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2020.09.17

米国版の町おこしとなるか!? アウトドア需要増で人気、キャンプ場の予約サイトHipcamp(ヒップキャンプ)

Hipcampの公式サイトより

 

 3月のロックダウンから、早や5ヶ月。米国では段階的に経済活動が再開しつつありますが感染者数が拡大している州もあり不安な生活が続いています。ニューヨークでは、発砲事件や若年層の犯罪の増加、ホームレスの増加も問題となっています。感染リスクからの回避、自宅待機やリモートワークが継続される中、ピューリサーチ・センターが1万人を対象に行った調査では、18−29歳の10人に1人が都心から郊外へ一時的若しくは完全に引っ越しを行ったと回答したそうです。実際、マンハッタンでは現在、1万3000件のアパートが空き家状態にあり、その一方で、ニュージャージ州では家賃が30%上昇するなど、需要が急増している地区もあるようです。このような状況から一時的にでも開放感を得たいと、アウトドアアクテイビテイを求める消費者が増加しています。

コロナ渦の閉塞感から飛び出したい!

キャンプブーム到来でHipcamp(ヒップキャンプ)が拡大

 ヒップキャンプは、2013年にAlyssa Ravasio(アリッサ・ラヴァシオ)によって創設、2016年にキャンプを楽しむ人々が予約をする為のウェブサイトとして集約されました。キャンプ場版のAirbnb(エアービーエヌビー)と呼ばれており、個人が所有する土地をオンライン予約してキャンプ場として使用する事ができる為、体験を求める米国の若年層に人気だ。2016年に民間の土地所有者と提携する事で、所有地をキャンプ場としてリストアップ可能となりました。プライベートで土地を所有している人がホストとなり、キャンプ体験をしたい人と繋がる事ができるの点が魅力となっています。サイトの検索欄で、キャンプファイヤー可能、ペットフレンドリー、湖の近く、星の下で、海の近く、1泊50ドル以下などのキーワードを入力し、つづいて予約日、キャンプのスタイル(グランピング・キャンプ・自分のテントの持ち込み)等の希望を選ぶと、適した場所の候補と同時にトイレやシャワー等のアメニテイ、Wi-Fiの有無等の情報が表示され、リストの中から容易に比較ができます。過去の利用者のレビューも確認ができます。また、同様の手順で検索が可能なアプリもあり、利便性も高いです。

 

 3月のロックダウン時には予約のキャンセルが相次いだそうですが、その後、経済活動再開とともに、人気はすぐに回復。自宅待機やリモートワークのストレスから、アウトドアアクテイビテイによるリフレッシュが切望され予約が急増したということです。昨年の3倍の予約数を記録しているといい、農村部の観光市場にとっては明るい兆しとなるキャンプブームが起こっています。

 

 夏の国立公園は、同じくコロナ渦におけるアウトドアアクティビティ需要増で非常に混雑しています。カヌーや自転車を楽しむ為に場所の予約をし、用具を手に入れたとしても、同様に集まった人々の交通渋滞に巻き込まれリフレッシュどころか返って疲れてしまいます。それでも今シーズンの多くの公園では、長い行列ができているのです。

Hipcampの公式サイトより

$40M(4000万ドル)の資金調達で需要増に準備万端!

 今年の8月には、ヒップキャンプと類似したオペレーションを展開するオーストラリアベースのキャンプ場予約サイト「YOUCAMP(ユーキャンプ)」を買収し、5万件にのぼる既存のキャンプサイトを取得しました。さらには、カナダのキャンプ場の予約も可能であると発表しており、現在はコロナ渦で推奨されていませんが、事実上国際市場への進出を意味しています。ユーキャンプ買収やカナダ進出により、現在ヒップキャンプは、小さな山小屋からグランピング体験、裏庭、ブルーベリー農場など多岐にわたって、42万件以上にも及ぶ地主(=ホスト)を管理しています。また、現在に至るまでに、ANDRESSEN HOROWITZ社(アンドリーセン・ホロウイッツ)をはじめとする有名ベンチャーキャピタルから、4000万ドルもの資金調達に成功しており、今後のさらなる需要増や事業拡大に向け、準備万端といったところです。

私有地を利用した体験型リースは新たな経済モデルとなるか? 

 ヒップキャンプに登録している土地を所有するホスト達は、契約後、最初の数ヶ月で数百万円を稼ぐ人もいるそうで、土地管理で報酬が生まれる新たなビジネスモデルとしても注目されているようです。米国の広大な土地を考えると、ヒップキャンプにリストされているサイトはまだまだ一部と考えられているようで、ヒップキャンプでは数百以上の私有地を持つ地主との話しあいを現在も進めているそうです。

 

 これまで、米国の農村地帯は過疎化していく一方でしたが、ヒップキャンプの需要・事業拡大によって、それぞれの土地特有の自然を生かした体験が人々の目に留まり、米国版の町おこしプロジェクトとして新たな経済モデルが確立していくかもしれません。

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