PICK UP

2021.05.07

気候変動について様々な形で考えるきっかけを作ってくれたノードストロームの「アースデー」の取り組み

 

 1年の中で4月という月は、環境について深く考える「アースデー (EARTH DAY=地球の日)」が4月22日にあるため、国だけでなく、気候変動、環境破壊についての情報が頻繁に耳に入ってきます。また、自分たちが暮らす地球を、企業として、ブランドとしてどう守っていけるのか、アウェアネスを発信する機会が普段以上に増える月でもあります。

 

 今月のコラムでは、N Yマンハッタンにあるデパート「ノードストローム」が館内各所で行った環境保護を訴える取り組みについてご紹介したいと思います。

「GANNI(ガンニ)」のポップアップショップの様子

「GANNI」

 マンハッタンにあるノードストロームの1階には、伊勢丹新宿店の1階にある“ザ・ステージ”のようなポップアップスペースがあります。センターステージプラットフォームと呼ばれるこのスペースでは、テーマ毎に展示ショップが変わり、一つのブランドがフューチャーされることもあるなど、定期的なコンセプトの変化が楽しめます。3月29日からは、デンマーク発のファッションブランド「GANNI(ガンニ)」のポップアップショップが1ヶ月程にわたって開催。今回のポップアップショップはブランドのフューチャーかつ、アースマンスのテーマがミックスされた内容でした。

 

 ガンニというブランドは、ブランドサイトを確認してみたところ、自分たちのブランドをサステナブルブランドと位置づけておらず、代わりに、自分たちのアクションに責任を持つブランドとして、社会や環境に対して出来る限りインパクトを与えないチョイスをビジネスの上で行うことにコミットしているそうです。ガンニでは、もう一歩責任のある選択をしていくために、社会問題や気候変動において、SDGsに基づく項目の中から一つ一つを実行に移し、その活動内容や達成度をオープンに伝えていくよう実践しているといいます。

 

ガンニが考えるブランドとしての責任については、こちらのページも併せてご確認下さい。

英語:https://www.ganni.com/en-dk/responsibility.html

4つの「R」に沿ってショップイベントも開催

 今回のポップアップでは、ブランドが考える「Rediscover(再発見)」、「Recycled(再利用)」、「Repair(修理)」、「Rewear(繰り返し着る)」の4つをもとにストアイベントを開催しています。

 

  • イベントその1「Rediscover(再発見)」

 N Yを拠点とするモデル兼フォトグラファーのCarlotta Kohl(@charlottakohlphoto)とコラボレーションし、マンハッタンのアップタウンエリアを紹介。これらのコンテンツは、ガンニの公式インスタグラムアカウント「@GANNI.guide」でシェアされ、世界のクールな場所を紹介する同アカウント内で発信されている。

 

  • イベントその2「Recycled(再利用)」

 N Yを拠点とするGANNIガール、Hedi Stanton(@hedistanton) とJeannie Jay Park(@jeanniejaypark)が、リサイクルポリエステルや、オーガニックコットン、レンチング™エコヴェロ™など、ブランドがコレクションに使用する様々な素材を紹介。(ポップアップで展開されているガンニのコレクションの62%は、リサイクルされた素材や、オーガニック、もしくは認証された素材を使用したアイテム。)

 

  • イベントその3「Repair(修理)」&「Rewear(繰り返し着る)」

 N Yを拠点とするスタイリストMecca James-Williams(@meccajw)によるコーディネートや、クローゼットにある服を新たな形で着こなすスタイリング術をアドバイス。

 

 今回のノードストロームとパートナーシップを組んだポップアップでは、ブランドとしてのコミットメントや服を作る側の責任を伝え、ガンニのブランドバリューが感じられる内容となっていました。

「Package Free」のポップアップ

「Pop-in @Nordstrom」の様子

 また、ノードストロームでは、センターステージの他に「Pop-in @Nordstrom」という別のポップアップショップのスペースを地下の靴フロアに展開しています。今年のアースマンスでは、ブルックリン発の「Package Free(パッケージフリー)」とパートナーシップを組み、サステナブル、エコフレンドリー、プラスチックフリーの商品をセレクトしたブランドの売り場を設けていました。

1再利用可能なトートバッグは500レジ袋に相当する

 アメリカの生活では、以前よりも数段と環境に配慮されたエッセンシャルアイテムが増え、そうした情報はソーシャルメディアを通じて日々出会う事ができます。パッケージフリーは、ブルックリンのウィリアムズバーグに店舗があり、またマンハッタンではチェルシーマーケット内にも小規模店を展開しています。今回のノードストロームの売り場は、ウィリアムズバーグの店舗同様に品揃えも豊富で、普段インスタグラムでチェックしていた商品もあり、よりサステナブルな生活に努めることができるヒントがたくさん詰まった売り場になっていました。他にも、ノードストロームでは各階のエスカレーター傍やフロアにリサイクルをテーマにしたVMDを設置。店舗に訪れる人々に対し、気候変動の深刻さを考えるきっかけを作っていました。

 

 2021年の始まりをニューエイジやニューノーマルなどと私たちは謳っていたかと思います。しかし、どんな呼び方であれ環境問題の深刻さは変わっていません。私たちはもはや“毎日がアースデー(EVERYDAY IS EATH DAY)”だと考えなければならないと切に感じます。今回のノードストロームの例のように、ブランドやリテーラーがアクションを取り、その姿やメッセージを消費者に伝える事はとても大切で、それが個人の意識の変化にも繋がっていくことでしょう。


 

 

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

アパレルウェブ ブログ
■ お仕事のご依頼
取材/記事執筆、マーケティングリサーチ、コンサルティング、その他お問い合わせ、ご相談はこちらから。

メールマガジン登録