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2020.10.19

【2021春夏東京 ハイライト1】1年ぶりにリアルなショーがカムバック 世界へ飛び立ったブランドたちの凱旋ショーも

画像:TAAKK 

 2020年10月12日から10月17日に渡って2021春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が開催された。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて今年3月に開催が予定されていた2020秋冬のRFWTは中止になったため、1年ぶりの開催となる。

 

 先のパリやミラノと同様、デジタルでの発表が主流のファッションウィークではあるものの、9月19日からイベントの人数制限も緩和され、観客のソーシャルディスタンスを保ちながらフィジカルのショーを行うブランドも見られた。参加ブランドは国内外合わせて約40ブランド。パリを拠点にする「リンシュウ(RYNSHU)」や、今年1月のパリ・ファッションウィーク・メンズ(以下パリメンズ)に初参戦した「ターク(TAAKK)」も参加し、注目を集めた。

 

 また、楽天による日本発のファッションブランドを支援するプロジェクト「バイアール(by R)」によって、「ダブレット(doublet)」や「ファセッタズム(FACETASM)」のファッションショーが開催され大きな話題となった。「バイアール」は、楽天が日本発のブランドを支援することで才能ある若手デザイナーの活躍の場を広げ、日本のファッションを世界に発信することを目的としている。このプロジェクトでは、ファッションショー開催の支援だけではなく、ファッション通販サイト「Rakuten Fashion」や「バイアール」の公式インスタグラムにおいてショーの映像を配信するなど、ブランドのさらなる認知向上に貢献することを目指すという。

ダブレット(doublet)

 「ダブレット」は、7月のパリメンズ期間中にムービーで発表した2021春夏コレクションにアーカイブを織り交ぜて“何でもない日のハロウィンパーティー”をテーマに「デジタル」と「フィジカル」の両方で楽しめるショーを行った。コロナの影響で渋谷のハロウィンパーティーを含む様々な楽しみが奪われてしまった人たちに向けて、「ダブレット」流のハロウィンパーティーを表現した。

 前半は古い洋館で繰り広げられるゾンビ映画のような映像作品、後半はそのゾンビたちがランウェイを歩くという2重の仕掛け。新作7割、アーカイブ3割で構成したというスタイリングはハロウィンのコスプレの要素も取り入れて、エンターテインメント性の強いコレクション発表となった。今回アーカイブを取り入れたのは、ワンシーズンで終わってしまうのではなく、新しい服とミックスして楽しんでもらいたいという、デザイナー井野将之の思いが込められている。

「ファセッタズム(FACETASM)」

 「ファセッタズム」も、7月のパリメンズで発表した2021春夏コレクションをランウェイで披露。2017春夏コレクションからパリでの発表を続けてきた同ブランドがしばらくぶりに東京でショーを行うとあって注目が集まっていた。

 今シーズンは、楽しい記憶へと導きたいというデザイナー落合宏理の想いを体現したコレクションで、テーマは“More Memories.”。会場ではコレクションに登場するイラストが描かれたマスクが配られ、思わず微笑んでしまうような一体感と楽しさをもたらした。

 

 「ファセッタズム」らしいスピード感と勢いのあるショーは健在。楽しい記憶を紡ぎ出すかのような、カラフルな透け感のある素材のレイヤードが印象的。スポーツのムードも強く、トラックスーツは多様な表現で用いられた。また、ショーの中で「ナイキ」の「ジョーダンブランド」とのコラボレーションアイテムも披露した。

「リンシュウ(RYNSHU)」

 28年(「リンシュウ」としては10年)に渡ってパリでコレクションの発表を続けていた「リンシュウ」が、RFWTのオフィシャルスケジュールにてランウェイショーを開催した。会場は「八芳園」。日本庭園をバックに、凱旋ショーとしてふさわしい演出であった。シャープなロックスタイルは華やかで、ラメや色鮮やかなパイソン、立体的な刺繍などで煌びやかな世界観を打ち出した。メンズ、ウィメンズ両方登場したが、シルエットやアイテムに違いはなく、ジェンダーレスなコレクションであった。

「ターク(TAAKK)」

 「FASHION PRIZE OF TOKYO」第3回受賞ブランドとして1月にパリで初のショーを行った「ターク」が、凱旋イベントとして、東京の新宿御苑 大温室でランウェイショーを開催した。

 

 前半はアースカラーを基調とした、爽やかなスタイリング。シースルーや軽やかな素材に、草木や花などモチーフをのせて、自然との一体感を楽しむかのような表現を見せた。セットアップやトレンチなど、ベーシックながらもややゆったりとしたシルエットで風をはらむ心地よさを感じさせた。

 ショー後半は一転してダークな印象。カラーパレットはブラックやパープルで、レザーなど重みのある素材も登場する。しかしただ暗いだけではなく、素材の艶感や鮮やかな色彩で描かれたフラワーパターンなどで、エレガントな印象を与えていた。

