PICK UP

2019.07.24

【FASHION×FOOD】 ファッションとフードの関わり

 ソーシャルメディアが盛んになってきてからというもの、アパレルの展示会や、ポップアップショップ、トークイベントなどへ参加すると、度々飲食のメーカーが協賛していたり、人気のカフェやベーカリーなどがケータリングしていたりします。またインスタグラム上では話題になってきているけれど、店舗ではまだあまり取り扱いがないフードやビューティー、ウェルネス系のブランドは、ファッションブランドなどのイベントや店舗でのちょっとしたスペースを借りることでブランドについて紹介することもあります。

 

 つい先日ソーホーにあるEVERLANE / エバーレーンのお店に立ち寄ったときには、飲料水ブランドOpen Water / オープンウォーターが店内でお客様に無料でフルサイズのボトルを配っていました。この日は30度近い気温だったこともあり有り難かったと共に、知らないブランドだったので後からインスタグラム(@drinkopenwater)をチェックしてみると、このブランドがサステイナブルなアルミ缶をパッケージを使用していることを知りました。このブランドによれば、プラスチック、ガラス、カートンよりもアルミの飲料水の容器が最もリサイクルされるのだそうです。

 

 食のトレンドであったり、同じミッションでの繋がりであったり、一昔前とは違った形で、ファッションとフードは今、新たな関わりを持っているような気がしています。

 

 そこで最近の食品のトレンドを探りに、NYで開催されたふたつのフードエキスポへ足を運んでみました。

NYで初開催!プラントベースド・ワールドエキスポ

 今年が米国では初めての開催となったプラントベースドワールドエキスポ(PLANT BASED WORLD EXPO)。

 

 NYマンハッタンにある展示場、ジャビッツセンターで開催されたこのエキスポは、肉・魚・卵・はちみつなどを省く、植物や野菜を中心とした食品メーカーやブランドを集めたエキスポ。一部にはウェルネス系やファッションブランドの出展もあるということでしたので是非、見てみたいと思い足を運びました。

 

 こういったエキスポですと業界関係者に向けた内容が多いですが、このエキスポはプラントベースド(植物を中心とした生活)に関心がある人にも向け、学べる機会として一般入場も許可されていました(有料)。

 

 二日間に渡り開催されたこのエキスポには130のベンダーが出展。個人的にこれまでにも大小関わらず様々なフード系のエキスポやイベントに足を運んできましたが、プラントベースドワールドに関しては、全体的に個性豊かなブランドが出展していたなという印象です。

 「ジャーキー」というとパッとビーフジャーキーのことを思い浮かべる方がほとんだと思いますが最近では徐々にプラントベースドの物も増えつつあります。

 

 このエキスポでも椎茸を使ったジャーキーのPan’s Mushroom Jerky (@mushroomjerky) やココナッツがベースとなったCocoburg (@coconut_jerky)が出展。今後こだわりのグローサリーストアや、ホールフーズマーケットなどのオーガニックやナチュラル志向のスーパーマーケットで取り扱われる機会が増えていきそうです。

 今回のイベントで最も気になっていたのがアクティブウエアブランドの「Reprise / リプライズ」(@reprise)。アクティブウエア市場では多くプラスチック系の素材や、汗などの臭いを抑えるためにケミカルが使用されていたりと、実は安心して着れないウエアも存在するそうです。そうした中でリプライズは、最も環境に優しい製法で作られた繊維と言われるテンセルをメインとしたアクティブウエアを展開。

 

 テンセルは主に、汗を逃し涼しく保つなど速乾性が高いと言われ、臭いに対しても強く、低アレルゲン、生物分解可能な素材であることが特徴なのだそうです。

 

 この他にもテンセルは柔らかく、肌さわりも良い伸縮性を持った素材でもあります。

 

 リプライズではトップスに98%のテンセルを使用し、残り数%にはスパンデックス。ボトムスも同様にテンセルをメインに使用しているそうです。

 

 エシカルなブランドとしてEVERLANE / エヴァーレーン やAllbirds / オールバーズ、Rothy’s / ロシーズなどかなりビジネスも知名度も確立しているデジタルネイティブブランドが存在する一方、リプライズはまだまだ立ち上がったばかりのブランドではあります。ただこうした環境保護を考えるブランドは最近増えている傾向を感じています。

 

