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2019.10.23

【FASHION x RETAIL】米老舗スポーツブランド「ラッセル アスレティック」 NYソーホーのポップアップに行ってみた

 1902年、弱冠26歳のベンジャミン・ラッセルが米アラバマ州で創業したスポーツウエアブランド「ラッセルアスレティック(Russell Athletic)」。初のスウェットを開発したブランドとして知られ、100年以上の歴史を持つアメリカンブランドが、10月10日からNYマンハッタンのソーホー地区で1カ月に渡りポップアップショップを開催しています。

 ソーホーの中心部を走るブロードウェイ大通り沿いにオープンしたポップアップショップは、遠くからでもその存在がわかるよう、ブランドロゴでもある「R」の文字をカラフルに並べた看板が目印となっています。打ちっぱなしのブリックウォールが印象的な店内は、高い天井を生かして色とりどりのTシャツが吊るしてあり、インパクトを与えています。次に、歴史あるアメリカンブランドであることを伝える“学びのエリア”が目に入ります。ガラスのフレーム内に展示されているのは、1926年に生産されたオリジナルのスウェットの上下。“スウェットシャツの考案者たち(Inventors of the Sweatshirt)”というメッセージとともに、復刻版の2019年モデルも展示。復刻版は店舗でも購入することができます。

 

 ヴィンテージの商品は、若い世代には新鮮に映り、また、1980年代頃に思春期を過ごした人はノスタルジックな気分になるかもしれません。ブランドや商品について話したストアスタッフは、高校生の時の体育着が同ブランドだったといい、「今ではそんなウェアがファッションとして価値を見せているから面白い時代になったよね」と言っていました。私も幼少時代をアメリカで過ごした時期があったのですが、自身の体育着もラッセルだったなと当時のことをふと思い出してしまいました。

  自分好みにパーソナライズできるサービスが増えていますが、このポップアップでも、ほとんどの商品でカスタマイズが可能でした。好みのアイロンパッチをつけることができるのですが、5~10ドルと書いやすい価格。特にTシャツは10ドルほどとお手頃で、カスタムスタイルは15~20ドルほど。若い人たちや観光客のお土産としても最適な品揃えだと感じました。

 

 実は「ラッセル アスレティック」の向かいには、同じくアメリカンスポーツウェアブランド「チャンピオン(Champion)」の店舗があります。「チャンピオン」は2018年4月にブランド初の店舗をLAに出店したのち、同年8月にNY初のストアをオープンしました。両ブランドとも、卸販売や企業・ブランドとのコラボレーションを行っているため、すでに認知度の高いブランドですが、数年前から見られるロゴスタイル人気などもあり、直営店舗にも力を入れているのだと思われます。ポップアップとはいえ、競合でもある「チャンピオン」の向かいに出店するなんて!と最初は驚きましたが、消費者にとっては人気ブランドが集中するエリアは利便性も高く立ち寄りやすいといえるでしょう。

 「ラッセル アスレティック」にとって今回のポップアップストアは、リアルの世界における顧客とのエンゲージメント構築や、将来的に常設店舗を開くためのテストマーケティングなど、色々な意味が含まれるものなのでしょう。もし店舗を出店する場合、今回のポップアップストアのように、同ブランドを通じて米国アパレルの歴史を知ることができたり、商品を通じたコミュニティーイベントなど、単なる商品販売の場所ではない“何か”があることが必要なのではないかと強く感じました。

■Russell Athletic Pop-up
449 Broadway, NYC
開催期間:2019年10月10~26日
ブランド公式サイト https://www.russellathletic.com/
ブランド公式インスタグラム https://www.instagram.com/russellathletic/


 

RINA  

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

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