PICK UP

2017.08.23

アプリでさらに便利になっていた!ファッションブランドのクリック&コレクト

 オンライン上で注文した商品を実店舗や宅配ボックスなどの受け取り場所で消費者自身が受け取ることをクリック&コレクト(Order Online, Pick Up In-Store)といいますが、アパレル系ECサイトの中でも、このサービスをいち早く導入していたのが、「ザラ(ZARA)」です。米国マーケットにザラのEコマースサイトが開設されたのが2011年9月。6年目を迎える「zara.com/us」ですが、その開設当初からクリック&コレクトのサービスを提供していました。

 

 サービス開始の頃にも試してみたことはありましたが、最近はより便利になっていました。その理由の1つに、「アプリ」の存在があります。昔はストアへピックアップしに行くときにEメールをプリントアウトしたり、スマホに送付されたメールを提示するなどしていました。ですが、スマホであらゆることが完結してしまう今の私たちの生活において、プリントアウトしたり、画面を提示するために、受け取ったメールをいちいち検索することさえ面倒になってきます。

 

 しかし今、ザラのアプリはかなり進化しています。アカウントページにあるオーダー履歴の中で、オーダー内容の確認はもちろん、発送前であれば、ボタンひとつでオーダーをキャンセルでき、UX(=ユーザーエクスペリエンス)の改善が感じられます。返品や交換をしたいときには、店頭でアプリ内の該当商品のオーダー履歴を開き、バーコードを表示するだけで、返品処理をしてくれます。また、郵送で返品する場合は、送付伝票をプリントアウトして利用できるなど、従来の方法ももちろんサポートしてくれます。

 

 ECの場合は購入履歴がテキストベースでリストされるのに対し、アプリでは画像も表示されるため、より分かりやすく、管理しやすいのも嬉しい改善です。

 最近では「ジェイクルー(J.Crew)」もクリック&コレクトを開始しました。ちょうどファイナルセールの時期にあたり、割引プロモーションを開催していたこともあり、「jcrew.com」をブラウズ。パンツや靴下をオンラインで注文してみました。普段ならば自宅に発送してもらうのですが、合計金額は150ドル以下。「Jcrew.com」の場合、通常150ドル(税抜き)以下のオーダーの場合は5ドルの送料がかかります。せっかく良いお買い物ができたのに、そこに送料がかかるのは…と思い、新サービスのクリック&コレクトの条件を確認してみました。すると店舗でピックアップするのであれば、送料はかからないことがわかりました。

 

 ECやショールーム型ビジネスの便利さを知ってしまうと、ストアで買い物をして紙袋を下げて帰るのが面倒になります。しかし、私がニューヨークでよく行くエリアには、必ずといっていいほどジェイクルーのストアがあります。ついでにストアに寄れるのであれば、このオプションは顧客にとってかなり便利です。

 

 エグゼクティブ退任のニュースや人員削減など残念なニュースが続いたジェイクルーですが、最近の「j.crew.com」のUX、そしてCX(カスタマーエクスペリエンス)の改善は目を見張るものがあります。あとは商品のデザインや品質の改善が見られれば、ブランドに対するファンの熱も復活してくるはずだと感じます。

 

 アパレルブランドではないですが、玩具専門チェーンの「トイザらス(Toys“R”Us)」 が、8月中にもNYのタイムズスクエアに期間限定店を出店するというニュースが舞い込んできました。タイムズスクエアに行けば必ず目にしていたトイザらスのストア。店内の1階には観覧車まであり、とても夢のあるストアとして知られていました。しかしそのストアも2015年に閉店してしまいました。

 

 ニュースによれば、ホリデー商戦に合わせてポップアップショップを開店するようです。クリック&コレクトのサービスも導入し、オンラインを活性化しつつ、ストアのトラフィックも見込むようです。おもちゃといえば、やはりトイザらスを思い出します。ですが、観光客でごった返すタイムズスクエアにニューヨーカーたちがわざわざ商品をピックアップしに行くのだろうか?という疑問も残ります。とはいえ、ホリデーシーズンの買い物を効率良くできる手段が増えるという意味では、やはり嬉しいニュースかもしれません。

ZARA 
J.Crew


 

RINA  

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

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