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2020.10.02
NY発 新しい購買体験、ミュージックビデオで買い物ができる「dropp TV」とは
Written by AIR編集部
「dropp TV」の公式サイトより
ここ最近米国では、ミュージックビデオの中で、アーティストが着用している商品をそのまま購買できるサービスが注目を集めています。このサービスを手掛けているのが、「dropp TV」というスタートアップ企業です。「dropp TV」は2018年にニューヨークで設立され、現CEOのGurps Rai(ガープス・レイ)氏と、過去にマイクロソフト社傘下のテクノロジー関連のスタートアップの立ち上げに携わったAndrew McCartney(アンドリュー・マッカートニー)氏が経営に携わっています。今回は「dropp TV」の仕組みと特徴について紹介します。
ファッションECとミュージックビデオを融合した新しい購買体験
商品をクリックすると、商品の詳細情報が現れる
カートページの様子
「dropp TV」は、画像を識別するAIを活用し、ミュージックビデオ上でユーザーが購買できる商品の詳細情報を表示するサービスとなっています。購入に至るまでの仕組みは、まず、ユーザーがミュージックビデオを閲覧中に、映像の中で、購入可能な商品があると画面の下部に「dropp」というアイコンが現れます。(キャプチャー画像参照)その「dropp」アイコンをクリックすると、映像の中の購入可能商品にハイライトがかけられます。そして、画面上に商品詳細のポップアップが現れ、同商品の他のサイズや色の確認や選択ができます。商品を購入したい場合は、色やサイズを選択すると、カートページへ遷移し購入ができるという流れになります。実際に操作してみたところ、直感的に操作ができるかつエンターテイメント要素をプラスで楽しめる点が、一般のファッションECとの差別化に期待できそうです。
アーティスト、音楽ファン、ファッションブランドを繋ぐプラットフォーム
「dropp TV」では参加しているアーティストのSpotifyページとも連携している
「dropp TV」は、アーティスト、ファン、ファッションブランドを繋ぐ新たなプラットフォームとしても注目されています。「dropp TV」では、アーティストが映像中で着用しているアイテムが購入できるだけではなく、アーティストのオリジナルグッズの購入や、さらには、音楽ストリーミングサービス「Spotify」との連携により、アーティストのSpotifyページへの導線も設けています。アーティストにとって、グッズ販売やSpotifyへの導線は音楽活動における宣伝効果となり、一方、音楽ファンにとっても、「dropp TV」を通じてファッションのこれまでにない購買体験が楽しめることはもちろん、グッズ購買による自分が応援したいアーティストへの貢献や、新しいアーティストを発見するきっかけとなります。そして、ファッションブランドにとっては、この「dropp TV」が新規顧客獲得の新たなチャネルとなるといえるのではないでしょうか。
ストリートカルチャー、音楽やファッションなどに関わる動画コンテンツも充実
「dropp TV」では、メインとなるのはミュージックビデオやECのコンテンツですが、他にも、ストリートカルチャー、音楽やファッションに関わる動画コンテンツも充実しています。例えば、アーティストの新発売のアルバムに関するインタビューや、スニッカーズのレビュー動画などが用意されています。同社のCEOガープス・レイ氏は、今年8月、海外メディアのインタビューにおいて、今後の経営戦略については、ファッションECやアーティストの活躍を支援するプラットフォームのみならず、これからアーティストを目指す新人や、映像関連のクリエイターを応援する新しいサービスの展開に着手していると言及しています。また、ファッションブランド向けにはさらに、ミュージックビデオで使われているAI技術やARを駆使したバーチャル・ショールームなどを開発すると話しています。
近年、インスタライブを始め、ライブコマースなど動画コンテンツの活用が普及しておりますが、今回ご紹介した「dropp.TV」のように、同様のジャンルにおいても、アイデアの組み合わせ次第でこれまでにない新しい購買体験の提供に繋がるということがいえるのではないでしょうか。
参照サイト:
https://www.psfk.com/2020/09/dropptv-shoppable-music-video.html