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2021.04.26

中国、香港への出店の中で見えてきたものTOKYO BASEが語る“中国大陸進出の5年間”

アパレルウェブ「AIR VOL.45」(2020年3月発刊)より一部の内容を抜粋して転載しております。

武漢店の外装

 ミレニアル世代を中心に、ハイセンスなファッションアイテムを提案するSTUDIOUS TOKYO。同ブランドを展開する株式会社TOKYO BASEは「FROM JAPAN TO THEWORLD(日本発を世界へ)」というミッションを掲げており、この5年間、香港、中国を中心にSTUDIOUS TOKYOのグローバル展開を強化しています。特に2020年からの勢いは凄まじく、2020年6月に深圳、9月に北京、12月に成都へ出店。2021年に入っても2月に武漢へ出店をしています。また、武漢店は初日の売上高が568万7,727円となり、予算を13.8%上回る好スタートをきったことでも話題となりました。

 

 そこで今回は、海外一号店(香港)の立ち上げからグローバル展開の中心メンバーでもある、同社のSTUDIOUS SELECT PRODUCT DIV. BUYERの岡本 卓也氏に、過去5年間に香港、中国市場で学んだこと、蓄積したノウハウ、など日本ブランドのグローバル進出のポイントについてお話を伺いました。

武漢店の内装

グローバル展開に注力したのはいつごろからでしょうか?またきっかけを教えていただけますでしょうか。

 注力したのは2016年です。2016年を当社では「海外進出元年」と位置付け、中国語・英語に対応し、中国・台湾・香港・アメリカの方が閲覧・購入可能なECサイトを立ち上げました。越境ECを皮切りに海外進出を開始し、2017年には、香港への出店を実現しました。香港はアジアのハブとして機能しており、欧米や日本からの最新のトレンドが香港を経由して、中国本土や台湾、アジア全域へと広がっていきます。当社の海外進出は1ヶ国のみでなく、東アジア全域からヨーロッパ・アメリカを目指しています。その為の情報発信地として「香港」を選びました。この「香港」の地での成功があり、香港でご紹介を頂きました、ディベロッパー様が中国でも事業を展開しており、中国への出店オファーを頂いたことで、本格的に中国進出のきっかけとなりました。

特に昨年は中国出店(2020年6月に深圳、9月に北京、12月に成都へ出店)を強化していますが、新型コロナウイルスの影響で難しい部分もあったのではないでしょうか。

 そうですね。確かに難しい部分もありましたね。私たちが現地へ行けないので、すべての出店はリモートの中で行われました。私は仕入れ、MDなど商品周りの業務に回って、出店店舗の監修、進捗管理は、店舗開発チームと連携して、リモートで進行していました。具体的には、出店前の商圏の視察、内装や什器の手配、開店準備の確認の部分などを、中国サイドと代表の谷と情報共有をしながら進めておりました。ただ、実際にリモート出店をやってみると、難しさはあるのですが、無事計画通りに出店できましたね。あと少し余談ですが、2月に出店した武漢を特に心配する声も頂くのですが、現在は経済が回復しており、更なる可能性を感じております。

日本と異なる中国と香港ですが、お客様の購買行動もやはり違うのでしょうか。

 そうですね。香港は、昔から日本のブランド(いわゆる原宿系)の人気が根付いていると感じます。お客様側も元々私たちが提案するブランドのことを良く知っているので、すでに自分が好きなブランドを指名して購買するお客様が多い気がします。一方で中国のお客様はブランドというよりは、デザインや素材、シルエットなどを重視して購買するお客様が多い気がします。また、中国は国土が広いため、出店先の地域に合わせた商品展開が非常に大事になってきます。例えば、華北と言われる北京のエリア、華南と言われる深圳のエリアや香港は南にあるので、気温差もしっかりと考慮した戦略的な商品仕入れが必要です。そのため、一概に中国とは括ることはできず、それぞれの出店地域のお客様のファッションの趣味嗜好、気候の特徴に対するローカライゼーションが商品展開の肝になります。

