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2019.11.27

クリーニング店を物流拠点として活用 急伸するファッションレンタル「ワードローブ」の新ビジネスモデル

written by ケルビン(AIR編集部)

Wardrobeのアプリ

 米国で次々と新しいファッションレンタルサービスが登場するなか、ここ最近、市場の注目を集めるのが、2018年にNYでスタートした「ワードローブ(Wardrobe)」です。慈善活動家やアーティストでもあるアダーシュ・アルフォンス(Adarsh Alphons)氏が創業した同サービスは、クリーニング店を物流拠点とするビジネスモデルが評価され、2019年11月初旬、「エアビーアンドビー(Airbnb)」の共同設立者であるネイサン・ブレチャージク(Nathan Blecharczyk)氏や個人・機関投資家からおよそ150万米ドルの資金を調達しました。

結婚式で見た光景が創業のきっかけに

 米マーケティング情報サイトPSFKのインタビューによると、アルフォンス氏が「ワードローブ」を創業するきっかけになったのは、インドでとある結婚式に出席し、ゲストが着ていた様々な服装を観察していた時だといいます。自分のクローゼットの中にまだ着たことのない洋服が多く眠っていることを思い出し、着用されてない洋服をもっと有効に活用しようと思ったそうです。米ウォール・ストリート・ジャーナルの報道によると、実際に米国人の多くが、クローゼットの中のわずか20%程度の洋服しか着回していないということです。

マンハッタンを中心に、「ワードローブ」が約30のクリーニング店と提携

https://wearwardrobe.co/hubs

商品の受け取りも返却も近くのクリーニング店で完結

 ファッションレンタルサービスといえば、同じ米国の「レント ザ ランウェイ(Rent The Runway)」を思い浮かぶ方もいるかもしれません。「レント ザ ランウェイ」との違いは物流の仕組みにあります。「レント ザ ランウェイ」は自社倉庫を持っているのに対し、ワードローブが倉庫として活用しているのはクリーニング店。クリーニング店がハブとなり、商品のクリーニングやメンテナンスをしたり、商品の受け取り・返却を請け負っているのです。各地域に広がるクリーニング店のネットワークを活用できるだけでなく、倉庫を借りる家賃や人件費、物流コストなどを省くことで、サービスの品質を保つすることができるのです。ちなみに、ニューヨーク市でワードローブと提携しているクリーニング店は30店舗以上。1店舗につき100~1,000着のキャパシティーがあるといいます。

 

 「ワードローブ」はアプリ上で商品の貸し手と借り手をマッチングさせるプラットフォーム。貸し手のユーザーがアプリ上に商品を出品(1着の購入時の小売り価額は250ドル以上、最低20着以上の出品が必要)すると、「ワードローブ」は手元に届いた商品の状態を確認し、クリーニングやスタイリング、商品撮影まで行います。商品のレンタル価格は、通常の小売価格の6~8%程度に設定。貸し手の利益は、レンタル価格の約7~8割(「ワードローブ」に支払う手数料・クリーニング料金を除く)です。

インフルエンサー育成プラットフォームとしての役割も

 貸し手のユーザーが商品を出品すると、アプリ上に仮想クローゼットができあがります。借り手のユーザーは自分のファッションスタイルに似たクローゼットをフォローする傾向があることが、同アプリのベータ版運用時にわかったそうです。この傾向がさらに強まれば、インフルエンサーを育てるプラットフォームとして機能する可能性があるとアルフォン氏は強調しています。現在はレディス商材のみ取り扱っていますが、今後はメンズやキッズ商品も取り扱う可能性があるそうです。ワードローブによる物流のオペレーション改革は、どこまで同社のビジネスを拡大できるでしょうか。今後も同社の動きに注目していきたいと思います。

 

参照・出典:

https://wearwardrobe.co

https://www.psfk.com/2019/11/wardrobe-p2p-circular-fashion-platform.html

Wardrobe picks up $1.5 million for a new fashion rental marketplace

 

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