PICK UP
2016.03.04
速報!ロンドンコレクションから見るトレンド分析 ブランドで共通した提案アイテムとは?
ロンドンコレクション レポート
高嶋一行(写真・文)
「ハウス オブ ホランド(House of Holland)」
2月19日から23日まで、ロンドン市内で行われた2016年秋冬ロンドンファッションウィーク。5日間の日程で、80以上のブランドがランウェイショーやプレゼンテーションを発表しました。2013年春夏から、メンズコレクションは1月に「ロンドンコレクションメンズ」として行われているため、ウィメンズのブランドに集中できる日程となっています。それでも例年通りの過密スケジュールに、バイヤーやプレスはロンドン市内を駆け巡ります。混乱が起きたミラノファッションウィークほどのショー時間の乱れはなかったものの、ギッシリ詰まった日程となっていました。全ての日程を終えたロンドンファッションウィークから、2016年秋冬のトレンドとなるであろう、目立った共通の提案アイテムをご紹介致します。
アクセサリーだけでは物足りない?シャイニーカラーがウェアに侵食
ウィメンズファッションで、トレンドとなったシルバーカラーのアイテム。シューズやクラッチバッグ、ベルトなどでスタイリングするファッションが人気となり、シルバーカラーの選択肢も珍しくなくなっています。今ではメンズファッションでも広がりを見せ、シルバーアイテムを取り入れたスタイリングも市民権を得た状況。そして今回の2016秋冬では、ウィメンズウェアにもシルバーカラーやシャイニーなカラーリングが数多く登場。パンツスタイル、スカートスタイルとしての提案だけでなく、セットアップやワンピースでのコレクションも目立っています。差し色やアクセントとして使うシルバーカラーでは物足りなくなり、さらに主張の強いウェアにまでジワジワと浸透したような流れ。
特に「フェルダーフェルダー(FELDER FELDER)」のコレクションでは、シルバーカラーのワンピースやシースルーなシャイニーファブリックを多用。フェミニンなのにクール。そしてよりゴージャスな着こなしとなるアイテムであり、近未来なモードとしての服ではない新しいシルバーカラースタイルとして定着すると考えられます。
(左から)「セイディー ウィリアムズ」「フェルダー フェルダー」「レジーナ ピョ」
「セイディー ウィリアムズ(Sadie Williams)」はスカートのセットアップスタイルでシルバーカラーを演出。フェミニン感を残しつつ、クールなデザインに仕上がっています。「フェルダー フェルダー」では、立体感あるファブリックでシャイニーなカラードレスの他にも、シルバーカラーの素材が多用されています。
(左から)「アレクサンダー ルイス」「セイディー ウィリアムズ」「ハウス オブ ホランド」
(左から) 「ジャスパー コンラン」「ハウス オブ ホランド」「バーバリー」
また、シルバーカラーではないものの、「ハウス オブ ホランド(House of Holland)」や「バーバリー(Burberry)」などでは、スパンコールの刺繍でキラキラとした装飾感あるドレスを発表しています。
透き通るような美を追求する!シースルーファブリック
ドレスアップに欠かせないワンピーススタイルなどを提案するブランドであれば、必ずといってもいいほどコレクションにラインナップしていたデザインが、シースルーデザイン。肌をベールで包むように、セクシーにコーティングする柔らかな生地が魅力的。
特に「バーバラ カサソラ(Barbara Casasola)」が発表したコレクションは、ほとんどに透け感のあるシルク生地デザインを取り入れた内容となっています。 デジタルプリントのデザインが代表的な「メアリー カトランズ(Mary Katrantzou)」はシースルーの生地にデジタルプリントで模様やドット柄を演出。テキスタイルの創作性で注目を集める「テンパリー ロンドン(Temperley London)」では、シースルー素材に刺繍を組み合わせたドレスで、創作的なセクシーさを提案しています。スパンコール手刺繍の技術に定評がある「マーカス ルーファー(Markus Lupfer)」は大きな装飾パターンを組み合わせたシースルートップスをデザインしています。
(左から) 「バーバラ カサソラ」「ポール コステロ」「メアリー カトランズ」「マーカス ルーファー」
「バーバラ カサソラ」には、軽やかでシースルーなシルク素材が登場。透け感あるアイテムにアウターを合わせるスタイリングでモデルが登場。「ポール コステロ」ではブラックレースを使った透け感など、大人セクシーでフェミニンな雰囲気をデザイン。
「メアリー カトランズ」のドレスは、透け感ある素材にもデジタルプリントでブランドの世界観を創出。刺繍との組み合わせも、あくまでライトウェイトなドレスに仕上がっています。 「マーカス ルーファー」の刺繍は大きな装飾でありながらも、重たくならないバランス感が絶妙。大きな花柄がノスタルジックなイメージに。
(左から) 「ダックス」 「ティータム・ジョーンズ」「ザンドラ ローズ」
(左から) 「メアリー カトランズ」 「アントニオ ベラルディ」「テンパリ― ロンドン」 「タタ ナカ」
