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2013.12.04
米国20代女性に絶大な人気のオンラインショップ『ナスティ・ギャル』ヒットの理由
images via nastygal.com
今年、アーバンアウトフィッターズ社が本気で買収の為のコンタクトをし、その成長を脅威に見守っている、オンラインショップがあります。2008年スタート、僅か5年で昨年の売り上げ、1億3000万円にリーチするという驚異的な急成長の『nastygal.com』。昨年は、『ネッタポルテ』『エイソス』『エッツィ』等に投資しているIndex Ventureから5000万ドルの資金を得て更なる飛躍をしようとしている若干29歳の女性CEOが率いる若手企業です。以前から、時代の背景と共に、大変興味深く拝見していましたので『ナスティ・ギャル』を取り上げさせていただきました。
images via The Savvy
そのCEO、ソフィア・アムルーソさんは、ノリに乗っていた時期ですから、アーバンアウトフィッターズへの売却はせず、ビジネスを遂行する事を選択、現在、300人の社員を抱え、今年10月にはケンターッキー州に50万SQFT(約46,451平米)の配送センター、そして、ロスのダウンタウンに、50,300SQFT(約1,458平米)の本社を設立という成長ぶり。ばらばらのオフィスにいたロスの200名の社員が、一つ屋根の下でワークすることになった事をフェイスブックで報告、カフェゾーンと呼ばれる休憩の為のスペースも公開しています。
images via Sophia Amoruso/Facebook
これほどまでに急成長した「NASTY GAL」とは?
ビジネスのきっかけと経歴
このサクセスストーリーで、皆の興味を引いているのは、若き起業家ソフィアさんが、特別優秀なアイビーリーグ卒という訳ではなく、コミュニテイ・カレッジを中退後、アートスクールでフォトグラフやフォトショップを学んだという経歴。 時給13ドルのレコードショップでアルバイトをし、腕にヴァージンレコード社のロゴのタトウーを入れる程の音楽好き。その傍ら、学んだ技術を生かし、自らも着用していたというヴィンテージ商品をeBayのストア『NastyGalVintege.com』で販売していたのです。スリフトショップやサルベーション・アーミー等を回って購入したシャネルのやイブサンローランの洋服を販売。月に25着くらい売れたそうですが、8ドルで仕入れた物を1000ドルで販売するといった手法だったので、かなりの収入になったのでしょう。
マーケテイングと『NASTYGAL.COM』のスタート
2008年、音楽やエンターテイメントを中心にしたSNS『マイスペース』に登録しマーケティングに利用。 ソフィア個人のページを通し、雑誌『ナイロン』のユーザー、ロスとNYに住む、音楽好きの16~26歳女性に絞り込み一斉プッシュ、6万人の友人(ファン)を創出したそうです。その友人達と巧みなコミュニケーションをはかる事で、ヴィンテージを販売するeBayストアへの誘導。その後、イーベイのプラットフォームが競合店に比べ劣るという理由から、『SHOPNASTYGAL.COM』をスタート。ブランド名の由来は、ファンキーでスタイリッシュなミュージシャン、ベティ・デイビスのアルバムのタイトル。 “NASTY”の本来の意味は、厄介な、嫌らしい等のネガテイブな意味が含まれますが、バッドガール的なクールなイメージとして捉えられているようです。
地道な努力と分析
ヴィンテージでも、どのデザインが、どのタイミングで売れたか独自の調査で分析。10%の客層が月に100回サイトに戻って来ており、その殆どが、『ナイロン』の読者層を含む、ロス若しくはNYに住み、ファッションに高い興味を示す、ヒップな20代女性。 ヴィンテージ商品は基本、1点物が多い事、低価格帯の商品が売れているという実績から、ロスの卸売業者から、ヴィンテージテイストの商品を仕入れて販売をスタート。 SNSでは、ファン同士が様々な会話をしており、マーケティングには非常に有効、仕入れの参考に、そして、その後にスタートしたPB商品の開発にも生かされています。
オンラインショップとしての成長
前述の通り2012年、PBラインの開始に伴い、『エイソス』で6年の経歴を持つデザイナーを『リンクトイン』で探して契約。その他の人材探しにも、米国のネット掲示板『クレイッグリスト』を使うそうですが、今時ですね。 非常にフォーカスした客層の好みとヴィンテージというキーワードをベースに手に届く価格帯のPB商品は、『ナスティ・ギャル』の55万人の客層の内、13万5000人が一日に6分間、その内トップ10%は月に100回サイトを訪問する熱狂的なファン層を創出。PBはアパレルだけではなく主力のカタゴリーでもあった靴のラインも拡大。この秋、PBの『SHOE CULT』をスタートしています。平均小売価格50~190ドル、シーズンに関係なく、毎月、40~60のスタイルを追加し将来的には卸売りも検討。同社全体の売り上げの30%は、海外からのオーダーだそうで、今後、海外の客層の好みも更に分析していくとのこと。
カリスマ社長の新たなステージ “リアル店舗”
最近のソフィアのツイートで、近々、ロサンジェルスで実店舗のオープンをすると告げた事が話題に。具体的な内容は伏せられていますが、オンラインストアからリアル店舗へ、企業として新たなステージへ踏み出そうとしているようです。10月に開催された、WWD主催のCEOサミットにも参加した若き起業家は、同世代の社員を多く従え、ライフスタイルや好みを徹底的に調査、地道な努力がベースにあるのはもちろんですが、なによりも、ビジネスを担うスタッフ達が消費者に限りなく近く、趣味趣向の似た消費者達とのつながりは非常に自然で無理がない。等身大のマーケティングが、NASTYGALの成長のポイントとしてあり、そして、なんといっても、ターゲットの客層と年齢を同じくして、成功へ導いた、カリスマ的なCEOの存在は、他の競合店と大きく異なる所。今年5月、自らの成功のヒントを綴った著書『#GIRLBOSS』も出版しています。
アーバンアウトフィッターズ社がターゲットが重複する競合店として一目置くのも非常に理解できるものであり、ポストベビーブーマー、最大の消費者層として、米国企業がやっきになって獲得をトライする、ミレニアルズ層を理解する上でも、『ナスティ・ギャル』は外せない存在となりそうです。
マックスリー・コーポレーション
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