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2020.02.07
【2020秋冬NYメンズ ハイライト】N.ハリウッド、大丸製作所2、トッド スナイダーらがコレクションを発表
(写真:トッド スナイダー)
ニューヨークのマンハッタンでは、2月3日からニューヨークメンズファッションウィークが開幕した。今回は3日間の開催であり、参加するブランド数もダウンサイズしている。ベースとなる会場もなく、各ブランドが適宜スタジオなどで打つ形式だ。スタート時に比べて、低迷している「ニューヨークメンズファッションウィーク」だが、コンスタントにランウェイを打つブランドも、また今季初めてプレゼンテーションを打ったブランドもある。いくつかハイライトでレポートしよう。
ニューヨークメンズデイ(NYMD)
初日を飾ったのが、ハドソンヤードの近くで行われた「ニューヨークメンズデイ」の合同プレゼンテーションだ。「ティモ・ウエイランド(Timo Weiland)」、ロンドンを拠点にする「カ ワ ケイ(KA WA KEY)」 、「ル・ティグレ(Le TIGRE)」、「ヒムNYC(HIM NYC)」、「カーター・ヤング(CARTER YOUNG)」など、計10ブランドが参加した。ジェンダーレスなスタイルが目につき、またメンズとウィメンズを同時に発表するブランドもあり、ユニセックスな提案が多く見られた。
N.ハリウッド コンパイル(N.HOOLYWOOD COMPILE)
尾花大輔が率いる「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」は、マンハッタンでランウェイを打った。ニューヨークでコレクションを発表するようになって10年目の節目となる今季、表舞台にあげたのは04年にアナザーラインとして立ちあげた「N.ハリウッド コンパイル」のコレクションだ。「N.ハリウッド コンパイル」のラインはフォーマル寄りで、カジュアルスタイルをドレスアップ、フォーマルスタイルをドレスダウンさせるなど、幅広い着こなしを提案している。
舞台では人気バンド、キングヌー(King Gnu)の常田大希がオリジナル楽曲でチェロを弾き、その荘厳な音色のなかを、モデルたちが闊歩した。
ファーストルックはクラシックな黒いロングコートに、白いシャツと黒いネクタイというミニマルなスタイル。しかしそのコートはダウン生地で出来ていて、モダンな捻りを加えている。丸みをおびたコクーン型のピーコートに、クロップト丈のパンツ。襟なしのボクシーなジャケット、スキューバニットのコートなど、テイラードされたクラシックなスタイルをベースにしながら、モダンさを添えている。
ほとんどのルックがブラック、わずかにグレーやカーキが混じるという色調パレットで、光るナイロンやベルベットなどバラエティある素材で、さまざまな黒を表現してみせた。ストリート色の強い「N.ハリウッド」だが、今季はクラシックなテイラードスタイルをモダンに解釈する世界を披露した。
オーバーコート(OVERCOAT)
大丸製作所2が手がける「オーバーコート」は、初のモデルを使ったプレゼンテーションを行った。今季は「エクセレント・テーラーリング」をテーマとして、テーラリングの新たな可能性を追求した。
ファーストルックはタキシードカラーのロングコートで、精緻なテーラリングを表現。コートやスーツだけでなく、さらにクルーネックのセーターを布帛で作り、きれいにテーラリングをしてみせた。また大胆な図柄を施したアートピースも、美しくテーラリングで表現。カジュアルなスタイルやエッジーなルックも、「オーバーコート」が手がけると、このようにテーラリングできるという可能性を提案した。
老若男女を混ぜたモデルも、ユニセックスの服を作り続ける「オーバーコート」の世界観を表すプレゼンテーションとなった。
トッド スナイダー(Todd Snyder)
トッド・スナイダーはメイン州に旅行した時に、その自然から受けた強い印象をインスピレーション源として“フロム・アウェイ”と題するランウェイを打った。
今回は「エルエルビーン(L.L.Bean)」とのコラボレーションによるカプセル・コレクションも40ピースを披露。「エルエルビーン」らしいオイルクロス・ブーツや、ビーン・ブーツ柄のセーター、トートバッグ、ダックのモチーフなどが登場し、プレイドやシャモアやフランネルが多く展開された。色調もカーキにオレンジなどアウトドア感が満載だ。
「トッド スナイダー」らしく、グリーンのコーデュロイ・サック・スーツに、イエローのダウンベストという組み合わせや、赤のプレイドのオーバーコートにカモフラージュ柄のシャツというコーディネイトなど、自由自在に組みあわせたスタイリングを披露した。
取材・文:黒部エリ (Text by Eri Kurobe)