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2020.10.09

物販ビジネスからサービスビジネスへ 河狸家とアリババが提供する美容エステ系のマッチングサービス

アパレルウェブ「AIR VOL.39」(2020年9月発刊)より

河狸家のアプリ

Tモールが物販ビジネスからサービスビジネスへ進化

 ここ数年、アリババが運営する「Tモール」が開催する「独身の日セール」では、美容関連商品の売上のシェア率が全体の半分以上を占めており、美容カテゴリーはTモールを牽引する重要なカテゴリーとなっています。この美容カテゴリーにおいてアリババは、2019年から河狸家(かりじゃ)というスタートアップ企業と提携し、ネイル、エステ、SPAなどのサービスの美容師やエステティシャンと消費者とのマッチングサービスをTモールの中で提供しています。商品を販売するという役割にプラスアルファの価値を提案するアリババの取り組みについてお届けします。

Tモールで掲載されている河狸家のサービス。新型コロナ向けに医療機関と提携し、使用機材、スタッフの徹底消毒を説明

 河狸家との提携によるサービスは、消費者が「Tモール」の美容化粧品部門天猫美粧(てんまうびしょう)に出店している化粧品ブランドの商品を購買する時に、商品の正しい使い方を伝える、また、顧客の悩みを聞くために河狸家に所属している美容師やエステティシャンを顧客の自宅まで派遣するというものです。この取り組みは2019年の独身の日セールで初めて実施され、約60の国内外の高級化粧品やスキンケアのブランドが参加して、この新サービスを利用して購入された注文件数は約200万件にもなりました。アリババはこのビジネスモデルに可能性を感じ、今年の8月27日に、河狸家に数十億円を出資し、河狸家の筆頭株主となりました。

 

 現在もコロナ予防への対策を徹底することを前提に 同サービスは運営されています。対策が徹底されているのであれば、顧客は自ら不特定多数の人がいる場所(店舗)に行く必要が無いので、より安全に美容師やにエステティシャンの専門家に相談することが可能です。近年、アリババの独身の日セールは、売上金額は増加していますが、昨年比での成長率が鈍化しつつあります。そこで、物販ビジネスだけではなく、今回の「河狸家」のような新興企業と提携することで、商品とサービスを一緒に提供し、自社モールでこれまでにないサービスを組み込むことで、消費者へ新しい価値を提供しています。今回紹介した「河狸家」の事例は、アリババのTモールにとって、物販ビジネスからサービスビジネスへ進化するきっかけになるかもしれません。

このコンテンツは弊社の会員誌「アパレルウェブイノベーションレポート」の39号から転載しております。

 

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