二の腕は隠すより出す!ノースリーブのトップス多数
ドレスで言えば、アメリカンスリーブやカットアウェイショルダーなど、とにかく肩や二の腕を出すデザインが多くのブランドにて登場。「ジョン スメドレー(John Smedley)」ではハイゲージの繊細で薄手のニットでノースリーブドレスを提案しています。
「パルマー ハーディング(palmer//harding)」はフリルを豊富に取り入れたボリューミーなトップスも、肩を出したディティールで華奢な雰囲気を表現。「A.F.ヴァンデヴォースト(A.F. Vandevorst)」のコレクションでは、ファーのテクスチャーで胸元に季節感を出し、腕はノースリーブのファーベストのようなデザインが印象的です。大胆に肩を出したデザインにはメリットもあります。二の腕のたるみが気になる方にとっては、隠すよりもあえて出す方が目立ちにくく、全体的にスマートな印象を与えてくれるディティールです。痩せすぎモデルの採用に否定的な世の中の流れや、体型を気にする方への配慮なのか、どちらにせよ来シーズンは、スリーブなしのスタイルが多数出現の予感。秋冬シーズンらしく、ボリュームあるコートを脱いだ際のギャップとしても応用できるメリハリアイテムです。
(左から) 「ジョンスメドレー」「A.F.ヴァンデヴォースト」
ニットブランドの「ジョン スメドレー」は得意のハイゲージニットでノースリーブアイテムを提案。フィット感あるアイテムから、ゆったりとしたシルエットまで多数展開しています。ファーのボリューム感がありながら、華奢なイメージに仕上げた「A. F. ヴァンデヴォースト」のトップス。グラデーションのカラーリングでさらにゴージャスな雰囲気に仕上がっています。
(左から) 「フェルダー フェルダー」「ダックス」「パルマー ハーディング」
(左から) 「ティータム ジョーンズ」「アントニオ ベラルディ」「ハウス オブ ホランド」
シングルでも!ダブルでも!視線を集めるスリットスカート
スカートのディティールの中でもランウェイショーで動きを見せるデザインが、スリットの入ったスカートです。「バーバリー」のコレクションでは、フロントにダブルで入ったスリットが特徴的なドレスが登場。「ハウス オブ ホランド」でも同様のディティールとして、スリットスタイルを提案しています。さらにロングドレスをデザインした「テンパリー ロンドン」はシングルのスリットをサイドに展開。ランウェイを歩くモデルがスカートをなびかせながら、思わず足に視線を向けてしまう深めのスリットが特徴的です。老舗ブランドの「ポール コステロ」でも鮮やかなドレスに深く入ったスリットがメインデザイン。ざっくりと深く、そして広くスリットが表現されています。
(左から) 「バーバリー」(写真提供元:バーバリー)「ハウス オブ ホランド」
「バーバリー」はカクテルドレスにダブルのスリットを配置。短めのスカートに控えめに入れたスリットが上品です。スリットを多用したスカートで登場したのは「ハウス オブ ホランド」のコレクション。歩くたびに動きが出るディティールが魅力です。
(左から) 「ポール コステロ」「ジャスパー コンラン」「テンパリー ロンドン」
ストリートで好まれる“今”のトレンドアイテムは?
最新コレクションが発表されるロンドンファッションウィークは、来シーズンのトレンドが分かる場。そこに集まる会場内や会場周辺では、現在のトレンドが手にとって見えてきます。 「ヨーロッパのトレンドは、半年後の日本のトレンド」と言われた時期はもう古く、今では世界中が同時進行。では現在のロンドンファッションウィーク会場でのトレンドとは?どういったものでしょうか。
増えるデイパックスタイル人口!アウター×リュックスタイル
ロンドンファッションウィークの会場に集まる関係者が持つバッグは、デイパックなどのリュックスタイルがその多くを占めています。もちろん、定番のデイパックブランドのアイテムから、女性に人気の「フェールラーベン(FJALLRAVEN)」のバッグパックも支持されています。が、今回のロンドンファッションウィークの会場で目立ったのは、ブランドが提案する上品なバッグパック。さらに、レザー素材のアイテムが現在のトレンドとなっています。ボリュームあるファーのアウターや、ロングコートと合わせるコーディネートがロンドン流。ファッショナブルで機能性も高いデイパックを取り入れた楽チンスタイルが脚光を浴びました。
やっぱり日本では着られない?日本語ロゴのデザインアイテム達
カジュアルウェアとして市民権を得ている「スーパードライ(SUPER DRY)」。おなじみのロゴは、日本人からすると違和感があるデザインです。
日本語ロゴがクールデザインとなったヨーロッパファッション。特にカタカナが人気。
高嶋 一行(たかしま・かずゆき)
ロンドンのELEY KISHIMOTOにてデザインアシスタントを経験後、日本では海外ブランドのセールス・PRエージェント会社に勤務。 現在はイギリスに戻り、英国を中心としたファッション記事を執筆中。 現在、ファミリーセールやサンプルセールの情報サイト「tokyosamplesale.com」(毎日更新)も運営している。
|