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2019.08.07

EC業界にも進出 ウーバーが新ショッピングアプリを開発

written by ケルビン(AIR編集部)

 配車サービスのウーバー(Uber)を提供するウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)は7月中旬、消費財を取り扱うECスタートアップ企業のカーゴ(Cargo)と提携し、新ショッピングアプリを共同開発したことを発表しました。今年5月に上場したものの、2019年第1四半期(1~3月)は約1,100億円の赤字を出したウーバー。今回カーゴ社との提携によって、EC領域で新しい収益源を確保しようとしています。

 

 

ライドシェア業界の新星カーゴ

 

 カーゴは、ウーバーやリフト(Lyft)などの配車サービスの運転手が、お菓子や日用品を車内販売することで副収入を得られるサービスを提供し注目されています。運転手は、商品が入ったボックスをカーゴから受け取り、車内に設置。運転手は、1回の購入で1米ドルの報酬を得ることができるほか、物販の売り上げ金から25%の手数料を受け取ることができます。乗客は、カーゴの専用アプリでQRコード決済を通して商品を購入でき、車内のボックスにない商品を購入した場合は、自宅に配送される仕組みです。

 

 カーゴは2017年6月のサービス開始からわずか1年あまり(2018年7月)で7,000人の利用者(運転手)を獲得。利用者は合計100万ドル以上の副収入を手に入れました(カーゴ公式サイトより)。現在の利用者は2万人以上にのぼり、昨年は約2億ドルの資金調達にも成功しました。

 

 

新アプリは“車内エンターテイメント”として進化

 

 ウーバーとカーゴの独占契約による新ショッピングアプリ(名称&リリース時期未定)は、ウーバーがブランドと商品のキュレーションを行い、最新のApple製品から、アパレル、日用品まで幅広いカテゴリーを取り扱う予定です。一方、カーゴは物流や配送のインフラを提供します。新アプリ開発によって、顧客体験の品質・サービス向上と、単価の高い商品が導入されることによる運転手の手数料収入アップなどを狙っています。

 

 注目したいのが、デジタルネイティブブランドを代表するコスメブランド「グロシエ(Glossier)」とスーツケース専門ブランド「アウェイ(Away)」このショッピングアプリに参加すること。

 

 さらに、大手映画会社ユニバーサル・スタジオと提携し、最新の映画やドラマなどのビデオコンテンツを5~10ドルで鑑賞できるストリーミングサービスも行うそうです。乗客はアプリ内で商品またビデオコンテンツを購入すると、買い上げ金額の10%が「ウーバー・キャッシュ」として還元されます。「ウーバー・キャッシュ」は、次回利用時の乗車料金支払いやショッピングアプリ使用時の支払いに利用できます。

 

 

ウーバーは脅威となるか 大手が続々参入するビデオストリーミング業界

 

 ウーバーとカーゴの提携は、他社にどのような影響があるのでしょうか。例えば前述した「グロシエ」と「アウェイ」は、自社EC(店舗)を中心に販売してきましたが、ショッピングアプリに出店することでタッチポイントが増え、今までリーチできていなかった新規顧客を獲得できる可能性が高まります。

 

 また、ビデオストリーミング業界を見ると、この半年間で、ディズニーやAT&Tなどの大手企業が相次いで参入しています。今回のウーバー参戦によって、コンテンツやサービスの品質向上はもちろん、価格競争激化が避けられない状況となるかもしれません。

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