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2019.11.13

バーチャルストアから企業投資まで 商才豊かな実業家セレブたち5人のビジネス事情

 歌手や俳優など“セレブ(セレブリティ)”たちが展開するファッションブランドは、商品に付加価値を与え、ファンとの繋がりを確かなものにしてきました。しかし昨今のセレブは、ブランドの顔としての役割だけでなく、ファッションに精通し、SNSを通してフォロワーに自らブランドを宣伝し、販売まで行うようになっています。今日もさまざまなセレブがビジネスに参入していますが、消費者のライフスタイルにフィットした、より戦略的なものに変化しているようです。今年、小売業界で話題となったセレブ5人のビジネスについて取り上げます。

世界のファンをくぎ付け!歌姫リアーナのランジェリーブランド

リアーナのランジェリーブランド「SAVAGE X FENTY」

 今年はリアーナの年だったと言っても過言ではないくらいさまざまな現象がありました。5月には、仏パリを本拠地とする企業LVMH社と提携し、ファッションブランド「フェンティ(FENTY)」をスタート。その後、NYファッションウィークで、ランジェリーブランド「サベージ X フェンティ(Savage X Fenty)」のショーを行い、プラスサイズを含むさまざまなボディタイプ、人種、性別を超えたモデルを起用。圧倒的なパフォーマンスでランジェリーの概念を覆すほどの衝撃を与えました。このショーは、アマゾンプライムメンバー限定でストリーミング配信。また最近では、「FENTY」のビューティーラインがアリババ「Tmall」のグローバルサイトで旗艦店を立ち上げ、アジアでの大規模な拡販の一環として200以上のプロダクトを販売しています。フォーブス誌によると、リアーナは世界で最もリッチなミュージシャンとされていますが、その財産の大半はLVMH社との提携によって得たものです。

Buy Now, Pay Laterを支援 スヌープ・ドッグは欧フィンテック企業の投資家に

 スウェーデン発「クラーナ(KLARNA)」は、企業価値55億ドル(約5,850億円)と言われる決済系のフィンテック企業。ユーザーの支払い履歴やウェブの閲覧履歴を分析し、商品の売り手に代金を支払うシステムではヨーロッパ最大規模です。“今すぐ購入し、分割で後払い”といったサービスの提供が徐々に増やしており、「クラーナ」では世界17カ国17万の企業と提携。ナイキやアディダス、アバクロンビー&フィッチ、アーバンアウトフィッターズなどの大手企業が利用しています。

 

 H&Mが1年前に2,000万ドルの出資をしたことも話題となりまいしたが、今年注目されたのがラッパーのスヌープ・ドッグ(Snoop Dogg)による出資。株主でありながら、自身が広告キャンペーンとして登場。その後米国では、ユーザーが600万人増加し、利用企業は3,000社となりました。米国の小売業界の流れを変え、クラーナ社の急成長にも貢献しているようです。

 

アマゾン レディー・ガガのコスメライン販売

 ビューティー&コスメ関連は、アマゾンが今最も注力している分野の1つ。今年7月のプライムデーで話題になったのが、歌手レディー・ガガのコスメブランド「ハウス・ラボラトリーズ(Haus Laboratories)」。カイリー・ジェンナーをはじめとするセレブラインとは異なるのは、アマゾン初のコスメラインだということです。イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、日本など9カ国・地域でデビュー。現在、Amazon.comHauslabs.comで購入可能です。

 

 アマゾンにとって、このコラボレーションは戦略的提携であり、今年は美容師やエステシャン向けのeコマース「アマゾン プロフェッショナル ビューティー(Amazon Professional Beauty)」をスタート。競合の「サリービューティー(Sally Beauty)」や「アルタ(Ulta)」の対抗馬と位置づけています。マーケティング&コンサルティングのステラ・ライジング(Stella Rising)社によると、アマゾンはコスメラインを購入するサイトとして、2位のアルタとセフォラを抑え、1位に選ばれています。

“KIMONO”で炎上したキム・カーダシアン 次は再販市場へ参入

カーダシアン家の再販サイト「カーダシアン クローゼット」 

 “キモノ ”(Kimono Solutionwear)というネーミングが物議を醸し、その後、「スキムズ ソリューションウエア(Skims Solutionwear)」に変更したのは記憶に新しいところ。キム・カーダシアンは2XSから4XLまでの幅広いサイズ展開、人種と様々なボディタイプに対応したランジェリーラインを開始。WWDによると、9月の販売時には数分で完売し、200万ドルの売り上げを記録しました。さらにこのラインとは別に、中古衣料を販売するためのプロジェクト「カーダシアン クローゼットKardashian Kloset)」を立ち上げ、お騒がせ一家としてリアリティー番組でも人気のカーダシアン&ジェンナー両家のワードローブを直接購入できるという再販ビジネスをスタートしました。

注目のイマーシブ型店舗を限定オープン グウィネス・パルトロウ「goop」 

 

グウィネス・パルトロウのライフスタイルブランド「グープ」カナダ・トロント店

 女優グウィネス・パルトロウが手がけるライフスタイル企業グープ(Goop)が小売りを含む複数の業界で急拡大しています。米LA、NY、英ロンドンに常設のラボショップを構えるほか、40カ所以上でビューティー&コスメ製品を扱っています。11月には米テネシー州ナッシュビルにラボストアと「グープ」のポップアップをオープン。他のエリアにも拡大していることが伝えられています。

 

 今夏話題となったのが、グープがマスターカードとNYを拠点とするネクスト・リテール・コンセプト(Next Retail Concept)社と提携し、イマーシブ(体験・没入型)型ストア「グープ MRKT トロント ポップアップ(Goop MRKT Toronto Pop-up)」をカナダのトロントで期間限定でオープンしたことです。同店舗は3D技術を使って「グープ」の特設サイト内にも再現されており、ユーザーはその仮想現実型の店舗の中を歩き回り、水着からスキンケア商品までさまざまなアイテムを購入することができるのです。ウェブの指示に従い、商品の上に置かれた「G」のマークをクリックすると、製品に関する情報を得ることができます。また店内のビデオアイコンをクリックすると、グウィネス・パルトロウ自身がさまざまな製品の説明をしてくれます。ウェブを通じて、

 

 このポップアップストアは9月22日に終了してしまいましたが、体験をより重視するイマーシブ型コマースは、デジタル世代のショッピング体験の1つとして、さらに盛り上がりを見せる可能性が高まるかもしれませんね。

「グープ」特設サイトに再現されたイマーシブ型店舗。店内では、グウィネス・パルトロウが最新ルックを紹介するムービーを配信
商品の上に置かれた「G」のマークをクリックするとその商品の情報が拡大表示される


 

 

マックスリー・コーポレーション
MAXRE Corporation

 

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