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2022.03.25

【デジタルマーケティング塾】
実際どうなの? ShopifyPOS正直な印象をブルーミング中西に聞いてみた!

アパレルウェブ「AIR VOL. 56」(2022年2月発刊)より

【不定期連載】デジタル領域で取り組みの裏側を取材

デジタルマーケティング塾

 この頁ではデジタルマーケティングの最前線で活躍する方々の、自社で実施している取り組みや工夫の裏側に迫ります。今回は近年よく耳にするShopifyが開発したPOSシステムのShopifyPOSについて取材します。そこで、ハンカチーフを中心とした繊維製品の企画販売を手掛けるブルーミング中西にShopifyPOSの使用感、導入した感想をお聞きしました。

 

※ShopifyPOSとはEコマース機能を中心としたマーケティングプラットフォームであるShopifyが開発したPOSシステムです。

実店舗とECの購買データや在庫情報、売上金額を自動で連携させることが可能となります。

ハンカチーフやファッションアクセサリー商品を中心に繊維製品の企画販売をビジネスとしているブルーミング中西

ブランド「CLASSICS the Small Luxury」ではハンカチーフを販売

https://classics-the-small-luxury.com/

従来のPOSと比較してコストが10分の1に!?

今回、ShopifyPOSを導入された経緯をお聞かせください。

 ブルーミング中西:実店舗とオンラインの融合を大前提として、顧客データの一元化、お客様に対する顧客満足度を高めることを目的に導入をしました。具体的には、昨年の6月に福岡と人形町の2店舗で「こういうオペレーションでカバーしよう、運用で補おう」と実験し、10月に全店に導入しました。

実際に、ShopifyPOSを導入して良かった点をお聞かせください。

 導入した成果として、全店の在庫を同じフォーマットで見られるのは大きいです。今までは本社の在庫は本社の基幹システム、オンライン在庫はオンラインと別々に管理していたので、すべての在庫を横断して管理できることで機会ロス削減に繋がると思っています。バックオフィスとしても、例えば、未発売の商品も登録しておけるので、Shopifyにすべての在庫情報を集めて管理できるというのが、効率化の意味では良かった点です。加えて、顧客の導線も縦横無尽に行き来できますので、店舗受け取りやそのアクションのための接点をShopifyで仕掛けられることは魅力に感じています。つまり、これまで散見していた情報を集約できたことが一番のメリットですね。

ハンカチーフの刺繡オーダーサービスも展開

Shopify自体は最近様々なメディアで耳にしますが、ShopifyPOSとの併用はまだ少ない印象です。実際の導入ハードルはいかがでしたか。

 ShopifyPOS自体の導入は容易だったのですが、当社側の従来のシステムや仕組みを手放す決断の方が大変でした。新システム(ShopifyPOS)に投資しつつ、別軸で使用していた従来のシステムをやめるというのが一番のハードルでした。具体的には、データの移行作業というよりは、従来の当社向けにカスタマイズされた使いやすいPOSから、ShopifyPOSに乗り換える際に、フォーマットがある程度定められている中で、実現したい活用方法を紐解かねばならない点に苦労しました。例えば、商業施設にある店舗で売上報告をする際、従来のPOSでは商業施設の管理に沿った決算レシートを発行してくれていたのですが、ShopifyPOSでは難しいです。では、どの機能を使ってできるだけ適応したデータを抽出しようか、というところはアパレルウェブさんに相談しつつ試行錯誤しました。ただ、在庫、顧客情報、売上分析のすべての項目がShopifyPOSを通して一覧できるので、従来積み上げてきた仕組みを手放すハードルは高いですが、結果、シンプルに「全体の効率化」が叶うんですよね。これまで店舗ごとに散らばっていた顧客情報も、今では一覧できています。

従来のPOSと比較して、導入コストはいかがでしょうか。

 コストでいうと、もう10分の1まで削減できているんじゃないですかね。いやもっとかもしれません。従来は報酬契約、カスタマー契約、そもそものPOSレジのリース料や導入費用など・・恥ずかしながらレジ1台で100万円以上かかっていましたからね。それに比べて、今は月額が299ドルで、ShopifyPOSは1台で月額89ドルほどです。この点は、セルフレジ1台しか必要ないという場合を除いて、導入を考えている企業さんには大きなメリットですよね。さらに、タブレットだけで済むのでスペースも取らないですし、レジカウンターが不要になるなど、店舗スペースを省けるという面でもかなりのメリットだと思います。