「ハイク(HYKE)」

 「ハイク」は、RFWT公式スケジュールに先駆けてランウェイのライブ配信で2021春夏コレクションを発表した。テーマは“HERITAGE AND EVOLUTION”。服飾の歴史、遺産を「ハイク」らしい感性で独自に進化させたというコレクションは、ミリタリーウェアをインスピレーションに、シフォンなど軽い素材と、プリーツやフリンジなど風になびくディテールを加えることで軽やかなエレガンスを生み出していた。

 春夏ながらも少し重た目のカラーパレットだが、意志の強さを感じさせるディープブルーや爽やかなサックスブルーなどブルーバリーエーションも豊富だ。

 今シーズンは、竹ヶ原敏之介が手がける「ビューティフルシューズ(BEAUTIFUL SHOES)」と日本のバッグブランド「チャコリ(CHACOLI)」とコラボレーションを展開。「ビューティフルシューズ × ハイク」からはミュールとベアフットサンダルの新色を、「チャコリ × ハイク」ではアウトドアギアからインスピレーションを得てデザインしたレザーのバックパックとバムバッグ、ネックポーチを発表した。

「ハレ(HARE)」

 

 株式会社アダストリアが運営するファッションブランド「ハレ」がランウェイショーを開催した。2017秋冬コレクションからコンスタントにFWTに参加し、今回で8シーズン目となる。今シーズンは、二人一組で登場し、色違いの「双子コーデ」を見せるという演出。モデルはメンズ・ウィメンズで分かれていたが、どちらもエアリーな素材感で、ジェンダーフリーで楽しめるユーティリティウェアが多かった印象。ミントグリーンやサックスブルー、サーモンピンクなどの淡い色味がアクセントとなり、春夏の爽やかさを演出した。

「ジン カトウ(ZIN KATO)」

「ジン カトー」©JFWO

 「ジン カトウ」は約3年ぶりとなるランウェイショーを行った。テーマは“再生”。地球上すべての人々がコロナ禍で苦しみ、ファッションを取り巻く環境も激変した2020年だったが、この災厄を乗り越えた後に来る未来に希望を持ちたいというデザイナー・加藤徹の願いがテーマに込められた。「ジン カトウ」らしい繊細なレース使いがエレガントなコレクション。フラワーパターンはブラックとのコントラストで強く描かれたり、パステルカラーにさりげなくのせられたりと、女性の強さや儚さを表現しているかのようだった。

「イン(IHNN)」

 「第6回TOKYO FASHION AWARD」を受賞したイン・チソンによるブランド、「イン」がランウェイショーを行った。テーマは「日常と非日常の境界線」。陶芸家橋本知成氏の作品を会場に展示してショーを行った。

 今シーズンは、軽やかでモダンな女性像の中に個性的なディテールを忍ばせた。ドレスは、体に沿った女性らしさを際立たせるカーブを描きながらも裾は風に乗ってひらりと舞っている。デニムスカートは腰回りに特徴的な立体感をもたせ、さりげなく個性を強調。歩くたびにツバが大きく揺らめくハットや、ネットとレザーを組み合わせたバッグなど、小物にも遊び心を詰め込んだ。

「フレッド×クロット(FRED×CLOT)」

「フレッド×クロット」コレクション©JFWO

 パリ創業のモダンジュエラー「フレッド(FRED)」が、10月16日、楽天が運営するラグジュアリーブランド公式通販「Rakuten Fashion LUXURY」のブランドページ内で「フレッド×クロット」のコラボレーションアイテムを販売開始し、RFWTで映像と組み合わせたリアルなショーを行った。「クロット(CLOT)」は、2003年にエディソン・チャン(Edison Chen)とケビン・プーン(Kevin Poon)によって香港で設立されたファッションレーベル。

 「フレッド」のアイコンであるフォース10を、「クロット」ならではのユースフルなアパレルに落とし込んだ。ネイビーとレッドといったそれぞれのブランドカラーや、ブレスレットに実際に使用されているケーブルをデザインの一部に使用するなど遊び心が随所に取り入れられている。

「パーミニット(PERMINUTE)」

 「パーミニット」は、RFWTの関連イベントである「シブヤ・ハラジュク・ファッション・フェスティバル」の一環として先月オープンした「ミヤシタパーク(MIYASHITA PARK)」でランウェイショーを開催した。雨の降るミヤシタパークは、水たまりがライトに照らされて煌めき幻想的な雰囲気。

 ”Sarcophagus(石棺)”をテーマにした「パーミニット」の2021春夏コレクション。肉体とそれを取り巻く狭い範囲の環境との動的な関係性に衣服を通じて迫ったという。印象に残ったのはデザインのディテール。幅広に膨らんだ袖やクリノリンでボリュームをもたせたスカートなど、ビクトリア朝を思わせるシルエットで女性服の普遍的なディテールをデフォルメしている点だ。またそこに現代的なカジュアルやアウトドアの要素をミックスさせ、女性らしくもモダンな着こなしを提案していた。

 

 

2021春夏東京ファッションウィーク

https://apparel-web.com/collection/tokyo

 

取材・文:アパレルウェブ編集部

 

 

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