 ファッションブランドならばアパレルの展示会に出すのは当然ですが、こうした異業種の場にミッションを通じて参加してみることも有りなのでしょう。そう考えると、ビジネスの発見やインスピレーションは、自分が持っていた考え方から飛び出して色々な業態へと足を踏み込んでみる価値があると感じます。

米国最大級の食品見本市であるサマー ファンシー フードショー

 6月はこの他に米国最大級の食品見本市であるSummer Fancy Food Show 2019  / サマーファンシーフードショーへもトレンドをチェックしに行きました。

 

 ファンシーフードショーでは、菓子類やチーズ、スパイス、コーヒー、オリーブオイルなどのオイル系、エスニック食品や自然・有機食品など世界各国から企業が出展。

 

 西海岸と東海岸で年に2回開催されるこの見本市には世界中から食品関係者や卸業者などが来場します。

 

 またこの見本市ではJETROが主催するジャパンパビリオンが設けられ、日本からも世界に向けた新規参入や販路拡大を目指す支援を行なっています。

 アポなしではあったものの今回いくつかの出展企業さんに声をかけさせて頂くことが出来ました。印象的だったのは、海外での出展は不安はもちろんあるものの、自分たちから変わっていかなければならない、行動していかなければならないという意思の強さ感じられたこと。もちろんそうしたチャレンジの中では失敗もあると話してくれました。しかし一歩世界へ踏み出したことで多くの素晴らしい出会いに恵まれ、一歩一歩新たな販路を拡大しているそうです。

 出展ブースで話しかける時、日頃はファッションやテクノロジーについて執筆している者なのだけどと名乗ると、以前は結構軽くあしらわられる事も多かったのですが、今年はなぜか違いました。これは私が考えているようにファッションとフードの関わりが変わってきているからなのか、それともこのYoga Pops (@yogapops)の創設者のように、以前はファッション業界に働いていたという出展者も多いからなのか。そういった意味でも私にとって異業種を含めた関心は益々高まるばかりでした。

 ふたつのエキスポへ足を運び感じたことは、豆乳やアーモンドミルクなど牛乳に代わる植物性のミルクが益々増えそうだということ。数年前のアメリカでしたら、コーヒーに“ミルク”と言えば、普通の牛乳やスキムミルク、クリームなどの中から選んでいたと思います。しかし最近のNYではちょっと洒落た美味しいコーヒーショップやカフェ、レストランに行けば普通のミルクはあるものの、アーモンドミルクやソイミルク、ヘンプミルク、オーツミルクなどチョイスがあるのが当たり前になり、逆に牛乳に代わる選択肢がないと驚くほどです。

 

 そうした中で個人的に気になっているのはセサミ(胡麻)系ミルク。口あたりも非常に円やかで、胡麻そのものの風味も楽しめますし、外国人にも馴染みがある食材ということもありますから今後スーパーで見かける機会が増えていくような気がしています。

 また特にニューヨークでの抹茶人気はトレンドで終わることなく定着。抹茶専門のカフェも増えましたし、カフェに行っても用意されているところが増えています。スーパーでも抹茶を手軽に楽しめるティーバッグのタイプが手軽に手に入るようになりました。

 

 ブルックリンにオフィスを構えるITO EN (North America) Inc. / 北米伊藤園も、2013年より北米市場で抹茶をベースとした「Matcha LOVE®(まっちゃ ラブ)」のブランドを展開。サマーファンシーフードショーでは、新商品「ターメリック ユズ」「ブルーベリー ラベンダー」そして「ピーチ シナモン」を発表。展示ブースで試飲させて頂きましたが、それぞれが主張の強いフレーバーなのに、とてもバランスよく、なめらかでとても飲みやすかったです。Matcha LOVE®はITO EN (North America) Inc.が展開するアメリカ生まれのブランドなので日本ではこのティーバッグタイプは展開されていないようですが、きっと日本の方々も楽しめるフレーバーだと思います。


 

RINA  

R I N A

90年代の米国がネットバブルだった頃に米国にて日本向けのファッションポータル事業にコンサルタントとして関わる。

 

以降、「ファッション」と「インターネット」上で行われるビジネスを中心とした事業に15年ほど携わり、Web製作やディレクション、ビジネスのコンサルタントを行う。現在は米国のファッション事情やトレンド、ファッションとIT関連を中心とした執筆、今までの経験と知識を活かしビジネスサポートも行っている。

アパレルウェブ ブログ
■ お仕事のご依頼
取材/記事執筆、マーケティングリサーチ、コンサルティング、その他お問い合わせ、ご相談はこちらから。

メールマガジン登録