確かに一口に中国と言っても国が大きいのでローカライゼーションはマストになってきそうですね。その他香港や中国に出店するにあたりポイントになった要素はありますか。

 日本とは異なる文化、土地に出店するということで現地をよく理解できる人をプロジェクトの中心に据えることではないでしょうか。特に中国は香港と違い、英語は共通言語としがたく、中国語がマストになるので、現地の人で自社をよく理解してくれている人が必ず必要になります。私たちの場合も、TOKYO BASEのミッションや接客スタイルをしっかり理解している尹という者が立ち上げメンバーとして、各出店先の地域店舗の視察、販売員の確保、販売員への教育といった部分で活躍しております。尹が持つ日本での販売経験や言語の部分が、中国と日本を結んだ「架け橋」になったと思います。そういう意味では出店する国や近しい国で、優秀な人材をどう集めるのか?そして、自社のミッションや考え方にどうやって共感してもらうのか?という点がまずグローバル展開していく上で大事になってくるのではないでしょうか。

成都店の外装

 

成都店の内装

 

 

具体的にスタッフの教育について、何か工夫していることはありますでしょうか。

 工夫と言いますか、TOKYO BASEの文化、接客スタイルを理解、共感してもらえるように徹底していますね。私たちが大事にしているお客様との“コミュニケーション”を例に挙げると、日本のSTUDIOUSでは、ショップスタッフは接客して商品をその場で売るだけでなく、ご来店のきっかけを作るために、業務を調整して、時間を決めて、お客様とのコミュニケーション時間を取っています。具体的には、スタッフ1人1人がお客様とLINEで友達となり、お客様とマッチしそうな商品が入荷した際にご連絡をすることは勿論、SNSをツールとして、更にコーディネート提案を遠隔で行ったりもしており、これが圧倒的な強みとなっております。海外店舗もwechatを使い、ダイレクトにお客様と密なやりとりを繰り返し、ご来店頂かなくても売上が立ち、満足して頂ける顧客感動の創出にも注力しています。世界のどこにお店があっても、私たちはミッションである「全世界顧客感動」を作りあげる組織となるべく、これからも邁進していこうと思っています。

近年、中国では「国潮」(中国の国産ブランドを支持する)という流れが特に中国のZ世代の間である種の風潮となっていると思いますが、中国市場に進出、もしくは興味がある日本のブランドにとってどのように捉えますか。

 そうですね。「ライバル視」はとくになく、むしろ協業やコラボレーションをして、お客様に何か新しい商品をお届けできればと思っています。リーニン(LI-NING)という現地のZ世代のお客様の間で、話題になっているブランドがありますが、デザインや品質も高くて、個人的にも面白いなと感じるブランドの一つです。

北京店

最後に今後の事業展開について教えていただけますでしょうか。

 現在、海外の店舗展開は、アジア、中国を中心に拡大しておりますが、欧州、北米市場への参入も視野に入れております。圧倒的な強みである、海外でのビジネスも日本サイドと密に連携を取りながら、他社様が真似することのできない細かい仕事を引き続きしていくこと、ハイレベルなサービス提供、店舗運営ができる外国人スタッフが活躍し、日本発を世界に発信していく最強のコングロマリット集団となるべく、私たちは前に進んで参ります。

まとめ:

 近年、中国への展開を強化しているTOKYO BASE。香港で蓄積されたノウハウ(社内教育や商品MDなど)を中国市場向けに調整した結果、今の武漢店及び各ロケーションの成功に繋がっています。特に文化が異なる国への出店は現地の人への“教育”が何を差し置いても重要であることが改めてわかりました。TOKYO BASEの場合は、中国出身で元原宿店の店長が教育面でも指揮をとり、現地のスタッフをまとめあげています。一方で何もせず自然にこうした優秀な人材を自社で採用できるとは限りません。海外の優秀な人材を受け入れる、そして評価する文化、体制を整えてくるからこそ、優秀な人材は集まってくるのではないでしょうか。その点、TOKYO BASEは「スーパースターセールス制度」という名のショップスタッフの個人売上を給与に反映させる制度も存在します。グローバル進出を掲げる企業は、まず海外の優秀な人材を受けいれる体制、文化があるのか?一見遠回りにも見えますが、この意識こそが海外進出への第一歩ではないでしょうか。

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