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2020.01.14

【ピッティ2020秋冬 ハイライト】続くダウンジャケット人気 広がるサステナブルな取り組み 〈3/3〉

 次にカジュアル、モーダ系ブランドの動きを見てみたい。前ページの繰り返しになるが、クラシックとの線引きが難しいブランドは多いが、特に今最も旬なテーマであるサステナビリティーへのアプローチを大々的に打ち出しているブランドはこちらのカテゴリーに入れた。

ヘルノ(HERNO)

 サステナビリティーの第一人者といえば、「ヘルノ」だが、今シーズンは春夏に登場した新ライン「ヘルノ グローブ」がさらに進化。春夏で登場した天然色素配合比率50%で染色したリサイクルナイロンの「オニベジ」、環境負荷を測定することによる認証プロジェクトPEFに基づいた製品作りという2点に続き、廃棄後、微生物などによって最終的に水と二酸化炭素に完全に分解するまで5年(通常のナイロンは50年)の20 デニール ファブリックで仕立てた完全生分解性ダウンジャケット、再生ナイロン「エコニル」100% のアイテム、リサイクルウール、といった3つのプロジェクトを追加。

 

 また今回、「ヘルノ」初のスニーカーライン「ヘルノ ラミナー アッソルート」が登場。スカルパ社とコラボし、防水性、防風性、透湿性を兼ね備え、トレッキングから街歩きまであらゆる状況に対応するスニーカーだ。

シーズ(SEASE)

 もうひとつのサステナビリティー重視の代表格、「シーズ」はリサイクル素材によるラグジュアリーカジュアルウェアという方向性を強化。当初強かったセーリングのイメージから今シーズンはよりスキーやアーバンにテイストを広げ、熱伝導素材クリマシステムを始めとした防寒に特化した機能性にも注力している。

リプルメ(REPULME)

 「パルト(PALTO)」から生まれたリサイクルダウンのライン、プルメがリニューアルして「リプルメ」という名で再ローンチ。これまではリサイクルダウンだけだったのが、生地もリサイクル素材に。

セルジオ ロッシ(SERGIO ROSSI)

  • FLORENCE, ITALY - JANUARY 07: are displayed in the Sergio Rossi stand at Pitti Immagine Uomo 97 on January 07, 2020 in Florence, Italy. (Photo by Vittorio Zunino Celotto/Getty Images for Sergio Rossi)

  • FLORENCE, ITALY - JANUARY 07: are displayed in the Sergio Rossi stand at Pitti Immagine Uomo 97 on January 07, 2020 in Florence, Italy. (Photo by Vittorio Zunino Celotto/Getty Images for Sergio Rossi)

  • FLORENCE, ITALY - JANUARY 07: are displayed in the Sergio Rossi stand at Pitti Immagine Uomo 97 on January 07, 2020 in Florence, Italy. (Photo by Vittorio Zunino Celotto/Getty Images for Sergio Rossi)

  • FLORENCE, ITALY - JANUARY 07: are displayed in the Sergio Rossi stand at Pitti Immagine Uomo 97 on January 07, 2020 in Florence, Italy. (Photo by Vittorio Zunino Celotto/Getty Images for Sergio Rossi)

  • FLORENCE, ITALY - JANUARY 07: are displayed in the Sergio Rossi stand at Pitti Immagine Uomo 97 on January 07, 2020 in Florence, Italy. (Photo by Vittorio Zunino Celotto/Getty Images for Sergio Rossi)

  • FLORENCE, ITALY - JANUARY 07: are displayed in the Sergio Rossi stand at Pitti Immagine Uomo 97 on January 07, 2020 in Florence, Italy. (Photo by Vittorio Zunino Celotto/Getty Images for Sergio Rossi)

  • FLORENCE, ITALY - JANUARY 07: are displayed in the Sergio Rossi stand at Pitti Immagine Uomo 97 on January 07, 2020 in Florence, Italy. (Photo by Vittorio Zunino Celotto/Getty Images for Sergio Rossi)

  • FLORENCE, ITALY - JANUARY 07: are displayed in the Sergio Rossi stand at Pitti Immagine Uomo 97 on January 07, 2020 in Florence, Italy. (Photo by Vittorio Zunino Celotto/Getty Images for Sergio Rossi)

  • FLORENCE, ITALY - JANUARY 07: are displayed in the Sergio Rossi stand at Pitti Immagine Uomo 97 on January 07, 2020 in Florence, Italy. (Photo by Vittorio Zunino Celotto/Getty Images for Sergio Rossi)

