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2019.07.19

米老舗百貨店ノードストロームと洋服レンタル「レント ザ ランウェイ」が提携 両社の狙いは?

written by ケルビン(AIR編集部)

 いまや洋服レンタルサービスの代名詞と言われるまでに成長したレント ザ ランウェイ(Rent the Runway)が今年6月下旬、米百貨店の雄ノードストローム(Nordstrom)との提携を発表しました。レンタル業態が避けては通れないのが“商品返却”ですが、すでに返品ボックスサービスを行っているノードストロームとタッグを組むことは、予想以上の効果を生む可能性があります。日本の企業が新しいビジネスモデルを生み出すためのヒントも潜んでいるかもしれません。

レント ザ ランウェイ専用の返却ボックスを設置

 両社の提携サービスは、LAにある4つのノードストロームの店舗で、レント ザ ランウェイ専用の返却ボックス「ドロップ・オフ・ボックス(Drop-Off-Box)」を設置したことです。レント ザ ランウェイを利用したユーザーが、レンタルした商品を「ドロップ・オフ・ボックス」に入れ、簡単に返却ができるというもの。今後は返却だけでなく、レンタル商品の受け取りも順次行えるようにするとのことです。

ファッション感度の高い顧客を持つ両社 提携の狙いは?

 なぜLAで提携サービスを始めたのか――その背景には、L.A在住のレント ザ ランウェイ利用者の多くが、ノードストロームの店舗付近に自宅と職場があることがあげられます。つまり、レント ザ ランウェイは、LAの市場を優先的に拡大させているというわけです。

 

 現在、レント ザ ランウェイは全米で5店舗、ノードストロームは379店舗を展開しています。今回の取り組みによって、レント ザ ランウェイはノードストロームの巨大な店舗網を活用することが可能になりました。ノードストロームに返却ボックスを設置することにより、これまで郵便を使って商品を返却していたユーザーの手間を省く狙いがあります。

 

 ノードストロームとレント ザ ランウェイの顧客層には、“ファッション感度が高い”という共通点があります。レント ザ ランウェイの顧客に、ノードストロームの店舗でパーソナライズ・スタイリングなどのサービスを体験してもらい、顧客により利便性の高い購買体験を提供すること。これがノードストロームの狙いでもあります。

店舗×デジタル提携で生まれる新サービス

 今回の両社の提携に限らず、米国の小売業界では、異業種もしくはライバル企業同士が提携・協業し、新たなニーズを創造することがもはや当たり前になっています。レント ザ ランウェイは2018年10月にも、コワーキングスペースサービスを提供するウィーワーク(WeWork)と提携し、米国内におけるウィーワークのオフィス16カ所に返却ボックスを設置しました。百貨店チェーンのコールズ(Kohl’s)は、店舗内にアマゾン商品専用の返品コーナーを設置したことで、店舗のトラフィックが増加したという事例が出ています。

 

 今後は米国だけではなく、世界的にも、リアル店舗とデジタルサービスとの連携が当たり前のように生まれる時代が来るでしょう。想像がつかないようなライバル企業同士がお互いの強みを共有し、新たなサービスを生み出す日が来るかもしれません。日本でも従来型の小売り企業が苦戦を強いられるなか、今回の取り上げたような連携は、顧客開拓や売上拡大のための大きなヒントになるのではないでしょうか。

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