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2020.01.15
高い成長率を出す小売りチェーンの戦略とは
様々な人種、ボディタイプを打ち出した「エアリー」の広告
昨年は9300を超える小売店が閉鎖、縮小を余儀なくされ、ECの成長と共に、DtoC(ダイレクト・コンシューマー)ビジネスが注目を浴びた年でした。そんな中、元々オフラインでの販売を伝統とする小売りチェーンで、高い成長率を誇る企業があります。これら企業には、これといった明確な共通点はないのですが、同業者が苦戦している中、なぜ勝ち組みとなっているでしょうか?
AERIE (エアリー)
日本では青山商事が、アメリカンイーグル(以下AE)の事業から撤退し、昨年末までに、全33店舗の閉店を行ったブランドですが、米国での既存店の業績は、過去24半期連続、2桁増という快挙。姉妹店の「エアリー」の店舗数は、現在141の独立店舗に、AEの店内に併設された店舗が170店舗。売り上げは間も無く$1B(10億ドル)にリーチしようとしています。成長の鍵となったのが、デジタル加工されないナチュラルボディの美しさをポジティブに捉え、様々な体型のモデルを起用、多様性を打ち出した事で多くの女性層の支持を得たことです。集客に苦戦する競合と比べ、店頭のトラフィックが非常に多い点が物語っています。
ATHLETA(アスレタ)
1998年に設立、その後、2008年にGAP社が買収したスポーツウェアブランド。店舗数は190店で売り上げは$1B(10億)を超え、今やグループを牽引するブランドに成長。NPDの調査では、女性のアクティブウェア(スポーツウェア)は、約240億ドル市場と言われ、年間6%の成長をしています。競合「ルルレモン」がプレミアムヨガブランドという位置を確立しているのに対して、「アスレタ」は、トレーニング、ハイキング、ヨガ、そして通勤着まで幅広くカバーし、スタイル数、色、サイズなどのバリエーションが豊富。また、B-CORP (社会貢献のために事業を行っている企業に発行される制度)に参加し、サステナビリティに対する社会的責任を積極的に伝えているという点も大きいです。1ドル購入ごとに5ポイントを提供、100ポイントで10ドルのクーポンのリワードプログラムも行っています。
BATH & BODY WORKS(バス&ボディ・ワークス)
1740店舗以上を運営する、L-BRANDS(ヴィクトリアズシークレットの親会社)傘下の、バスソープやキャンドル等を販売するチェーン店。成長の鍵は、ハイマージンを排出する、日常的な製品カテゴリーに特化した事です。ボディローション、石鹸、ホームフレグランスは、ファッションシーンでも頻繁に扱われ、ギフト対応も可能です。国内ソースによる仕入れである為、新作等のテスト販売が迅速にでき、売り上げの強化や、マークダウンの最小化が容易に実現しています。消費者の反応に基づいた商品開発、品質改善を行っている事が人気の要因として挙げられます。(Bath & body works)
LULULEMON(ルルレモン)
2000年スタート、カナダのプレミアムヨガウエアブランド。2019年には、世界14カ国に460店舗に成長。約40億ドルの売り上げは、1平方フィート当たり1,600ドルの売り上げになり、営業利益は22%増。ヨガのインストラクターをアンバサダーとして迎え、日曜の朝に店内でクラスを行っている事で有名です。地元密着型のコミュニテイーを作り、熱狂的なファンを生み出した事で、カルト的ブランドとして急成長。次の段階では、ランニングやトレーニングなどのカテゴリーでフィットネスアパレルと雑貨を強化。またデジタル&オムニチャネル、メンズ商品、海外店舗にも注力していく。特にメンズの売り上げは2019年第三四半期に置いて38%増加しており、昨年最大の増加である事が伝えられています。元々、セール商品があまり無いブランドでしたが、Lululemon.comでは、各カテゴリー別に「We made too much」というマークダウンのコーナーが設けられ人気を博しています。近辺の店舗に在庫がありピックアップ可能かチェックできるようになっているのも、オムニチャネル化の新たな試みだ。
MADEWELL(メイドウェル)
Cotton社とメイドウェル提携による、ジーンズリサイクルプログラム
今年、上場を予定している、Jクルーの姉妹ブランド。現在138店舗で、売り上げ650万ドル。近年、Jクルーの品質低下が問われる中、メイドウェルは、高品質のデニムとレザー製品(鞄や靴等)を親会社よりも低価格で提供している事で認識されています。特にジーンズは、1937年から受け継がれるワークウエアとしてのブランド力、豊富なスタイルとサイズ展開がミレニアル世代を中心に支持されています。ヴィンテージテイストに現在の消費者のニーズとマッチしたデザインがプラス。Cotton’s Blue Jeans Go Green プログラムとの提携で、店舗に不要のジーンズを持ち込むと(どのブランドでも可)断熱素材としてリサイクルされ、次回のジーンズ購入の際に、20ドルオフで購入が可能。現在、83万本以上のジーンズがリサイクルされています。メイドウェルの手頃な価格で高品質、サステナビリティに重点をおいたビジネスモデルは、スイートスポットとして定着しつつあります。
ULTA BEAUTY(アルタビューティ)
500社を超える、コスメ、フレグランス、スキンケアアイテムに加え、約25坪の美容院を併設している、ビューティチェーン店。1241店舗、推定売り上げは74億ドル。セレブや美容系ユーチューバ御用達のTOO FACED(トウーフェイス)や、KYLICOSMETICS(カイリージェンナのコスメブランド)等、新興ブランドを取り扱う最大の小売店としても有名。3300万人のメンバーを誇るリワードプログラムは、アルタの売り上げの95%につながっています。デパートのコスメ売り場と異なり、ドラッグストアで販売している様なリーズナブルなコスメから高級ブランドまで扱っており、幅広い客層を獲得しています。自由にお試しが出来るのも心地よく、体験型ストアとして、多くの女性達でいつも賑わっています。
成長企業から学べる事
ハイマージンが期待できるカテゴリーを販売している事。競合店が扱っていない分野で支配できる商品を扱っている。地元のライフスタイルに投資し、ローカルエコシステムをサポートする事で、真のローカルストアとして循環している。高いロイヤリティを感じるサービスを行っている。特にミレニアル層が共感できるポイントに取組んでいる。
(健康・スポーツ・本物・丈夫・利便性・多様性・包括的・社会貢献・革新的など)
高い成長率を保持している企業は、少なくとも、これら2つ以上のポイントを押さえ、消費者のカルチャーやライフスタイルに寄り添ったビジネスを構築している様です。物が売れないと言われる時代に、支持され結果を残している企業ですので、今後の動きにも注目していきたいと思います。
出典・参照:
https://edition.cnn.com/2019/12/19/business/2019-store-closings-payless-gymboree/index.html
https://www.statista.com/statistics/568016/retail-sales-of-the-us-athletic-market/
マックスリー・コーポレーション
マックスリー・コーポレーション ( CHIZU NISHIDA ) ■ビジネス関連のお問い合わせ:小林まで
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