2019年5月25日（現地時間）14日の開幕から10日以上に渡って行われた第72回カンヌ国際映画祭が終幕した。最高賞のパルムドールは韓国人監督としての初の受賞となるポン・ジュノ監督による「パラサイト」が受賞。グランプリにはマティ・ディオプ監督「アトランティック」、男優賞には「ペイン・アンド・グローリー」のアントニオ・バンデラス、女優賞は「リトル・ジョー」のエミリー・ビーチャムが受賞した。

女優賞のエミリー・ビーチャム（マイケル・コース）Getty Images for Michael Kors （左）、
男優賞のアントニオ・バンデラス（ディオール）画像：ディオール

　ベルリン、ヴェネチアと並ぶ世界三大映画祭のひとつとして知られる同映画祭は、映画祭としての重要度と同時にその華やかさにおいても最も注目される映画祭と言えよう。また今回もレッドカーペットやフォトコールにおける世界の有名セレブ達の衣装が話題となった。

　今回、最年少審査員を務めたエル・ファニングはオープニングで纏った「グッチ（GUCCI）」のガウンドレスに始まり、「ディオール（Dior）」のオーガンジーシャツとチュールのスカートにラフィアのハットのコーディネーション、ディナーの際には「ディオール」のプリントドレスや「ヴィヴィアン・ウエストウッド（Vivienne Westwood）」のショッキングピンクのドレスなど、どのルックも好感度の高いモノだった。ベストルックのランクイン常連のジュリアン・ムーアは「ルイ・ヴィトン（LOUIS VUITTON）」のケープドレスや、「ヴァレンティ（VALENTINO）」のミニドレス、「ジバンシイ（GIVENCHY）」のシルバーのドレス、「クロエ（Chloé）」のペイズリー柄のビスポークドレスなどで登場。同じくベストドレッサーとして知られるクロエ・セヴィニーは「ロエベ（LOEWE）」の ブラック ウール カット スリーブ コートや多くのリボンモチーフの付いた「ミュウミュウ（MIUMIU）」のミニドレスで。

　「ディオール」の白のシフォンドレスやロベルト・カヴァッリの背中の大きく開いた真っ赤なドレスを纏ったベラ・ハディッド、「ゴルチエ パリ（GAULTIER PARIS）」の真っ赤なワンショルダーのドレスや「ラルフ＆ルッソ（RALPH & RUSSO）」のフロントにクロコダイルモチーフが施されたドレスなどで登場したウィニー・ハーロー、オープニングで「エトロ（ETRO）」のレースドレスを着用したロミー・ストリド、「アトリエ ヴェルサーチェ（Atlier Versace）」の真っ赤なシルクのガウンドレスやを纏ったナタリア・ヴォディアノヴァ、「エトロ」の純白のモンロードレスを着用したエルザ・ホスク、そして「ディオール」のゴールドのビスチエドレスを纏った水原希子などモデル陣にも熱い注目が集まった。

　男優陣はレオナルド・ディカプリオ、エイドリアン・ブロディなどが「ジョルジオ・アルマーニ（Giorgio Armani」を、ハビエル・バルデムは「エルメネジルド ゼニア（ERMENEGILDO ZEGNA）」の「エルメネジルド・ゼニアXXX」をチョイス。名誉パルムドールを受賞したアラン・ドロンは「ディオール」のタキシードで登場した。

　ボリューミーなドレスや大胆なトレーンの付いたスカートやコート、大きなリボン使いなど豪華絢爛なルックが目を引いたが、その反面ショーツのコーディネートやデニム使いなどカジュアルな装いも。いずれにしてもあまり極端だと、ワーストルックだとたたかれる危険も高いが、カンヌ映画祭故にあまりにも突飛なルックは少なく、全体的にラグジュアリーかつ上品な雰囲気が漂っていたようだ。

文・田中美貴