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2014.08.13

米国“バック・トウ・スクール”プロモーションバトル

VIA h&m homepage

 夏休みも1ヶ月を切りましたが、アメリカでは、バック・トウ・スクール商戦のピークを迎えています。各州で一定期間の免税を行っており、この時期の消費を促進しています。ファッション雑貨以外のショッピングでは、電卓やノート等、学校から準備する様に指定されているアイテムは昨年より多い、平均18点。子供が複数いる家庭は大変ですね。NRFによると、今年は昨年の3%増の$74.9B(約749億ドル)の消費が見込まれているそうですが、こうなると、生活に必要な食料品や光熱費も確保しなければならず、衣料品、電化製品等は必要最小限に、旅行や外食もこの時期は控えるという家庭も少なく無い様です。 バジェットのある消費者から、いち早く売り上げに繋げようと年々セールも前倒し傾向。 ウォルマートや JC ペニーは6月からプロモーション開始、その他のリテイラーも7月の独立記念日後からスタート。プロモーションの仕方も様々ですが、各社どの様な戦略なのか、調べてみました。

ウォルマート/H&M/アップルは、先生 or 生徒限定の特別キャンペーン

H&M の店頭デイスプレイより

 ウォルマートでは毎年行っているプロモーションですが、先生限定の感謝ウイークとし、1万5000点のアイテム対象に10%バックキャンペーン。米国では、先生達も新学期に備え、クラスルームで必要な物を購入する為、平均で1000ドルの消費があります。また、ファストファッションのH&Mでも、生徒&先生限定で、トータルの購入額から15%デイスカウントするキャンペーンを行っています。通常のセールプライスからのデイスカウントなのでお得感があります。店頭では、B-T-Sらしく、チョークで書いた様な黒板のポップが目立ちました。また、アップルでも生徒と先生限定、新型マック購入で100ドル、アイフォンとアイパッドの購入者には$50のギフトカード進呈キャンペーンをしています。新型のガジェットは、キッズ達が欲しいアイテムの中で常に上位。ここでお金を使われる事は、競合リテイラーにとってかなりの脅威。

ターゲット:大学生にフォーカスした『カレッジ・レジストリープログラム』

target.com より、カレッジ・レジストリープログラム

  小売りチェーンのターゲットでは、高校生最後の夏を終え、初めての大学寮生活をする新大学生を対象に、ギフトレジストリーのシステムをスタート。ウエデイングレジストリーと同様の合理的なシステムで、キッズ達はサイトから欲しいものリストを登録しておくと、親戚や友人達がギフトとして購入してくれるというもの。アメリカではこの時期、寮生活で必要な家具や電化製品等、平均$4.7B(47億ドル)が使われるそうです。

JC ペニー:価格戦略と“EXPRESS YOURSELFIE” キャンペーン

JC ペニーの店頭デイスプレイ

 再開したデイスカウント戦略で40-50%オフ+期間限定のエキストラ25%オフ。これでも利益が出る様に仕入れるのですから、ベンダーは大変です。HPからアクセスできる絵文字メーカーでは、ポートレート写真をアップ、自分に似た絵文字キャラを作る事ができ、JC ペニーのB-T-Sオンラインサイトで、インタラクテイブなデジタル体験がシェアできるというサービスを開始。店内でも、この絵文字を商品ポップに使用しています。また、視聴者登録数、1700万人を超える、10-20代に人気のユーチューブTV『AWESOMENESSTV』で人気のスター、MayBabyを起用したプロモ番組も配信。

フォーエバー21:ダンスビデオ・コンテストで1万ドルの奨学金

フォーエバー21のダンスコンテストのプロモーション

 フォーエバー21は、以前行ったホールビデオコンテストに続き、今回は商品券では無く奨学金を提供しようと言う異質のプロモーション。その条件として、①:F21のフェースブック若しくはグーグル+をフォローする。②5分以内のクールなダンスビデオを作る。③インスタグラム、フェースブック、ユーチューブ、グーグル+等に、#F21STATEMENTPIECEを付けてダンス動画を投稿するというもの。コンテスト期間内であれば、複数のSNSへの投稿が可能なので、使用していなSNSの講座を作ってフォローする人もいるのでしょう。ハッシュタグをいれて、インスタグラムで検索してみた所、2014件。個人やカップルで投稿している人もかなりありますが、同社のプロモビデオの様に、ダンスだけでなく、ファッション性も重視されるのでしょうか。このプロモでのメリットとして考えられるのは、F21のSNSのフォロワーを増す事、参加者のSNSフォロワー達がダンスビデオを見る事による話題性と宣伝効果。

エアロポステール・アバクロ:消費者に歩み寄ります型キャンペーン

エアロポステールのプロモーション&店頭デイスプレイ

 ファッションや、ライフスタイルの変化により、10-20代の客層を逃し苦戦している企業ですが、この商戦でどの様な対応をしているのか。 “You’ve changed, so, we’ve changed!”と宣伝に使ったのが、エアロポステール。あなた方が変わったのなら、私達も変わりますとばかりSNSを利用したでヘビープロモーションを行い、まさに今のジェネレーション代表のユーチューブスター、18歳のベサニー・モータとタイアップした、”AERO NOW“キャンペーン。 A&F では控えめなロゴ使用に、トレンドミックス&ミリタリーや、グランジファッション、ミュージックフェスをイメージしたボヘミアンルックやレギンス等、トレンドを重視した商品アソートで対応。まだ少量ですが、今まで封印してきた黒も展開するというポリシーも崩した消費者歩み寄り路線。H&MやF21から奪却するには時間がかかりそうです。そして3A’s最後のブランド、アメリカンイーグルでは、デニムジーンズ押しで、ジェギング等、全て、“30ドル以下”のセール。スキニージーンズは依然、需要がありますが、ヨガウエア等、アクティブウエア人気で、ティーンのジーンズ離れが深刻。

 

 その他、ユニクロはB-T-S向けのプロモは特になく、ウェブで購入の際、50ドル以上の購入で、送料無料のみ。デパートの中で、先物セール販売に効果をあげていたのが、ノードストロームのアニバーサリーセール。秋物の新作商品が最大40%オフとあり、店頭ではかなりの利用者がありました。スクールが始まるまで残り数週間となり、これ以降は残りのバジェットに合わせ、セール商品を探す消費者が増える事が予想されます。インターネット、モバイルからの売り上げをどこまで延ばすかがポイントになってきそうです。

ノードストローム・アニバーサリーセール


 

 

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