず、明るすぎでちょうど良く感じました。履き心地は、本人の体型に合っており、フィット感は抜群でした。

 

 洗濯を繰り返した後の風合いなどの変化は気になるところですが、タンクトップ19.99ドル(約2,400円)、チノパン34.90ドル(約4,160円)と安価であり、デザインが気に入るのなら、この価格はさらに魅力的に感じるのではないでしょうか。このAmazon Awareのコレクションもきっと、今年中にロサンゼルスにオープンすると言われている、Amazon Styleの店舗に並ぶのではと想像します。

Amazon Styleの紹介動画

 今回、全米の都市の中から、どのようにして、ロサンゼルスにあるショッピングモールへの出店が決められたのかは分かりません。ですが、例えば、もしもニューヨークへの出店が計画されているとしたら、マンハッタンに初めてAmazonブックスが出店されたThe Shops at Columbus Circleのショッピングモールか、売り場面積は小さいものの利便性の高い、現在ソーホーにあるAmazon 4-starの跡地にAmazon Styleが導入されたら良いのにと感じています。また新規出店であれば、五番街のGAPのフラッグシップストアがあった場所であれば、閉店してからずっと入居がないので、最適ではないかと勝手に期待しています。

 

 近年ますます店舗で活かされるテクノロジーは増えていますが、品出しや陳列、カスタマーサービスなど、スタッフの存在は必要不可欠なものです。しかしテクノロジーの進化は間違いなく、今後Amazonがどのような形でアパレル、そしてアパレルの実店舗に参入していくのかは、目が離せないところです。


 

 

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

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