スマートフォンと同じ感覚で操作可能なPOS

タブレットがPOSの代わりになるShopifyPOS

POSレジを入れる必要が無くなるため、店舗スペースを省くことができる

顧客情報の取得について、ShopifyPOSを導入したことで店舗ではどのような業務変化がありましたか。店舗スタッフへの教育、浸透面も含めて具体的にお聞かせください。

 顧客情報は、これまで当社の店舗では閉店後に手打ちをしたり、上位顧客のカルテをノートで引き継いだりしていました。ただし、店舗しか利用していないお客様、ECしか利用していないお客様、両方併買しているお客様など、店舗ベースで把握はできても、お客様ごとの分析はできていませんでした。ShopifyPOSを導入してからは、すべての顧客情報を客観視できますので、実は上位顧客だったというようなお客様にも漏れなくリーチしていける点では非常に大きい成果です。実際には、誰がいくら、どの期間で購入したかという情報を画面上で並び替えるだけで瞬時に可視化することができるようになりました。

 

 店舗スタッフへの浸透面でいうと新しいインターフェイスに慣れるまである程度の時間を要しました。また、従来はレジでしたが、ShopifyPOSではタブレットを使用するので、管理画面の権限をどこまで譲渡するかという部分に実は当初困りました。POSを使ってもらうにはある程度の権限を付与する必要がありますが、そうすると商品情報まで操作できるようになってしまいます。この点に関しては、権限の細分化がもう少しできると、リスクヘッジにはなるなという印象です。ただ、どちらかというと、ShopifyPOSは個人事業主向けに開発されたと聞いておりますので仕方がないですよね。管理画面のレイアウトやインターフェイスに関しては、現行のレイアウトに慣れてもらい、そこまで問題にはならなかったです。「スマホと同じ」感覚で操作してもらっています。

では逆に他にShopifyPOSを使用する中で生じる課題や、改善してほしい点などはありますでしょうか。

 正直、免税機能は少し使いにくい印象ですね。現時点では、インバウンド需要がそこまで無いため使用する機会は少ないですが。あとは決済のShopifypaymentと連携できれば更に良いと思います。また、同じ商品に対して何らかのカスタマイズが発生する場合には、操作が大変だったので、当社ではカスタマイズ内容ごとに、カタログのJANを用意して対応しています。POSの問題というよりは、当社の提供しているサービスの問題でもあるかもしれませんが、単純にモノを売るだけならShopifyPOSはすごく優れた仕組みだと思います。カスタマイズやパーソナライズの要素を取り入れたい場合は、企業や商品への向き不向きは発生すると思うので、その要望を並走して叶えてくれるようなパートナー企業と肩を組むことが求められるのではないでしょうか。

在庫や顧客情報を一元管理することが可能になるShopifyPOS

在庫や売上、顧客情報を一元管理させている

ブルーミング中西はポップアップなども開催されていますが、ShopifyPOSの使用を想定していらっしゃいますか。また、今後取り組みたいと考えている施策があれば教えてください。

 そうですね。国内のポップアップは次回3月を予定していますが、タブレットを持ち込むことができれば、ロケーションを増やすだけで、何が売れたかの管理もでき便利なので導入したいと思っています。インターネット環境さえ繋がれば(笑)。ただし、追加できるロケーション数によっては上位プランにしないと、制限があります。プランについては、段階を踏んで慣れていける部分もよいと思いますので、今の機能に慣れてきたらShopifyPlusに移行し、チェックアウトのカスタマイズなどにも取り組めたらいいですね。

 

 また、Shopifyを導入し分析の指標が統一できたことで生まれるメリットとして、店舗やオンラインというチャネルに限らず、クーポンの活用がしやすくなったということが一つあります。Shopify上でクーポンを発行して、店舗にクーポン施策をアナウンスするだけで完了するのが非常に楽です。ですので、今後は顧客情報の分析に基づいて、よりパーソナライズされたサービスというのも検討していきたいと考えています。

 

「CLASSICS the Small Luxury」の公式サイト:https://classics-the-small-luxury.com/
Shopifyの公式サイト:https://www.shopify.jp/

 

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