画像:セルジオ ロッシ

 会場内で注目を集めたプレゼンテーションは、まず、リブランディングのための休止期間を経て再スタートした、ピッティ初参加の「セルジオ ロッシ」メンズコレクション。「sr1」のスリッパやスリッポンスニーカー、60年代のロゴデザインを採用した 「セルジオ エクストリーム」スニーカー、またウィメンズと共通するデザインをマスキュリンなブルーやガンメタル、シルバーやレッドといった色合いで展開する。

A|Xアルマーニ エクスチェンジ(A|X ARMANI EXCHANGE)

画像:A|Xアルマーニ エクスチェンジ

 ピッティ参加2回目となる「A|Xアルマーニ エクスチェンジ」は、アーケードゲームや様々なアトラクションによるミニ遊園地を設置。ビッグシルエットや鮮やかな原色使いでストリートとスポーツが融合したアイテムや、同ブランドの90年代の広告キャンペーンのイメージをヒントにデザインされたフード付きスウェットシャツ、ボンバージャケット、Tシャツのシリーズ「バック・イン・ザ・イヤーズ」が登場した。

 

トウキョウ ニット(TOKYO KNIT)

画像:トウキョウ ニット

 東京ニットファッション工業組合に所属する約200社の中から、品質と技術を保証する認証を受けているブランドばかりを24社集めた特別ブース「トウキョウ ニット」にも注目が集まった。東京には、実は江戸時代の侍たちがニット産業を発展させたという長い歴史と職人技があり、それを現代のテクノロジーを駆使して仕上げたニットには、海外のメディアやバイヤーも、その意外な事実と質とデザインの良さに驚きの声をあげていたとか。

トウキョウニット×アンリアレイジ(TOKYO KNIT×ANREALAGE)

画像:トウキョウ ニット

 また「アンレアレイジ(ANREALAGE)」の森永邦彦がここに出展するブランドとコラボして作った9つのカプセルコレクション「トウキョウ ニット×アンリアレイジ」も発表。「アンレアレイジ」のシンボルであるパッチワークを活かしたこだわりのコレクションとなった。これはパリで展示された後、製品化される予定。

 

ウールリッチ(WOOLRICH)」

 「ウールリッチ(WOOLRICH)」は、会場に雪を降らせる大掛かりな演出で創立190周年のアニバーサリープレゼンテーションを開催。同ブランドの代表作、アークティックパーカーを再解釈し、ゴアテックス生地、またはリサイクル素材やオーガニック素材を使い、現代にマッチするような機能性や環境を意識したコレクションを発表した。

 

 一方、ジル・サンダー、ステファノ・ピラーティの初ソロプロジェクト「ランダム・アイデンティティーズ」、テルファー・クレメンツによる「テルファー」などのショーも行われた。

 

ランダム アイデンティティーズ(RANDOM IDENTITIES)

 レオポルダ駅で行われた「ランダム アイデンティティーズ」のショーでステファノ・ピラーティは様々な「当たり前」を打ち破るショーを展開。年齢やジェンダーを超えた様々モデル(子供まで!)が、いわゆる一般的な服装コードに反するコーディネーションでランウェイ(といっても通常とは違い、客席はオールスタンディングでその区切りもはっきりしないのだが)を歩く。メンズライクなスーツや、スカートの下にトラウザーを履いたウィメンズモデル、ニーハイブーツ、ハンドバッグやポシェット、ブラジャーといった女性用小物をつけたメンズモデル、大人のようなルックを纏うキッズモデル・・・アイテム達自身は奇をてらったものではなく、ピラーティらしい品のある物ばかりなのだが、小さなディテールとコーディネートでバランスを狂わせ、あえて見る人の頭を混乱させる。

テルファー(TELFAR)

 「テルファー」はストリートウェアを貴族的ロマンティックテイストで展開。舞台演出も音楽家を招いた格式の高いディナー風。登場するピースはカフやカラーを強調したシャツやアスコットタイ、貴族風クロップトパンツやベロアパンツなど、バロック風またはヴィクトリアンなテイスト。それがパーカーやローゲージニット、デニムなどとコーディネートされたり、スポーティーアイテムに使われる素材で作られたりしている。

 

 新しいトレンドが見られなかった本会場展示に対し、スペシャルイベントのショーは、革新とクリエーションに溢れていてあまりにも対照的なのが印象に残った。

 

取材・文:田中美貴(Text by MIki Tanaka)

ピッティ・ウォモ

 

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