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2022.03.25
加速化するインフレを逆手に成長している6,440億ドル市場 少しでも格安に！消費者を虜にするリクイデーター
AAAのサイトによると全米のガソリン価格の平均は1ガロン(約3.78リットル)が4.25ドル、カリフォルニア州では5.84ドルにも跳ね上がっています。21ヶ月連続のインフレが続いており、3月に入ると、サプライチェーンの問題による食品や生活必需品の価格高騰が顕著に現れています。このような状況が続いていることで消費者は、支出を減らし、なるべく低価格な商品を購入しようという傾向が強くなっています。インフレの影響が少ないとされるオフプライス店はいずれも増店傾向にあり、相変わらず店頭は混雑している状況です。そのような中、別のディスカウンターとして古くから存在するリクイデーターのビジネスが話題となっています。コロラド大学のデータによると、リクイデーション市場は2008年から2倍以上に拡大、2020年には6,440億ドルというとてつもない規模に成長しています。
Poshmarkの公式サイトより
最大手の清算業社Liquidity Services（リクイディティ・サービス）
リクイデーターとは、廃業する企業の余剰在庫や大手企業の返品商品を買い取り、中小企業や再販業者、ディスカウンターに大幅な割り引き価格で卸売りを行う企業のことをいいます。テキサス州・ガーランドにある、Liquidity Service社は余剰資産管理のスペシャリストです。13平方フィートの巨大倉庫には、アマゾン、ターゲット、ソニー、ホームデポ、ウェイフェアなどから出た返品や過剰在庫を仕入れています。これらの商品は、中小企業やディスカウンターに販売されるほか、e-BayやPoshmark（ポッシュマーク）など再販サイトを含むさまざまなマーケットプレイスで販売されます。NRFによると2021年には、販売された商品の16.6%が、そしてオンライン購入の場合は20.8%が返品されているといいます。この事実と、昨今のサプライチェーン問題、インフレ、環境問題への配慮など要因が重なったため、リクイデーターにとって最大のビジネスチャンスとなっているのです。
セカンドピテイの公式サイトより
カテゴリーに特化した販売網
同社ではカテゴリーにより、さまざまなマーケットプレイスを運営しています。1999年に設立したLiquidation.comでは、売り手と買い手とをつなぎ、商品をオークションマーケットプレイスとしてブランド化、Secoundipity（セカンドピティ）ではアパレル、家電製品などをD2C販売、GovDealsでは、トラクターなどの建設器具、農業器具、歯科関連器具、フードサービス器具などを取り扱うレアな商品に特化したオンライン・オークションプラットフォームを運営しています。同社では100万人以上の会員を保有し、直接販売することで26億ドル以上の売上を達成しています。大学の設備や制服、道路の舗装器具やジムのフロア素材、建設機械などの他、郵便局で引き取り手の無い小包、使用済みの軍用車なども含まれます。電化製品のほとんどはダメージがありますが、毎日数100台のテレビを修繕し、元の価格の60～70%低価で販売しています。サプライチェーン再生品は特に需要が高まっており、ノイズキャンセリングのヘッドホンやテレビに関しては、小売業者が買い取り販売するケースもでてきています。例えば、アマゾンは、サイト内に中古品のコーナーを設けており「ウェアハウス・ディール」、「アマゾン・リニュー」、過剰在庫商品の「アマゾン・アウトレット」で販売、大手家電チェーンのBest Buy（ベストバイ）でも、サイト内でアウトレットを設け、再生パソコンなどを販売しています。
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アマゾンのトラック、パレット商品。オークションは行わず固定価格で販売、中小企業や小売業者に人気。 |
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米国の小売業者、サプライヤーと提携している清算会社。在庫はオンラインで一覧表示され、1日３回更新。 |
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アパレル、電化製品、PC、家庭用品、産業機器など、幅広く取り扱う。中古品から再生品までオンラインオークション形式。 |
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米国大手卸売清算業者の一つ。ホームデポ、アマゾン、ターゲット、ノードストローム、ウォルマートなどの返品商品を、オークションとプライベートマーケットプレイス形式で再販。 |
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スポーツ用品、アパレル、家具、電化製品などの小ロット生産されたパレット購入から、顧客の要件に基づいた製品を提供。この業界では珍しい全額返金も可能。 |
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イーベイ・アマゾンを含むトップブランドの売り手と小売業者に対応。過剰在庫や再生品のアパレル、電化製品、家具、雑貨など幅広いアイテムを取り扱う。 |
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25年以上の歴史がある企業。オンラインでのプロセスは不可で、倉庫に行く必要がある。支払い前に品質を確認できるのが利点。 |
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フェデックス・サプライチェーンの子会社。返品、見切り品、イーベイの販売者からの商品を含む清算品を取り扱う。オンラインでの販売をしておらず、ラスベガスの本社に連絡する必要がある。 |
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カリフォルニア州中心。中小企業から個人やフリーマーケットの売り手まで対応。15年以上に渡り、4万人を超える顧客を保有する。 |
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30以上のカテゴリー、10万点以上の商品から固定価格で卸売り。全てのパレットに、製品画像、状態、レビュー、アマゾンの販売ランク及び推定利益を含む、詳細な説明書きが付属。また、在庫の出どころを示す保管文書を提供。 |
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30年以上の実績。ヘルス・ウェルネス、食品、アパレル、電子機器など、幅広いカテゴリーに対応。全米に出荷可能、ブルックリン周辺の配送は75ドル以上で２時間以内に無料配達を実施。 |
米国の代表的なリクイデーター企業の一部
ノースカロライナ州の「トレジャー・ハント・リクイデーター」
究極の宝探し！
リクイデーションブームから派生したストアが急増中
Dirt Cheap（ダート・チープ）、BigLot（ビッグロット）、Treasure Hunt（トレジャー・ハント）など、清算商品を仕入れ再販するディスカウントストアが全米に急増しています。ノースカロライナにある「トレジャーハント・リクイデーター」の場合、アマゾン、ウォルマート、ターゲット、ホームデポなど小売店から余剰在庫や返品商品をパレットやコンテナ単位で仕入れており、AirPods、掃除機、３Dプリンター、デザイナーブランドの洋服や靴が5〜10ドルで購入出来るため、開店前から長蛇の列ができます。時にはテントを張って夜通し開店を待つ強者までいます。同店のFacebook公式アカウントによると、木曜日は商品補充のためクローズし、金曜日に新商品が入荷するのですが、価格は金曜日が10ドル、その後、曜日ごとに価格が下がっていく仕組みです。果たして採算が取れるビジネスなのでしょうか？ サイトによると、アマゾンの返品商品は内容に限らず、１パレットで500ドルもしくは１コンテナーで9,900ドルとで販売しており具体的に何が入っているかは不明です。同じく、ノースカロライナのダーラムにオープンした「Gold Digger’s Liquidation」もトレジャーハントと同じモデルです。ここ何年にも渡り、小売店の大量閉鎖が重なり、清算商品が有り余っています。いわゆる日本でいう「バッタ屋」という形態ですが、大量に仕入れて格安に叩き売る、BtoBだけでは無く、一般消費者もこういったストアを利用し、イーベイや再販サイトで転売するケースが増えているようです。
